いじめ防止基本方針
東京学芸大学附属竹早小学校いじめ防止基本方針
令和3年5月 改訂
1. いじめの定義
(1)いじめの定義
児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって,当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。 【いじめ防止対策推進法第2条】
(2)いじめ防止に関する基本理念
いじめ防止のために,「居場所づくり」・「絆づくり」(子ども一人ひとりが安心感をもって生活すること・子どもが互いのことを認め合ったり心のつながりを感じたりすること)を要点としていく。
「自ら学びともに手を取り合い 生活を切り拓く子の育成」を学校教育目標に掲げる本校では,教職員の基本姿勢として,
- 子どもの生命と心を何よりも大切にし,どの子にとってもこの学舎が快適な居場所になるよう努める
- 子どもの思いや願いを大切にする
- 子どもが周囲の人たちと関わりながら主体的に生きていくために必要な知恵や知識,技能を身につけるよう,責任をもって指導する
の3点を大切にしている。「いじめにピークや流行はなく,いつでも,どの学校・どの学級でも起こりうるものであり,どの子も関わりうる」【参考文献:いじめ追跡調査 2010-2012・国立教育政策研究所】という認識を全教員が共通にもって全力でいじめ防止にあたる。
(3)教職員一人一人の心構え
- 教職員一人一人が人権意識をもつ。
- 教職員の言動が,児童を傷つけたり,他の児童によるいじめを助長したりすることのないよう,指導の在り方に細心の注意を払う。
- 児童と触れ合う時間(登下校時・昼食・清掃・授業後などの時間)をできる限り多く取る。
- 児童の話に耳を傾け,親身になって対応し,児童が何でも相談できる信頼関係を築く。
- いじめを見過ごしたり,気付いていながら見逃したり,相談を受けながら対応を先延ばしにしたりしない。
- いじめ(特に,暴力を伴わないいじめ)は,大人が気付きにくく判断しにくい形で行われることが多いことを認識し,ささいな兆候であっても,早い段階から的確に関わりをもち,いじめを隠したり軽視したりすることなく,いじめを積極的に認知する。
- 暴力的な行為など「目に見えるいじめ」を目撃した場合は,速やかに止め、再発防止指導と必要な支援等を確実に行う。
2. いじめの防止等の取り組みを主導する組織とその役割
(1)組織「いじめ防止対策委員会」
校長,副校長,主幹,生活・安全指導主任,養護教諭,(スクール・カウンセラー<SC>,スクール・ソーシャル・ワーカー<SSW>)
(2)「いじめ防止対策委員会」の役割
- いじめの疑い発生時には緊急に個別のケース会議を運営する。
- 年3回(学期に1回),外部講師を招き,情報交換・事例研究を行う会を運営する。
- 各クラス,子どもの状況を把握するため,休み時間の看護体制を指揮する。
- 配付物や保護者会などを活用して,保護者に理解・協力を求める。
3. いじめ防止等に対する措置
(1)いじめの防止
①「居場所づくり」に重点化した取り組み
- 各学級に集う子どもたちが共通の目標をもち生活していくために,目指すべき学級の在り方について,学級の子どもと教員で思いや願いを出し合い確かめ合いながら,学級目標を設定する。
- 定期的に幼稚園・小学校全教員による活動研究会,幼稚園・小学校・中学校教員による連携研究を行うことを中心に,日々の教育活動の改善に取り組む。
- 子どもの能力や成果を比べ競争をあおるような取り組みを行わない。
- 12月上旬に全校で行う「生命の日」の集会を中心に,一人ひとりの生命・人権が守られ るべきであることを日頃から子どもたちに伝え,竹早小学校の文化としていく。
②「絆づくり」に重点化した取り組み
- 縦割り班を編制し,交流の場を設ける。
- 一迎会・縦割り班結成式(4月下旬)
- 縦割り班昼食(月1回)
- 縦割り班遠足(5月上旬)
- キッズフェスティバル・竹の子祭(6月上旬)
- 縦割り掃除(6月上旬以降年度末まで)
- 夏の日光林間学校(7月下旬・第3学年以上)
- 竹早祭(11月上旬)
- 縦割りゲーム集会(12月上旬)
- 六送会・縦割り班解散式(3月上旬)
- 縦割り班以外に,高学年児童がリーダーシップを発揮する場を設ける。
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- 健康診断の諸係(4月下旬)
- 児童会による全校集会
- “みんなの歌”の決定・推進
- 全校的な行事・活動で学級以外の集団で交流しながら活動する場を設ける。
