大豆の変身
2016-11-11 22:35 | by 小野寺(主担) |
毎年、2年生は菊の子学習(総合的な学習の時間)で、大豆の加工について学習をしますが、
今年は校内研究でこの単元が取り上げられ、さらに発展した探究学習がおこなわれました。
子どもたちが自分たちの知りたいことのヒントを資料の中から探し当て、問題解決に取り組んだ様子を少しご紹介します。
※授業実践事例とブックリストは、後日、掲載予定です。
◆疑問 その1 「大豆はどんなものにへんしんするの?」
今年は校内研究でこの単元が取り上げられ、さらに発展した探究学習がおこなわれました。
子どもたちが自分たちの知りたいことのヒントを資料の中から探し当て、問題解決に取り組んだ様子を少しご紹介します。
※授業実践事例とブックリストは、後日、掲載予定です。
◆疑問 その1 「大豆はどんなものにへんしんするの?」
今回の授業では、子どもたちが調べるために必要な資料は、事前に教員と一緒に選書し、別置して提供することにしました。
加工品に関する資料は、「身近な食べもののひみつ」シリーズ(学習研究社)や「食べものはかせになろう!」シリーズ(ポプラ社)など、小学生にもわかりやすい資料がたくさん刊行されています。
『すがたをかえる豆』(2巻/学習研究社)、『豆からつくる食べもの』(1巻/ポプラ社)では、それぞれ目次に「大豆からできる食べもの大集合」(学習研究社)、「大豆からつくられる食べもの」(ポプラ社)とあり、2年生の子どもたちも目次を見て、探している情報が載っていそうなページをめくり、大豆の加工品には豆腐、みそ、しょうゆ、納豆、ゆば、豆乳などがあるということを見つけ出すことができていました。
◆疑問 その2 「豆腐や納豆はどうやって作るの?」
大豆の加工品にはいろいろあることがわかったら、今度はそれらの加工品を実際に作ってみる活動です。
疑問その1で使った本にも、作りかたまで載っているものもありました。
けれども、自分たちで調理するのですから、職人さんがお店で作ったり、食品会社が工場で作ったりする方法の説明では、道具がそろわなかったり、子どもたちには難しい工程があります。
そこで、調べた加工品のうち、学校にある調理器具で、しかも何か月も時間をかけずにできるものという視点で、もう一度資料に当たり直していました。
事前に教員と資料を選ぶ際にも、家庭や学校でできる作りかたが載っている本を意識的に用意するようにしました。
実際に子どもたちが作ったのは、豆腐、きなこ、ゆば。そして納豆に挑戦しているグループもありました!
◆疑問 その3 「“乾燥させる”、”煎る”、“発酵させる”、”何かを加える”、”熟成させる”食べものはほかに何かある?」
さらに学習を進め、今度は「乾燥」「発酵」といった新しく学んだ用語を用いて、次の疑問を持ってやってきました。
ここまでに少し調べ慣れてきた子たちは、用意された資料の中に「小麦からつくる食べもの」「果実からつくる食べもの」といったシリーズの別の巻を見つけ、材料は違っても、大豆のように加工の工程をたどる食品があることを自分たちで探し出していました。
なかには、「発酵」といったことばの意味をまだ理解しきれないまま、「発酵させる食べものってなにがある?」と探しに来た子には、まず大豆のときに使った本、国語辞典や百科事典で「発酵」の意味をもう少し詳しく調べてみるように促しました。ここは、2年生にはまだ難しいところもあり、本に書かれた文を教員や司書が一緒に読みながら、かみ砕いて説明する必要もありましたが、子どもたちはねばり強く資料と向き合っていました。
◆疑問 その4 「すがたをかえるよさってなに?」
この疑問が、今回の学習の最大のテーマです。加工品のよさについて考えをまとめていきます。
大豆から始まり、いろいろな加工品について調べていくなかで、人間はさまざまな知恵によって、食べものを加工して、私たちは今もその恩恵を受けることができているということを学んできた子どもたちは、お父さんやお母さん、栄養教諭にインタビューしたり、実際に食品を手にしたりしてこのテーマについて考えてきたようです。
もちろん、さいごまで資料を頼りに、そのヒントを探しにやって来た子どもたちもいました。ただ、その子たちの多くが、「すがたをかえるよさの本ありますか?」と尋ねてきました。「すがたをかえるよさ」という文字をそのままOPACに入力して検索を試みる子もいました。事前に教員と選書する際に、加工の効果や意味まで書かれているかどうかも確認済みでしたが、隅々まで丁寧に読み込んだり、小さな囲み記事まで目を向けたりする必要があり、2年生の段階でそこまで資料をじっくり読み込んでいくのはやや難しかったようです。教員や司書が個別に対応することで、その点はカバーすることができました。
こうして段階を追いながら子どもたちが疑問を深めていき、問題解決に取り組む学びには、学校図書館としても全力でサポートしたいと思っています。今回は、教員とこまめに情報交換ができたおかげで、2年生という発達段階を意識したレファレンス対応につながったように思います。
(東京学芸大学附属大泉小学校 司書 小野寺愛美)