世田谷区の資料を用意していただけますか?
2014-09-16 09:39 | by 村上 |
2学期早々、本校では3年生による、「模擬世田谷区長選挙」が行われます。これは公民の「私たちの政治 民主政治と政治参加」という単元で行われる授業です。この授業を担当する先生から、初めて図書館に上記の依頼があった時は、世田谷区役所に出かけ、区が発行する様々な資料を購入して図書館にコーナーを作りました。当時は主に社会科教室で授業が行われ、その途中で図書館に資料を求めて生徒がやって来る程度だったのですが、今年は、そのうちの6時間を図書館で行ったため、司書の私も、生徒がどのように準備を進めて行くのかを見ることができて、とても興味深かったです。
この授業は、クラスを6つのグループに分け、それぞれ区長立候補者、参謀、財務担当、広報といった役割が決められます。そしてどのような政策を掲げて立候補をするかを、世田谷区の現状を調べたうえで、練り上げていくのです。今回は、防災についての政策は必ずいれる・・・といった指示が先生から出されます。そこで、入り口すぐの展示コーナーとカウンター前に、最も使われそうな資料を並べました。先生からも最新の資料が追加され、だいぶ使える資料が増えました。
先生からは、調査を進めるうえで、必要な視点が盛り込まれた具体的なワークシートが配布され、その時々に適切な助言が与えられます。これまでの社会科の授業で学んできた知識を生かし、深めていくことが求められますが、模擬選挙に向けて、だんだん熱を帯びてくる生徒の様子がこちらにも伝わってきます。
政策を考えるなかで、具体的にどのような資料が必要なのかが見えてくると資料も動き始めます。グループには各1台タブレットpcも渡してあるので、インターネットと印刷資料の両方が使われます。また、コーナーに置いた資料だけでなく、本棚の資料にあたる生徒もいます、また「少子化についての資料はありますか?」とか「交通政策について書いてある本はないですか?」と司書に聞いてくる場合もあります。財務担当者には電卓が渡され、机上の空論ではなく、しっかりとした財務の裏付けのある政策を求められるのも、この授業ならではです。
最終段階になると、政党名や、キャッチコピー、選挙広報にも工夫をこらしだし、「『四字熟語』の本はありますか?」「名言集みたいなものってないですか?」といったレファレンスも寄せられました。掲示した都知事選の選挙公報を参考にするグループも。
いよいよ選挙当日、朝8時には選挙広報が貼り出されます。この日は、世田谷区の選挙管理委員会の方がいらして、本物の投票箱を目の前で組み立ててくれます。模擬選挙とはいえ、ここまでしっかり調べて選挙に臨む中学3年生の姿に、頼もしさを感じます。
毎年、必ず1時間はどこかのクラスを見学させてもらい、私も投票をさせてもらっています。最後に当選者と、次点の候補者名だけが発表され、次の時間は次点者が議長となって、当選者を区長とする区議会が開催され、選挙時の公約について鋭い質問を受ける…ということになるそうです。今年は、ぜひこの区議会の模様も見学させてもらおうと思っています。このような授業を行う先生の存在があればこそ、学校図書館も学びのなかに位置付けられるのだと感じます。