この次のおすすめ本は?
2024-07-10 15:41 | by 宮崎 |
毎日のようにメディアセンター(学校図書館)にやってきて、「おすすめの本を教えて」、という子がいます。毎日同じ子どもたちと触れ合える学校司書ならではの醍醐味ですよね。各学年に一人くらいはいるので、この子には何をどこまでおすすめしたっけ?と考えながら、あれこれ本を差し出しています。低学年の授業中は常に複数の子どもにいろいろなことを聞かれているので、それほど丁寧な対応はできていないのですが、本当はもっと大切にしたい時間だと思っています。レファレンスとは少し違うかもしれませんが、そんなひとりの女の子への読書案内の様子をご紹介します。
2年生のAちゃんがおすすめを聞きに来るようになったのは、1年生の2学期ころからだったでしょうか。さいしょのころは、なかよしのお友達とおそろいの本を借りることにこだわっていたようで、いつも二人そろって、同じシリーズの絵本や、『ルルとララのおかしやさん』(あんびるやすこ 岩崎書店)シリーズなどを借りていました。
ある日メディアの授業中に、いつもの二人で私のところに来て、「絵本じゃなくてなにか読めそうな本を教えてほしい」と言ってきました。お、来たなと思いながら、やっぱりおそろいがいいのかな、と考え、またかわいいものが好きそうな女の子だったので、たまたま2冊所蔵している『天使のかいかた』(なかがわちひろ 理論社 2002 4-652-00901-1)を出してみました。この本は、かわいらしい絵とおはなしですが、文字が少ないのに、物語の起伏も、ページ数もそれなりにある、満足感の高い本で、女の子におすすめする定番の本です。その時も気に入ってもらえたらしく、しばらく他のなかがわちひろ作品を読んでいました。
複本で持っている本はそんなにないので、また二人で来たら、どうしようかなと考えていたところ、次からはAちゃんひとりでおすすめを聞きに来てかりていくようになりました。Aちゃんはたいてい面白かったらしい本をもってきて「こんな感じの長さのおすすめの本を教えてください」と言いに来ます。とてもわかりやすい聞き方なので、こちらも答えやすく助かっています。その時もなかがわちひろの作品を持ってきて、こんな感じの本、というリクエストだったので、イラストの雰囲気の似ているたかどのほうこの『のはらクラブ』シリーズ(たかどのほうこ 理論社)をすすめたところ、これもうまくはまり、他のたかどの作品も読むようになりました。
その中で『トムと3時の小人』(ポプラ社 2021 9784-591-17032-8)がとてもよかったらしく、次には「小人の本ありませんか?」と来ました。小人と言えば『床下の小人たち』(メアリー・ノートン 岩波書店 1969 4-00-114062-4)なのですが、これはAちゃんには長すぎます。『たのしいこびと村』(ハイネマン 徳間書店 2017 9784-19-862416-3)を紹介したところ、借りていきました。これはあまりハマらなかったようで、次にはもう少し短いのがいいと言われました。
この後、『おひさまやのおへんじシール』(茂市久美子 講談社 2012 9784-06-198185-0)シリーズ、同作者の『ドラゴンにごようじん』(茂市久美子 国土社 2001 4-337-03011-5)シリーズ、『おばけのアッチ』(角野栄子 ポプラ社)シリーズ、『モンスターホテル』(柏葉幸子 小峰書店)シリーズなどを経て、最近はいとうみく作品を読んでいます。
そろそろもう一段階文字の多いものが読めそう、と思って紹介すると、字が小さすぎると断られてしまうのですが、この先も一人ひとりの子どもに寄り添えるしあわせをかみしめながら、ゆっくり彼女の成長を見守りたいと思っています。
(東京学芸大学附属竹早小学校司書 宮﨑伊豆美)