平成26年度 子ども読書連携フォーラム

2015-04-07 11:36 | by 中山(主担) |

 

東京都立小川高等学校 司書 千田つばさ


 

201532日に国立国会図書館国際子ども図書館において、子ども読書連携フォーラムが開催されました。テーマは「子どもの本の選書を考える ‐知識の本を中心に‐」でした。

 始めに国際子ども図書館での子どもの本の選書についての説明がありました。そして事前のアンケートのまとめから、青山学院女子短期大学の堀川照代教授による選書の課題についての分析がありました。それに続くパネルディスカッションでは、静岡県立中央図書館、浦安市立中央図書館、荒川区立尾久小学校からの事例報告がありました。


 アンケートの中でたくさん寄せられた課題から、堀川教授がいくつかピックアップしてお話くださいました。

例えば、出版・流通については出版社への要望などをどうやって伝えたらよいか、書店で現物を手にとって選書することの難しさなどがあがっていました。
 
選書の方針についての課題も多く、これについては選書基

準が『児童図書館サービス2 児童資料・資料組織論』(日本図書館協会 2011 JLA図書館実践シリーズ19)や全国学校図書館協議会のホームページなどにあり、参考になるのではないかということでした。

 各種推薦図書リストにあげられているもの等を自分で読み、自分のものさしを作っていくことが大切なのではないか、ニーズの把握の難しさについて、学校では授業内容の把握のために教科書を読む必要性があることがお話されていました。

 公共図書館からは支援した資料の利用についてフィードバックをもらう難しさ、調べ学習の依頼が重なり資料が足りなくなってしまうことなどが指摘されました。


それに続くパネルディスカッションでは3つの事例報告がありました。

 静岡県立中央図書館には、子ども図書研究室があり平成15年から児童書の全点収集をしていて、それを活用した事業を行っているということでした。例えば選定したものについてのレビュースリップの作成、県内の市町村立図書館で年に一度、新刊児童図書の巡回展示と選書の研修会を実施、テーマごとに絵本をセットで貸し出すなど、市町村立図書館や学校図書館の支援を行っているそうです。

浦安市立図書館からは、日常のサービスと選書が一体になった児童サービスについて報告がありました。また、それぞれの本の評価だけではなく、蔵書群として棚全体を考えた長期的な視点や学校と連携し、学校でどう使われているかを知ることなどが指摘されました。

荒川区尾久小学校からは、読書センターとしてだけではなく、学習センター、情報センターとしても学校図書館の機能を生かすための選書について報告がありました。学習指導要領や教科書の把握、そして組織的に図書館が活用され、年度末にはアンケートを取って先生からフィードバックをもらって次年度に生かすなどしているそうです。

最後に参加者でグループに分かれ、自館で取り入れられそうなヒントや参考になったことについて話し合いました。

テーマが知識の本の選書ということで関心も高かったのか、公共図書館や学校図書館の方を中心に、ホールにぎっしりの参加者がありました。子どもの本を選ぶには、とにかく読むことが大切であると登壇されたどの方もおっしゃっていました。
 そしてレビューをして、それを勉強会などで話し合い、判断基準を作っていくことが大切だということが話されていました。
 また、公共図書館の方が、学校支援などで貸出した本のフィードバックがなかなかもらえず課題を感じていると何人も発言されていたのが印象的でした。


内容の詳細は国際子ども図書館のホームページご覧ください。

国際子ども図書館からは、現在行われているリニューアルについてのご説明もありました。2016年には調べものの部屋なども開設予定だそうで、リニューアルオープンが楽しみです。



次の記事 前の記事 [ 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 ]