判じ絵―小学生と 授業で楽しむ
2016-10-08 23:25 | by 中山(主担) |
新潟大学に赴任して3年目になりました。9年間つとめた東京学芸大学附属小金井小学校を思い出して書かせていただきます。
私は小金井小で国語科の「書写」と「言語」という授業を担
わたしが「言語」の授業でよく活用させていただいていたのが、『江戸の判じ絵―これを判じてごろうじろ』(岩崎均史著、小学館。)です。
今は子ども向けのものもあるようです。
はじめ私は判じ絵(判じ物)について知らなかったのですが、この本を東京学芸大学書道科の石井健先生に教えていただき、判じ絵について知ることとなりました。
現在、判じ絵を教育現場等で見かけることはそれほど珍しくない状況があります。おそらくこの本は、このような判じ絵の普及を牽引しているものなのでしょう。オールカラーで楽しく読める本です。何年も判じ絵の授業をしていると、はじめはそうでもなかったのですが、判じ絵について知っている子がかなり増えてきている気がします。テレビで判じ絵が紹介されることもあるようです。
判じ絵を授業でどのように取り扱ったかというと、まずはとにかく解きやすいものを抽出して解くことにつとめました。たとえば、目がある鈴の絵を見ながら「どんな鳥?」と聞くと、かなりの子がすぐに「スズメ」と答えてくれました。このような、解きやすい判じ絵を起点とし、さまざまな判じ絵をグループで話し合って解いていくことが定番でした。また、判じ絵を作り、解きあうことももちろんやりました。
また、判じ絵には題名が書かれています。例えば、さきほどのスズメの場合は、「鳥の判じ物」です。この題名には今使われていない漢字の草書体や変体仮名も使用されています。これを読むことにも取り組みました。たとえば、判じ物の「は」は今使用されていない変体仮名の「者」が使われていることがあります。これを読むことによって日本の文字の歴史を考えることにもつなげました。ちなみに変体仮名の「者」はそば屋さんののれんで現在も使われることが多いものです。さらに、授業では判じ絵が文字を読めない人でも楽しめることについても考えました。今は当たり前のように皆文字を読めるが、昔は必ずしもそうではなかったことにも触れました。判じ絵は、どの学年の授業でも一回は取り組んでいましたが、特に中学年の子は、かなり(熱烈にといってもよいくらい)意欲をもって取り組んでくれました。
判じ絵は、識字や絵画的要素への着目など広がりが期待できる学習材ですが、実際に授業をしてみて、なによりも子ども達が楽しみながら取り組んでくれ、自分自身も楽しかったという印象が強く残っています。
附属小金井小学校図書館では、2016年10月現在、以下を所蔵しております。
『いろは 判じ絵―江戸のエスプリ・なぞなぞ絵解き』 岩崎均史 青幻舎 2014
『江戸のなぞ絵』(全3巻)岩崎均史 汐文社 2009 (児童向け)