はじまりの1冊に出会う旅 夏休みの課題を自力でレファレンス!

2025-07-10 10:31 | by 村上 |

 レファレンスの記事、何を書こう…と思いつつ、本日、中1の国語を担当する渡邉裕先生が、図書館で行っていた授業を見ていて気が付きました。これって”自力でレファレンスしよう”という話ではないかと。

 この日は2時間目から4時間目までは、保護者の方に自由に授業を見学してくださいという日。授業参観の場所が図書館…というのは初めてかもしれません。夏休みに国語の教科として生徒に出した4つの課題について話すというのが主な内容でしたが、その最後の課題のために、どんなふうに本を探せばいいかを生徒に伝えていたのです。

 中1は、3学期にスピーチ大会があります。今年は、自分の好きなことについて語るそうです。そこで夏休みには、自分の好きを広げる、あるいは深めるための新書を1冊探して読んでみるという課題、それが「はじまりの1冊に出会う旅」です。

 机の上にはあらかじめ、岩波ジュニア新書・ちくまプリマー新書・講談社ブルーバックス・岩波ジュニアスタートブックス・ちくまQブックスの5冊が用意されています。先生が、「新書って何だと思う?」と聞くと、ほぼ100%「新しい本!」という答えが返ってきます。そこでテーブルの本をしばし手に取ってもらい、実は新書はサイズからきている話をするのですが、若干大きい2冊が新書が読めるようになるためのさらなる入門書であることを伝えます。

    *新書に関しては、こちらの記事もぜひ参考にしてください。

 

 今回、先生が紹介したかったのは、「新書マップ4D」。まずは先生が画面を見せると、どのクラスも、「おーっ」と声が上がります。テーマ別にも出版社別にも並び替えができること、最近加わった「わたしの本棚」機能も説明します。さらにはテーマリウムの使い方を説明。テーマリウムは生徒の端末からもサクサク動くのですが、新書マップ4Dは重たいので学校で同時にアクセスするのには不向きかもしれません。

 新書マップは、仮想空間で新書をテーマ別やタイトル順に並び替え、まるで本棚を自由に探索するように、自分の興味関心に合った本を見つけやすくすることを目指してつくられているそうです。端末でここまで見ることができるのは、司書としても驚きです。

 読みたい新書を見つけたら、世中OPACで所蔵を調べてみる。もし所蔵されていなかったら、公共図書館の蔵書が調べられるカーリルを紹介。自分の住んでいる地域の公共図書館の蔵書を調べて予約もできることを伝えると、「すご~い」と感心する声が聞こえてきます。カーリルは、一般的な公共図書館のOPACよりもビジュアル的に優れているし、所蔵情報だけではないのも、魅力です。

 さらには、今年から導入した「ジャパンナレッジSchool」では、岩波新書・岩波ジュニア新書・ちくまプリマーブックス・講談社ブルーバックスそれぞれ100冊、計400冊もの新書が読めます。ジャパンナレッジには、セマンティック検索(ジャパンナレッジSchool独自の検索機能。あいまいな質問に対しても、探している適切な情報に導いてくれる。)という便利な機能があります。検索するキーワードが思いつかない、探究テーマが決まらないときに使うと、800冊以上の本の中からおすすめの本を紹介してくれるという優れものです。

 これらを使いこなして、自分のレファレンス力を鍛えるのは、これからの中学生にとっては大切なことでしょう。そして、私たち学校司書も、新しい技術についていけるようまずはなんでも使ってみることが大事ですね。

東京学芸大学附属世田谷中学校  司書 村上恭子

 

 


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