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- 竹の子祭特別委員会(5月中旬~6月上旬)
- 夏の日光林間学園委員会(6月下旬~7月下旬)
- たけのこタイム(月1,2回)
- 子どもが相互に啓発し合うような学習活動を大切にする。
(2)早期発見
①全教員で子どもの実態把握に努める。
- 教室での学習活動に支障がない範囲で,教室をできるだけ開放的な空間にし,子どもの 生活・学習活動を見えやすくする。
- 全校的な行事・活動で学級以外の集団を組織し,全教員で関わる。
- 休み時間には,校庭,校舎内の看護を分担して行う。
- 気になった出来事は,まず該当する子どもの担任教員,専科教員,養護教諭,管理職に知 らせる。さらに,全教員に周知する。
- 定期的にスクールカウンセラーが加わり、心理的な側面から助言を行う。
- 「生命の日」集会の後に,自分の命,人の命を考える機会を設けると共に,自分や他人に 対するいじめを含めた状況について自由に記述させ,実態把握に努める。
②子どもがいじめを訴えやすい体制をつくる。
- 子どもが訪れやすい教員室や保健室,メディアセンター等の運営をする。
- スクールカウンセラーが子どもと関係を築く場を設ける。
- 学期ごとの生活の記録をつける際に,生活や友達関係について,記述式のアンケートを とる(年3回)。状況に応じて個別面談を行い,生活や友達関係についての子どもたちの 思いを教師に語ることのできる場をつくる。
※個人情報の管理保護について
集めた個人情報に関わる記述については,学校長が厳重に管理し,漏洩・不正流用等の防 止に適切な対策を講ずる。
(3)いじめに対する措置
①発見・通報を受けた場合は,校長・副校長・主幹・該当する子どもの担任・生活指導部教員で対応を決め,(可能な限り SC、SSW も含め)で対応を協議し,その上で全教職員で対応に当たる
- 特定の教職員で抱え込まず,速やかに組織的に対応する
- 教職員全員の共通理解の下,保護者の協力を得て,関係機関等と連携し,対応に当たる。
- 児童の個人情報の取扱い等,プライバシーには十分に留意する。
②いじめの発見時や相談・通報を受けたときの対応
- 複数で一人を囲んでいる状況など,いじめと疑われる行為を発見した場合,その場でそ の行為を止めたり注意したりする。
- 児童や保護者からの訴えに対しては,真摯に傾聴し,ささいな兆候であっても,状況を把握(事実確認)し,いじめの疑いがある行為には早い段階から的確に関わりをもつようにする。その際,いじめられた児童やいじめを知らせてきた児童の安全を確保する。
- 発見したり通報を受けたりした教職員は,一人で抱え込まず,速やかに「いじめ防止対策委員会」に報告し,情報を共有する。
- 「いじめ防止対策委員会」を中心として,速やかに関係児童から事情を聴き取るなどして, いじめの事実の有無の確認を行う。
③いじめられた児童又はその保護者への支援
- 「複数の教職員で見守る」「いじめた児童を別室で指導する」など,徹底して守り通すことや秘密を守ることを伝え,安心して学校生活を継続するよう伝える。
- 上記の対応によっても,いじめられた児童が学校を欠席せざるを得ない状況が続く場合には,学習の支援など,いじめられた児童及びその保護者の心情に寄り添いながら支援する。
- 保護者には,その日のうちに事実関係を伝える。
- 状況に応じて,SCや外部専門家の協力を得る。
- いじめが解決したと思われる場合でも,継続して十分な注意を払い状況を観察し,折りに触れ必要な支援を行う。
④いじめた児童への指導又はその保護者への助言
- いじめは人格を傷つけ,生命,身体又は財産を脅かす行為であることを理解させ,自らの行為の責任を自覚させる。
- 迅速に保護者に連絡し,事実に対する保護者の理解や納得を得た上で,学校と保護者が連携して以後の対応を適切に行えるよう,保護者の協力を求めるとともに,保護者に対する継続的な助言を行う。
- いじめた児童が抱える問題など,いじめの背景にも目を向け,当該児童の健全な人格の発達に配慮する。
- いじめの状況に応じて,心理的な孤立感・疎外感を与えないよう一定の教育的配慮の下, 毅然とした対応をする。
●情報の共有
↓
●対応策の検討・協議・決定
↓
●関係児童に対する情報収集
↓
●関係児童等への事情聴取
※聴取が終わっている場合は誰が聴取を行うかの役割分担、既に終わっている場合には聴取内容の共有
↓
●いじめの有無の確認
↓
いじめの認知・判断
対応策と役割分担の検討・協議・決定
