選定基準を作成しよう

2022-03-09 14:45 | by 宮崎(主担) |

 年度末は、1年の仕事の振り返り、まとめの作業の時期ですね。除籍や選書を適切にできたかについても、確認しておきたいものです。今回は、そんなときに役立つ、選定基準の資料を本データベースへ送っていただきましたので、ご紹介します。
 群馬県高教研図書館部会の司書研修会が作成した
「選定および除籍基準ひな形」「ライトノベル・マンガ選定基準」「除籍をしよう」の3点です。記事にあるように、司書研修会の分科会で研究を重ね、3年かけて作成されたものですが、群馬県以外でも役立ててもらえればと公開していただきました。各校の状況に合わせて使えるようにひな形の形になっています。本データベース資料アラカルトページからもご利用いただけますので、ご活用ください。 


 群馬県高教研図書館部会は、県内高校の学校図書館担当教諭、司書教諭、学校司書が学校図書館の充実と発展を目的に活動しています。年2回開催される司書研修会は、分科会形式が中心です。分科会のテーマは、委員会、広報、目録、著作権、コンピュータなど、参加者の要望にあわせて設定し、それぞれの研修成果は、研究大会等で発表、および紀要に掲載し、共有しています。 




 今回は当初2年間の予定でしたが、コロナ禍で対面研修が難しくなり、オンラインも活用しながら3年間、各分科会で研修を行いました。メディア構成分科会では、「各校でのメディア選定基準/除籍基準の明文化をめざす」ことを目的として、研修を進めてきました。学校図書館に求められる機能の多様化に伴い、選定対象となるメディアも多岐にわたっています。高校の場合、校種や生徒数も様々であり、学校図書館メディアの構築についても事情が異なります。各校の実情に即した基準を設けて全職員の共通理解を図り、円滑な図書館運営を行うため、どの学校でもアレンジして使えるひな形となる基準を作成するために検討を重ねました。また、生徒からのリクエストが多く、選定において検討事項の多いライトノベル・マンガについては、別に選定基準を作成する必要があると考え、
Webで公開されている公共図書館や学校図書館の基準を参考に検討しました。

 続いて、より実務に即した資料として「除籍をしよう」を作成しました。実際にメディアの除籍・廃棄を検討する際の参考資料としては、「学校図書館図書廃棄規準」(全国SLA制定)等があります。  研修1年目に行った県内学校司書を対象としたメディア構成に関するアンケートでは、刊行年数以外の判断基準や寄贈資料の扱いについても明文化したいという意見がありました。そこで、滋賀県教育委員会作成「やってみよう!学校図書館リニューアル」中学校版に掲載されている「除籍をしよう」を参考に、「除籍の流れ」、「一般基準」、「分類ごとのチェック」の3つの項目を群馬県の高校図書館で活用できるよう検討しました。(滋賀県教育委員会へ連絡済み) 

 また、公共図書館や他の都道府県の学校図書館ではどのような選定基準を作成しているのか、情報収集を積極的に行いました。主に公共図書館、学校図書館、教育委員会などのWebページの情報が中心でしたが、オンライン講座も活用しました。 

 2021年7月にオンラインで開催された「みんなで学ぼう!学校司書講座2021」(東京学芸大学学校図書館運営専門委員会主催)の1日目は選書がテーマでした。東京都世田谷区立瀬田中学校の学校司書・衛藤北斗さんの発表「イマドキ中学生男子のニーズにも応えるプロファイリング選書術」で紹介された選書フローチャート・選書プロファイルシートが、新しい視点で実務にも生かせる資料として魅力を感じました。県内高校図書館でも共有したいと考え、衛藤さんにお願いしたところ快諾していただきました。選書フローチャートは、自校の選書方法を再確認できる資料だと思います。選書プロファイルシートは、生徒からのリクエストへの対応、特にマンガやライトノベルのように選書での検討事項の多い資料の選定に役立つと思います。レファレンス活用例やクレーム・問題点等を記載することによって、説明を求められた場合にも対応できます。 

 なお、制定から30年近く経過していた「学校図書館図書廃棄規準」が2021年12月1日に改訂されました。「受入後10年経過した図書は、廃棄・更新の対象とすること」「電子書籍はこの基準の対象としないこと」などが明記されています。こちらの改訂も参考に、各校の実情に合わせた基準を作成することによって、円滑な図書館運営につながれば幸いです。 
(群馬県立高崎商業高等学校 学校司書 小宮山栄子)  

 



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