広島県立図書館発 学校図書館支援事業メール通信

2015-02-17 09:32 | by 村上 |

  昨年3月、国際子ども図書館で行われた読書連携フォーラムで、広島県立図書館の司書さんとご一緒したのが縁で、広島県立図書館が行っている学校図書館支援事業のことを知りました。今回、その詳細について、県立図書館司書の正井さゆりさんにご執筆いただきました。


「学校図書館支援事業メール通信」を発行しています。
 広島県立図書館

 

 広島県においては,平成2112月に,いわゆる「事業仕分け」が実施され,この結果を受けて,広島県教育委員会において,広島県立図書館の今後の改革の方向性として,「県立図書館ならではの役割を果たす」とともに「県立図書館らしい図書館サービスを提供すること」が,平成23年3月に決定されました。このうち「県立図書館らしい図書館サービス」を提供する一環として,県立図書館として,行政及び学校への支援を行うことが強く求められました。

 とりわけ,学校においては,子供の読書活動や学習活動を推進する上で学校図書館の活用が期待されている中にあって,広島県では学校図書館への専任職員の配置が必ずしも進んでいない状況があったことなどから,県立図書館として,学校図書館担当者の図書館運営についての相談に応じるとともに,図書館の模様替えや図書の紹介等を行うことにより,その学校において図書館の活用が進むよう,県立学校の学校図書館への支援を行うこととしました。学校図書館への支援は,「学校図書館運営相談」と「学校図書館活性化事業」の2本立てとし,平成25年度から開始しました。

 

学校図書館支援事業メール通信

 


具体的には,「学校図書館運営相談」においては,県立学校で,司書教諭又は主幹図書教諭が配置されていない学校のうちから毎年6校ずつ各1回,県立学校の学校図書館の担当者が,学校図書館についての基本的な知識を持ち合わせていない場合などに,そうした担当者に対し,広島県立図書館の司書が出張して,図書の整理等の実務についての講習を行ったり,図書の購入や廃棄の検討について助言を行うなど,学校図書館の運営に関する相談に応じています。



「学校図書館活性化事業」においては,県立学校で,司書教諭又は主幹図書教諭が配置されている学校のうちから毎年3校ずつ各3回,司書教諭又は主幹図書教諭が平素から行っている読書活動の推進の取組を更に効果的なものにするため,これらの担当者と広島県立図書館の司書が連携して,学校図書館の改善や行事等の実施を目指しています。

この事業では,県立図書館が提示した「学校図書館支援事業メニュー一覧」から学校が希望されるテーマについて,基本的な考え方を説明し,担当者の疑問や相談に応じました。

特に,質問が多かったのは,「資料の整理や廃棄について」,「資料展示や本の紹介について」,「資料の収集について」,「図書館のレイアウトや館内整備等について」等です。

平成2612月に実施したアンケートでは,回答いただいた12校全校において「大変役に立った」又は「役に立った」と評価されるとともに,この事業実施以降に多くの学校で「新たな取組」が行われていました。

学校図書館担当者からは,「具体的かつ様々な取り組みを示していただいたので今後のイメージができました。」「ずっと悩んでもたもたしていた館内整備に,なにかすうっと道が開けたような気がしています。」等の感想が寄せられています。また,校長をはじめとする管理職からは,「学校図書館の活用を一層すすめるため(当館が作成した事業の記録を)校務運営会議で取り上げて,全校へ周知する予定です。」などの報告がありました。

 

その際,この「学校図書館運営相談」及び「学校図書館活性化事業」は,いずれも対象を県立学校としていること,また,年度内に訪問できる県立学校は9校と全体の1割にも満たないことなどから,事業の実施の様子や訪問校で取り組まれている好事例,更には,各学校の図書館担当者が抱えている図書館運営上の悩みや課題などを,できるだけ共有化できるとよいのではないかと考えました。そこで,こうした内容について,県立学校全校はもちろん,県内の小中学校の設置者である市町教育委員会を所掌する教育事務所にも情報提供する方法を検討し,既に県立図書館として,毎月1日に「メールマガジン」を発行していたことをヒントにして,「学校図書館支援事業メール通信」を発行することとして,創刊号を平成25年9月1日に発行しました。

このメール通信においては,事業の紹介はもちろんのこと,学校図書館の役に立つ情報を掲載することとしました。第1号から第4号までのメール通信は,もっぱら文字で構成されていたのですが,平成26年度に入ってから,文字だけのメール通信では学校において読まれる場面が非常に少なく,読む教職員も少ないとの指摘があったため,様式をA4版1枚の新聞仕様にしてカラー写真等も盛り込んだ親しみやすいものにモデルチェンジしました。

これに加えて,平成26年度からは,事業実施校の関係者だけにとどまらず,近隣の県立学校の関係者の見学等を受入れることとし,事業実施校2校に13名(6校)の学校図書館担当者の見学があり,大変参考になったと好評でした。これにより,各学校の情報交換を行うこともできました。

 また,嬉しいことに,この「学校図書館支援事業メール通信」については,市町立図書館から,「(小中学校の学校図書館を)担当する職員にも参考にさせてほしい内容だ。」という感想もいただいているところです。

 毎年実施している事業実施後の学校関係者の感想やアンケートの結果等も踏まえ,2年間の取り組みの成果と課題を整理して,今後一層充実した学校図書館支援を行うとともに,事業の様子を情報発信していきたいと考えています。

 


 広島県立図書館では、様々な取り組みをされていますが、青少年のページは、学校図書館に勤務する私たちにもとても役立つ情報が掲載されています。ぜひご覧ください。(編集部注)

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