学校図書館は、多文化に出会う場
2011-06-12 07:08 | by 村上 |
この3月、出版されたこの本は、司書にとってはまさに、こんな本がほしかった!と思わせた一冊です。
『多文化に出会うブックガイド』
世界とつながる子どもの本棚プロジェクト編 読書工房
2011.3 1800円
このお値段で、これだけの情報量!しかもカラーで
見やすくて、装丁も素敵です。
いろいろな使い方がすぐに頭に浮かんできました。
たとえば・・・
第一部「多文化社会を生きるための本棚」は、さまざまな分野で活躍する人へのインタビューと関連する本の紹介から構成されています。目に付いたのが少し前にベストセラーだった『ダーリンは外国人』シリーズの著者小栗左多里さんのインタビュー記事です。さっそくこのページを紹介するとともに、図書館の一角に「多文化に出会うコーナー」をつくりました。小栗さんの本を並べたのはもちろん、国際結婚したカップルの話、外国に留学した日本の若者たちの日々を描いたノンフィクションや、在日二世・三世の本、日本で暮らす外国籍の人たちの本、そして読み物としては『GO』や『きらきら』『そのとき僕はパールハーバーにいた』 そして絵本もいくつか。あっというまに小栗さんの本には借りてがついて、一緒に並べた本もちらほら借りられています。借りられるまではいかなくても、手にとってもらえればコーナーを作った甲斐はあったというものです。
図書館は、まさに異文化に出会う場所だと思っています。多様な価値観を持つ人たちとどうやって共生していけるかは、永遠の課題であり、中学生にも考えてほしい普遍的テーマです。
第二部に紹介されている「異文化に出会うための本」を見ているだけで、あらたな展示のイメージが広がります。週替わりで「多文化に出会うコーナー」に並べる本を変えていく予定です。
先生にも、ぜひその存在を知ってほしい本ですが、この本をただ見せるよりは、この中に紹介されている本から授業にあったコレクションをつくって先生にみてもらうほうがより効果的かもしれません。小学校から高校まで使えるさまざまなジャンル・形態・レベルの本が紹介されています。
第三部は、多文化理解のためのナビゲーション として、東京学芸大学附属小金井小学校司書 中山さんも学校図書館での活動事例を紹介しています。ぜひご一読を!
(東京学芸大学附属世田谷中学校 村上恭子)