交換日記のような展示を目指して
2019-10-10 15:39 | by 井谷(主担) |
東京学芸大学 教育学部 教育支援課程 生涯学習コース 3年 濱田健太
私は東京学芸大学の生涯学習コースに所属し、前田稔先生のゼミで学校図書館について学んでいます。前田先生のゼミでは、学芸大学附属小金井中学校の金曜日の昼休みの時間に学校図書館にお邪魔させていただき、実際の現場での様々な体験をしています。そこではゼミ生を係ごとにグループ化し、その中で各々の思い付きで自由な活動をしてリアルな中学生の反応を知ることができます。読み聞かせ班、新聞班など様々な班がありますが、今回は私が担当している展示班の活動について紹介させていただきます。
展示班は、展示と言っても何か大きなテーマについてま
とめ、紹介するというものではなく、中学生から大学生への質問やメッセージをもとに、それの返信とその返信の内容に沿った本を展示するといったものです。ねらいとしては一つに普段なかなか相談しにくかったり、相談に適した人がいなかったりする中学生に対して、大学生だから相談しやすいこともあるのではないかと、中学生の思いを大学生ならではの視点で受け止めるというものがあります。ただそれ以上に、学校図書館というものに対して堅いイメージを持っている中学生に対して気軽に立ち寄ってほしいという思いから、その展示で学校図書館が少し砕けた雰囲気になるようにするというねらいがあります。そのため親友との交換日記のような敢えてかなり緩い質問・メッセージそしてそれに対する返信になるようにしています。よってそのコミュニケーションで中学生の人生が変わるというようなことはあまりないですが、学校図書館のイメージが少しでも変わったり、また気軽に本との出会いの場になったりしてくれたらと思い活動をしています。
それではいくつか展示しているものを紹介します。
例えばこれは中学生から「好きな名言を教えてください。」と質問が来ています。それに対して回答者は「お布団は正義、ふわふわのお布団は離れがたい魅力がありますよね。布団にくるまればみんな幸せ」と返信し、川上弘美さんの「七夜物語」を添えました。布団に入って寝る前に読んでほしい本、ということで添えているようです。このくらい緩いコミュニケーションで活動しています。
次に「なんでオススメじゃなくてオヌヌメなんですか」と質問が来ています。これはこの展示ゾーンの名前が大学生のオススメという名前なのですが、看板の文字がオヌヌメに見えてしまうことへの質問です。それに対して回答者は「オススメしたいという思いが抑えきれず、それに伴いスの二画目の勢いを抑えることが出来ず、突き抜けてしまった」と返信し、瀬尾まいこさんの「あと少し、もう少し」を添えました。突き抜けるような青春を中学生にも体験してもらいたいからのようです。
このようにほとんどはかなり緩い会話となっていますが、時々「暗記系の科目はどのように勉強すれば良いですか」などの質問もあります。そのような質問にはしっかり答え、勉強法が載っているような本を添えています。他の展示も写真で掲載しておきます。
では、この活動で実際に中学生の反応はどのようなものだったか紹介します。やり始めた当初は質問やメッセージが一つも来ず、展示班のオススメの本を紹介することしかでませんでしたが、学校図書館に来ている中学生に宣伝を続けていくことで段々と質問やメッセージが集まるようになり、最近では毎週五問から七問多い時で十問ほど集まるようになりました。また、金曜日、我々が返信を考えていると、中学生たちがわざわざ会いに来て一緒に返信を考えてくれたり、本を探してくれたりするようになりました。活動が認知されてきて、徐々に活気づいて来ているという印象です。ただ、まだまだ学校図書館を訪れる中学生が固定されているため、あまり学校図書館に来ないような人も来てくれるよう活動を続けていきたいと思います。