ハワイ日系移民に関する本

2016-10-13 10:58 | by 村上 |

 中1の地理を担当する先生から、「ハワイの日系移民に関する本はありますか?」と聞かれました。アメリカについて学ぶなかで、ハワイの移民について学習したあとで、「ハワイ移民についての意見文を投書しよう」というパフォーマンス課題に取り組むそうです。

 今までも社会科では、移民新聞をつくる課題や、公民で少子高齢化社会について学ぶなかで移民問題をとりあげてきたので、移民に関する本も少しずつ揃えてきています。しかし、ハワイの日系移民…というピンポイントでの活用はなかったため、聞かれた時点で図書館の蔵書としているのは数冊しかありませんでした。そこでさっそく、リサーチ開始。ハワイ・日系移民をキーワードに、中学生が読めそうな資料を探して取り寄せました。

 掲示した資料→ ハワイ移民資料.pdf

 時々図書館に訪れる先生に資料を見せながら、その後の展開などをお聞きするうちに、意見文は、ハワイの日系移民だけにこだわらず、グローバル社会における移民問題を自分にひきつけて考えるという方向に向かっていきました。そこで、図書館には、ハワイ以外の国への移民に関する本や、日本で暮らす移民に関する本なども入れて、コーナーを作りました。


 意見文を書くということで、文章の書き方についての本も一緒に並べてみました。図書館に意見文を書くためのコーナーができていることを、授業のなかで先生がアナウンスしてくださったので、昼休みや放課後、訪れる生徒や、「どこにあるのですか?」と何人もの生徒に聞かれました。

 2日間のみ、貸出も可としたのですが、図書館で本を借りてまで意見文を書こうという生徒は、実はそれほど多くはありません。授業で学んだことに加え、インターネットで調べれば、ハワイ移民に関する信頼できる情報も見つけられる時代です。移民や難民に関しては、新聞やテレビのニュースで耳にすることも多い昨今です。あえて新たな本を読まなくても、意見文は書けるかもしれません。それでも、司書としてはぜひ多様な視点から書かれた書籍の存在も知って欲しいのです。

 そして、このような教科の先生とのささやかな協働の積み重ねが、少しずつ図書館や本への信頼を培うのだと思っています。

 さて、生徒はいったいどんな資料や情報をもとに、意見文を書いたのか、気になるところです。そんな話をしたら、「ぜひ読んでください」と160人分の意見文を見せてもらえることに。先生は、生徒に対してもパフォーマンス課題の評価のしかたを提示しています。
 与えられた課題に対し、感想ではなく意見を求められた場合、その意見を形成するにいたった根拠を示すことが求められます。まさに資料がどう使われたかが、問われる場面です。司書である私が、生徒の課題そのもを評価することはないにしても、生徒がどのように資料を読み取っているのかも含め、評価のしかたについて学ぶ機会は大切だと感じたレファレンスでした。

                  
  
                                  
附属世田谷中学校司書 村上恭子

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