データベース開設10周年企画!

2020-02-13 08:03 | by 村上 |

どうして、ことばなんだろう?;斉藤倫にきく、ことば、詩、物語のこと

 1月18日(土)、福音館書店にて、上記のイベントが開催されました。これはデータベース開設10周年を記念して、福音館書店と東京学芸大学附属学校司書部会との共催で行われたものです。前半は詩人斉藤倫さんと、編集者岡田望さんとのトークセッション、後半は参加者との座談会という形で進められました。個人的な感想も含め、報告をしたいと思います。

 

 斉藤倫さんは、昨年『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』(通称『ゆびぱち』)を出版されています。福音館書店のサイトでは、以下のような紹介がされています。
きみはいつものように、あけっぱなしの玄関から、どんどんぼくの部屋にあがりこみ、ランドセルをおろしながらこういった。「せんせいが、おまえは本を読めっていうんだ。ことばがなってないから」。ぼくは一冊の詩集をきみに手渡す。「ここんとこ、読んでみな」。詩は、おもしろい。そして、詩はことばを自由にし、ことばはわたしたちを自由にする。20篇の詩を通して、詩人斉藤倫と楽しみ、考える、詩のことそしてことばのこと。
 

    対談は、和やかな雰囲気の中、岡田さんの投げかけた質問に斉藤さんが考えながら答えるという形で進みました。ことばはなまものだからこそ、用意したことばではなくて、今まさに心に浮かんだことばで伝えたい…と斉藤さん。一方、問いを投げかける岡田さんが手に持った『ゆびぱち』の本には付箋がびっしり!「この本を僕ほど読みこんだ人はいないはずです。」ときっぱり! 編集者として関わった「本」に対する“愛”が感じられました。

 詩人の道をめざした斉藤さんは、普通の目立たない子だったけれども、「ことば」が好きで、特に辞書を読むのが好きだったそうです。今は自分が書かなければ消えてしまうものを掬いあげたいと言います。ことばにできないものをことばとことばをつなげることでなんとか表そうと日々格闘しているのが“詩人”なのですね。

さん ことばはとても解像度が低いものなのだという話も印象に残りました。岡田さんは、もともと一筋縄ではいかない曖昧性の高いことばに対し、わからなければという強迫観念に囚われすぎているのでは?と指摘されていました。わかろうとする努力は必要だけれども、わからないまま好きになっていいんだよ…というのが『ゆびぱち』で伝えたかった事のひとつなのですね。  
 
 会場からの、詩をどうやって味わったらいいかと言う問いに、斉藤さんは、「詩は散文のようなスピードで読むのではなく、ことばひとつひとつを声にだしてゆっくり味わってみてほしい」と言われました。詩は意味だけでなく、文字も音もリズムも抑揚も全部大切な要素なので、詩を翻訳することはとても難しいことだともおっしゃっていました。お二人のお話を聞き、あらためて「詩」に向かい合ってみたいと思いました。


以下は、トークセッションに参加した附属学校司書の感想です。

                     
  斉藤倫さん、企画してくださった福音館書店の皆様、ありがとうございました。またぜひこのようなイベントを行いたいと思っています。
                   

  (文責 附属世田谷中学校司書 村上恭子)




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