石をテーマにしたブックトーク~石の中にはなにがある♪
2017-12-04 14:56 | by 松岡(主担) |
小金井小は11月が読書月間で、貸出し冊数の上限を増やし、朝の読書タイムや読書記録の作成など普段以上に読書と親しむ月でした。
本校なでしこ図書館でも図書ボランティアの主催で今年度は1、3、4、6年を対象に講師の方をお招きしてゲスト授業を行いました。そのうち1年生対象に行ったゲスト授業「いし!イシ!石!~石の中にはなにがある♪」を紹介します。
講師としてお迎えしたのは附属特別支援学校司書の田沼恵美子さん。私が中学生の時に学校司書をされていて、その時からのご縁もあって今回のゲスト講師を依頼しました。
1年生へのブックトークのテーマは「石」。小金井小では宿泊学習で石の研究をする児童も多く、関心のある子が多いテーマの一つです。
当日はクラスごとに図書の時間を利用して行いました。
初めは田沼さんによるお手製の赤ずきんのパペットとともに自己紹介。赤ずきんからおばあさん、そしてオオカミへとくるくると変わるパペットに子どもたちがひきつけられていきました。
「いつも接している司書さんからおはなしを読んでもらって」という田沼さんのご配慮から、ここで一旦司書・松岡とバトンタッチして、絵本『はまべにはいしがいっぱい』を読みました。
『はまべにはいしがいっぱい』
レオ=レオニ/作 谷川俊太郎/訳
好学社
それから田沼さんによるブックトークの始まりです。最初に紹介した本は『石ころ 地球のかけら』。山の岩が石ころとなり砂になる過程と山ができる過程が描かれた本です。田沼さんは内容を紹介しながら「石ころの旅」のおはなしをしてくださいました。
石や岩のなりたち、そして地球についてという内容が、1年生なりに理解していく様子が伝わってきました。
『石ころ 地球のかけら』(たくさんのふしぎ傑作集)
桂雄三/文 平野恵理子/絵
福音館書店
そして長い時間をかけて山ができるまでに、海の底で石ころといっしょにおしつぶされた生きものたちが化石になっていく…、というおはなしから次の本『石の中のうずまき アンモナイト』の紹介です。
『石の中のうずまき アンモナイト』(たくさんのふしぎ傑作集)
三輪一雄/文・絵 松岡芳英/写真
福音館書店
アンモナイトってどんな生きものなのか?どんなところで化石が見られるのか?というおはなしを交えながら、スライドで田沼さんが撮影してきた日本橋高島屋の大理石の中にあるアンモナイトの写真も映し出しました。
石の中にある化石から続けて紹介された本が『石の卵』、石の中に方解石が入った「ドラゴンの卵」や鉱物が入った「サンダーエッグ」のおはなしです。そして鉱物ってどんなもの?がわかる本『こども鉱物図鑑』を紹介し、渋谷区の「子ども鉱物館」の紹介もありました。子どもたちから「行ってみたい!」という声がありました。
『石の卵』(たくさんのふしぎ傑作集)
山田英春/文・写真
福音館書店
『こども鉱物図鑑』
矢川シズエ/著
中央アート出版社
ブックトークの随所で田沼さんはクイズもさしこみながら、子どもたちに「これは何かわかるかな?」「化石って知っている?」などたくさんの問いかけをしながらおはなしをしてくださいました。テーマとしては1年生には少々難しいかな?と田沼さんも心配されていたのですが、きょとんとする様子はなくどの質問にも積極的に答えていた子どもたちの姿がとても印象的でした。化石の話では私の知らない深海生物の名前が出てきたり、ドラゴンの卵の話では男の子たちが、鉱物の中で美しい宝石になる石の話が出てきたら、女の子たちが目を輝かせたりしていました。
最後に田沼さんから「石のなかには宝物がいっぱいつまっている。みんなの中にもすてきなものがいっぱいつまっているんだよ。」というメッセージをいただき、ブックトークが終了しました。
今回のブックトークを行うにあたり、田沼さんから「実際に石を見てもらいたい」というアイデアをいただき、理科の先生にお願いして石の標本と大きな黒曜石&スコリアをお借りしたものを展示し、最後に子どもたちに石に触れてもらいました。
また、石のブックトークをするというお話をしている中で図書ボランティアの保護者の方から「小金井小の子は石の歌を教わっている」と聞き、ブックトーク後に子どもたちにお願いしたところ「がんせきえんのうた」を歌ってくれました。この歌は石の名前がずらりと出てくる歌なのですが「こじゃり(小砂利)もむかし(昔)はいわ(岩)だった」という歌詞があり、今回のブックトークにぴったりの内容の歌でした。
歌の中に出てくる石も標本にあったので「これが花崗岩なんだね」「大理石ってさっきの田沼さんのお話にも出てきたよね」と話すと「え!これがだいりせきなの?」と驚いている子がいました。歌にでてくる「だいりせき」と田沼さんのおはなしに出てくる「大理石」、そして実物の「大理石」が一つにつながった瞬間だったのではないかと思います。
このブックトークを作り上げていく過程で「ブックトークは、本から本へのつなぎの言葉が大切」ということを田沼さんから教わりました。ブックトーク1冊目の「石ころ地球のかけら」は「浜辺にやってきました。石ころが見えます。」と始まります。読み聞かせの「はまべにはいしがいっぱい」と「浜辺」で2冊の本がつながります。他の本も同様に本と本がつながっています。
このことを意識するとブックトークの本選びがしやすくなるのではと思いました。
今回、初めに読む絵本を『ロバのシルベスターとまほうの小石』にしようかと二人で相談していましたが、時間の都合で変更しました。まほうの小石を拾ったロバのシルベスターが願い事で岩になってしまう物語です。このお話をやはり子どもたちに聞いてもらいたかったので、翌週の図書の時間で読む絵本としました。「田沼さんからのおみやげだよ」と言って読んだら子どもたちは嬉しそうに聞いてくれました。
『ロバのシルベスターとまほうの小石』
ウィリアム・スタイグ/作・絵 せたていじ/訳
評論社
田沼さんは今回のブックトークを基に大学生にも「石」をテーマにブックトークをされたそうです。大学生へのブックトークは対象と時期を小学6年生の秋ころとして、『あたまにつまった石ころが』から始まり、日本にも「石っ子賢さん」とよばれた人がいて、と、宮澤賢治を紹介し、『やまなし』へとつないだとのことです。
キャロル・オーティス・ハースト/文
光村教育図書
『やまなし』
宮沢賢治/文 川上和生/絵
ミキハウス