探究ってなんだろう?

2026-09-07 12:08 | by 野呂 |

 本校には、「ラボラトリーの時間」という特色ある学びの時間があります。 

 3年生では、1年間の中で一人ひとりが3つのテーマを設定し、自分の「知りたい」「やってみたい」という思いを出発点に、探究学習の基礎を学びます。

 4年生以上になると、さらに学びは深まります。児童は、各教員が開いている「研究室」の中から自分が興味をもった研究室を選び、所属します。1年間に半年間ずつ、計2つの研究室に所属しながら、自分の研究テーマとじっくり向き合います。

 「なぜだろう?」と疑問をもち、「もっと知りたい」と調べ、「そうだったのか」と考え、さらに新しい疑問を見つける――。そんな学びを、本校では日常的に大切にしています。

 こうした「探究する学び」は、これからの学校教育において、ますます重要になっていきそうです。

 文部科学省では、現在、次期学習指導要領に向けた検討が進められています。そこでは、「質の高い探究的な学び」を実現することと、その探究を支える基盤として「情報活用能力」を育てることが、大きな柱の一つとして示されています。小学校についても、総合的な学習の時間に「情報の領域(仮称)」を加えることなどが検討されています。

 つまり、これからの子どもたちには、ただ「たくさん調べる」だけではなく、「自分で問いを見つけ、必要な情報を集め、比べ、考え、整理し、自分なりの答えや考えをつくっていく力」が、これまで以上に求められていくということです。

 実際に、ラボラトリーでの学びを見ていると、児童からこんな言葉が出てくることがあります。

 「探究って、そもそも何なんだろうね。」

 探究をしている子ども自身が、「探究とは何か」という問いをもつ。
 なんだか、とても探究的だなと思います。
 今回は、「探究って、そもそも何なんだろう?」と聞いてきた児童へ紹介した本を紹介します。

 

『世界が広がる学問図鑑』 2023年 監修 宮野公樹 株式会社Gakken ISBN 978-4-05-501383-3

  この本は、自然・社会・スポーツや芸術・レジャーやエンタメ・社会課題など身のまわりの「気になる」を切り口にして、さまざまなテーマに関わる208の学問分野を解説しています。
 例えば「生きもの」という大きなテーマの中には、博物学、分類学、進化生物学、微生物学、獣医学、動物心理学、生態学など様々な「学問分野」に分かれていること、それらの分野について具体的な問いやどのような学問なのかが紹介されています。大きな1つのテーマへ対し、多角的な視点からとらえ直すことができる1冊であり、探究を進める上で手に取る最初の1冊目としてもぴったりではないでしょうか。

 『キミの「なぜ」も世界を変える!? ものすごい研究図鑑』 2025年 Gakken (編) 株式会社Gakken ISBN978-4-05-501457-1
   探究したいテーマが決まった人も、なかなか決まらずに悩んでいる人にもおすすめなのがこちらです。この本は、古典文学、VR、インド神話、ウイルスなど、さまざまな分野で活動する、東京大学・京都大学の12名の先生たちの研究を、豊富なマンガや写真を交えて紹介する本です。
  身近な「なぜ」からスタートして、粘り強く課題と向き合うことで社会課題を解決している人たちの姿から「研究すること」の意義を感じてもらえたらと思い、手渡しました。

  

 『しらべるつながりのずかん』 2025年 おかべ たかし/文 やまで たかし/写真 東京書籍 ISBN:978-4-487-81864-8
  こちらは少し角度を変えて、「身近な問い」を考えるきっかけをくれる1冊です。
   たとえば「サザンカ」と「スイセン」には「冬に咲く花」というつながり、「豆腐」と「しょうゆ」には「原料が大豆である」というつながりがあります。
   世の中にある「つながり」には、見ればすぐにわかるもの、ちょっと見ただけではわからないもの、しらべてはじめてわかるものなど、いろいろな「つながり」があることを紹介しながら、「つながりから問いを考える」という視点を持ってもらえたら、と紹介しました。

     

  『ちくまQブックス 生きものを探究する』 2026年 小島渉 筑摩書房 ISBN 978-4-480-25163-3
  「研究」と「勉強」の違い、研究テーマの見つけ方、探究におけるデータの見方・見せ方など自然研究の基礎が書かれている1冊です。
   本校でも毎年「生きもの」を研究テーマにする「虫好き」「鳥好き」「動物好き」などの児童がいますが、なかなか「ただ生きものについて事実となる知識を調べるだけ」から一歩踏み出し、「観察から発見につなげる」ための支援が難しいと感じていました。この本を読んだ児童の1人は、「生きものをみる「見方」が変わった気がする。」と感想をくれました。

  「探究する学び」にゴールはないと思っています。本校にも、同じ研究室に連続して所属し、半年間で探究したテーマから出た新たな疑問と向き合い続ける「小さな研究者」が生まれることもあります。児童たちがこうした「探究する学び」を通して「自ら考え、深い学びを通してしか味わえない充実感」を経験してほしいと願いながら、今日も学校図書館を運営しています。

              (東京学芸大学附属世田谷小学校 司書 野呂昭子)


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