◆被害・加害児童の保護者への連絡(担任・生活安全主任)
◆被害児童の安全確保・心のケア(担任・養護教諭・SC)
◆加害児童への指導・別室指導等の措置(該当学年・主幹・SC)
◆聴衆・傍観者への指導(当該学年・主幹)
◆謝罪等の場の設定(副校長)
◆客観的な事実(聞き取りの内容等)を,時系列で正確に記録(生活安全指導部)
4. 重大事態への対処
(1)重大事態の定義
①いじめにより生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
- 児童生徒が自殺を企図した場合
- 身体に重大な傷害を負った場合
- 金品等に重大な被害を被った場合
- 精神性の疾患を発症した場合 など
②いじめにより相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき(年間30日)を目安とする。
- 児童生徒が一定期間、連続して欠席しているような場合には、年間30日の目安にかかわらず、学校の設置者又は学校の判断により、迅速に調査に着手する。
- 重大事態は、事実関係が確定した段階で重大事態として対応を開始するのではなく、「疑い」 が生じた段階で調査を開始しなければならない。
- いじめを受けた児童生徒や保護者から、いじめにより重大事態に至ったという申し立てがあったときは、重大事態が発生したものとして報告・調査に当たる。
- 「いじめ防止対策委員会」を中心として,速やかに関係児童から事情を聴き取るなどして, いじめの事実の有無の確認を行う。
(2)重大事態への基本的姿勢
学校の設置者及び学校は、いじめを受けた児童生徒や保護者のいじめの事実関係を明らかにし、何があったのかを知りたいという切実な思いを理解し、対応に当たる。
(3)調査の主体
調査の主体は、学校が主体となって行う場合と、学校の設置者(東京学芸大学)が主体となって行う場合があり、学校の設置者が判断する。これまでの経緯や事案の特性、いじめを受けた児童生徒又は保護者の訴えなどを踏まえ、学校主体の調査では、重大事態への対処及び同種の事態の発生の防止に必ずしも十分な結果を得られないと学校の設置者が判断する場合や学校の教育活動に支障が生じるおそれがあるような場合には、学校の設置者において調査を実施する。
(4)調査組織
調査組織については、学校が主体の場合は、次の二つの方法が考えられる。
- 学校いじめ対策組織に第三者を加える方法
- 学校が第三者調査委員会を立ち上げる方法
(5)調査の開始
調査実施前に、いじめを受けた児童生徒及び保護者に対して調査目的、調査組織、調査期間、調査事項、調査方法、調査結果の提供等について説明します。また、いじめを行った児童生徒及び保護者に対しても同様に説明する。
5. いじめの解消
(1)いじめに係る行為が止んでいること
被害者に対する心理的または物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期間とは少なくとも3か月を目安とする。ただしいじめの被害の重大性等からさらに長期の期間が必要であると判断される場合はこの目安にかかわらず学校の設置者または学校いじめ対策組織の判断により、より長期の期間を設定するものとする。学校の教職員は相当の期間が経過するまでは被害・加害児童生徒の様子を含め状況を注視し期間が経過した段階で判断を行う。行為が止んでいない場合はあらためて相当の期間を設定して状況を注視する。
(2)被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと
いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害児童生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害児童生徒本人及び保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等で確認する。
学校はいじめが解消に至っていない場合では被害児童生徒を徹底的に守り通し、その安全・ 安心を確保する責任を有する。学校いじめ対策組織においてはいじめが解消に至るまで被害児童生徒の支援を継続するため支援内容、情報共有、教職員の役割分担を含む対処プランを策定し、確実に実行する。
6. 基本方針の見直しや取り組み状況の把握・検証
(1)各学期途中に「子どもの姿を語る会」を実施する。
(2)学期末に,「期末報告会」を実施する。
(3)年度末評価を行う。
(4)附属学校運営部への報告
(5)いじめアンケ―トの実施方法の見直し