平成29年度文部科学省事業報告会

2018-01-09 18:32 | by 井谷(主担) |

平成29年12月23日に、東京学芸大学構内において、文部科学省事業報告会が行われました。
(参加者 82名)

「平成29年度文部科学省事業 報告会
 ~みんなで使おう! 学校図書館 Vol.9~」
日時:平成29年12月23日(土) 13時~17時
場所:東京学芸大学西講義棟(W棟)W110教室

  2017報告会当日用プログラム ketteibann.docx

なお、この様子は、1月中は動画配信で視聴することができます。トップページからお申し込みください。また、当日配った資料も順次以下の文章からダウンロードできるようにします。

1.はじめのことば  東京学芸大学 学校図書館運営専門委員会 委員長 古家 眞
 この四月から12校園の図書の施設を訪問してきました。どこもそれぞれの特色を生かして、読書ワールドを作っていたように思います。学校図書館は読書指導だけでなく教科の支援も行い、学校教育を支えています。今日は有意義な会にしていただきたいと思います。

2.実践報告
●附属世田谷小中学校図書館紹介  
 附属世田谷中司書  村上 恭子
まず、附属世田谷小中学校図書館の様子が、生き生きとした動画を使って紹介されました。さらに中3生へのインタビューにより、生徒が図書館をどのように捉え、普段使っているのかが語られました。



●附属世田谷小学校   
~新学習指導要領を踏まえた学校図書館活用と情報活用能力の連動~
                    司書教諭 河野 広和
情報活用能力の系統表を教員全体で共有し、各教科カリキュラムに反映している取り組み。
171223 報告会 世田谷小学校.pdf

●附属世田谷中学校
~図書館の充実・活用について「情報空間」の視点から考える
   つかわなければ、もったいない!!~       教諭 渡邉 裕
 「図書館まなびんぐマップ」を共有し、3年間でさまざまな教科で情報活用能力を育成したことを可視化していく試み。

●附属特別支援学校での支援のあゆみ    司書 田沼 恵美子
 70名程度の小規模な学校で、8年間ちいさな図書館作りに関わってきました。この4年間は授業にも関わり、学習発表会へとつなげています。
ぶっくらんどNO19・20.pdf
●司書と教員が協働で行う総合学習「東京探検」   教諭 齋藤 大地

知的障害の特別支援学校で、司書と協働した総合的な学習の実践。










3.司書部会からの報告

●学校司書の資質・能力の向上のための研修のあり方   附属高校司書 岡田 和美
今年度行った5回の研修内容と、アンケートの結果より。
2017年 年間司書研修スケジュール報告会.pdf
2017年 研修プログラム表.pdf
2017報告会研修資料PDF.pdf

●「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」の活用    
附属大泉小学校司書  小野寺 愛美  附属国際中等教育学校司書  渡邊 有理子
「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」について今年度行ったアンケート調査より。
2017報告会DB PP.pdf
2017報告会DB 資料.pdf

データベースを管理する「風夢」の橋本さんの話。
指導案と教具がセットになったこのデータベース事例はすぐに使える教材として活用できる。このサイトのつながりで共同企画が広がると面白い。学校には指導要領があるので、必ず共通点がある。「ハッシュタグ1月の学校図書館」や、「ハッシュタグ授業に役立つ学校図書館」などで大いに盛り上がってほしい。



4.指導・助言

●専修大学文学部教授  野口武悟氏
 特別支援学校の中でも知的障害の生徒には学校図書館が関わることへの理解が足りないが、活用は必要でぜひ広げてほしい。
 司書部会で実施している研修も充実してきているが抜け落ちているものもある。特別支援はぜひ独立した科目としてほしい。全ての小中学校に特別な支援を要する児童生徒はいるので、適切な対応が求められている。また、貧困状態にある子どもたちにとって、読書のセイフティネットは学校図書館であることを考えるとき、教育社会学の領域も学ぶことが有効だ。

●埼玉県立図書館副館長  長谷川 優子氏
 DBについては、今回、目次ができて見やすくなった。事例だけでなく、ウィキペディアタウンの取り組みや、広島県立図書館の矯正施設への取り組みなど、最近の話題が取り上げられている。外部の新しい事例の増加が少ないことが残念で、日常のレファレンス記録をぜひ残していってほしい。
 学校図書館法改正以後、学校司書が配置されているが、配置した市町村が研修をどうするか困っているので、このプラグラムが参考になる。学校図書館は社会への窓を開くところであり、学校と公共図書館の溝をつなぐことが必要である。
  

●帝京大学教育学部教授  鎌田 和宏氏
 図書館活用をしているのは学芸大附属だけではないが、最初に発表した世田谷小中学校では、専門職の司書が入り、先生方がよく使うことで、図書館が進化している。
 世田谷小学校の発表では、先生方全員が共通認識のもと考えていくことに意味がある。その情報活用能力の一覧表がどのように活用され、評価されているのか、子どもの姿で教えてもらいたい。
 世田谷中学校の報告では、「図書館まなびんぐマップ」がいい。計画されるだけでなく、学ばれたこと、実践されたことの足跡が可視化されることから、何かにつなげていくことが大事だと思う。
特別支援学校の図書館は厳しい状況だが、今回とても良い取り組みだったし、地域の図書館につなげることも、卒業後のこどもたちの学びのために大切なことだ。
 東京学芸大学は教員養成の基幹大学として、未来の学校のモデルであってほしい。司書教諭の職務専念時間を保証し、専門職として司書が安定して長期間働ける学校である必要があると思う。

5.おわりのことば  東京学芸大学 学校図書館運営専門委員会 委員長 古家 眞
私にとって大変有意義で勉強になった3時間でした。3人の事業委員の先生方には新たな指針をいただき、今後の私たちの果たす役割を示していただきました。
今、スマホの使用により子どもたちの視力が低下しています。AIの盛んな今だからこそ、本が大事で、本の好きな子が増えていってほしいと思っています。今後もご支援をよろしくお願いします。


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