音楽ブックトークをつくる

2017-08-31 14:08 | by 村上 |

  この夏、附属世田谷小学校で、音楽科と学校図書館のコラボレーション企画として、現職研修を開催しました。午前は公開授業と研究協議会が行われたのですが、午後のワークショップでは、自分たちで音楽ブックトーク(案)を作ってみることにしました。

 当日は、ちょうど音楽教員と、学校司書・司書教諭の人数が半々だったので、音楽教諭2名と司書2名の4人でグループを作成。附属世田谷小学校メディアルームの蔵書と、各班に渡されたiPadを使い、各グループで相談しながら案を練りました。

 附属小金井小学校司書と附属世田谷中学校音楽教諭が、同じグループだったので、このグループが考えた音楽ブックトーク案を紹介します。

 メンバー紹介  小学校司書  2名
            小学校音楽教諭 1名
            中学校音楽教諭 1名

 対象  小学1年生
 目的  ①音楽ブックトークに誘う
      ②生活音のイメージを広げる

 タイトル    きこえる?
 その1 えほんから音をきく
 よみきかせ 『きこえる』 はいじまのぶひこ/作  福音館書店    

静かな静かな絵本。
葉っぱの揺れる音、花の開く音、心臓がうつ音・・・






 ものがたりの紹介『ぼくのいちにち どんなおと?』 山下洋輔/文 むろまいこ/絵 福音館書店

顔を洗う音「ぴちゃらぱしゃらぷるぷるぷるぺしゃらぱしゃらぷるぷるぷる」のように、積み木をけとばす音、歯を磨く音など独特のオノマトペで表現しています。







 ものがたり紹介 『り・り・り・り・り』 五味太郎/作・絵  偕成社

「り」の音だけの絵本です。
夜の寝静まった静けさの音です。








 ウッドブロックを鳴らす(楽器の紹介)

 ♪ シンコペイテッド・クロック (ルロイ・アンダーソン作) を聴く

 ものがたり紹介
 『もりのおとぶくろ』 わたりむつこ/作 出久根育/絵  のら書房

けがをしたおばあちゃんを元気づけようと、森に出かけた子ウサギたちは、ふしぎなおとぶくろをみつけました。








その2 天気の音をきく
 写真絵本の紹介 『みずたまレンズ』 今森光彦/作 福音館書店

朝露や雨に濡れた葉っぱや花にみずたまが付いています。








 よみきかせ 『あまつぶぽとりすぷらっしゅ』 アルビン・トゥレッセルト/作 L・ワイスガード/絵  渡辺茂男/訳 童話館出版

雨が小川になり、湖に行き、大河になって海に行く。
言葉にリズムがあります。







 ♪ あまだれ ショパン(ピアノで演奏)
 ♪ あめふり 中山晋平作曲(童謡)




 小学1年生で「♪シンコペイテッド・クロック」を鑑賞する時間がある、というお話からこの曲をもとにブックトークを組み立てることにしました。曲の中で時計の音(♪チクタク)を楽器(ウッドブロック)で表現していたので、生活の中にある音が絵や物語の文中で表現されている本を中心に書架の本から選びました。

  音楽の先生からはウッドブロックの実演や日々の生活の中にある音を音楽で表現したもの(今回はショパンの♪雨だれや童謡の♪あめふりなど)を提示していただき、司書と話し合いながらすすめることで、授業のイメージや子どもに必要な素材やそのためのアイデアが双方向で浮かんできました。また、音楽の鑑賞とブックトークを聞くことはイメージをするという共通点があるということに気がつき、音楽ブックトークという実践のおもしろさを実感できた時間でした。

(東京学芸大学附属小金井小学校司書 松岡みどり)



 お互いに頭の中の本と音楽のストックから出し合い、それらを見てまた出し合うという相乗効果で、立体的に本と音楽の世界が広がっていきました。始めから絞りこむのではなく、まずはおおまかに出してから形を整えていったのがよかったと思います。取捨選択するためには、子どもの姿を想定しながら話し合いを重ねることが必要です。また、司書として譲れない点、音楽科として譲れない点(=CD等の音源を聞くだけでなく、ウッドブロックという打楽器を持ってきて実際に聞かせたい)もしっかりと主張することが良い授業(案)につながりました。

(東京学芸大学附属世田谷中学校 音楽教諭 原口直)

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