リーダーシップって何?
2024-09-03 10:51 | by 岡田 |
3年生の女子生徒がカウンターで「リーダーシップの本はありますか?」と尋ねてきました。市民教育関連の図書を紹介しかけて、生徒のあまり元気のない様子に、なぜ必要なのかを再度詳しく聞いてみますと「辛夷祭の脚本を決めるのに大変な思いをしている」との事でした。本校は3年生が最後の辛夷祭で全クラスが演劇に臨みます。総合芸術と言われる演劇はキャストのオーディションから、読み合わせ・立ち稽古・大道具小道具作りと大変なエネルギーを注ぎます。演劇の方向性で意見が衝突することもしばしばあり、スタッフ同士でうまくいかないことも出てきます。話していくうちに、多数決の不公平感や話し合いの難しさなどが生徒の心にあるようでした。「今まで中庸でいいと思っていたけれど、自分らしくなくなって、何か納得いかない。どうしていいかわからない・・」と話す生徒にこんな本を紹介しました。
『自分の意見で生きていこう』ちきりん 2022年 ダイヤモンド者 ISBN978-478-115220
承認欲求と意見の関係性や自分の意見の相手への伝え方をSNS時代に生きる今に即して伝えます。空気の読みすぎや炎上に考慮して、なかなか自分の意見の言えない生徒にもおすすめです。
『コンセプト・センス』吉田 将英 2024年 WAVE出版 336.1ヨ ISBN:978-4-86621-474-0
正解のない事に方向性や理念を与えるのがコンセプトとして、自分自信の考えを形にするセンスをみがく内容となっています。
『問いのデザイン』安斎 勇樹 2020年 学芸出版社 379.6ア ISBN:978-4-7615-2743-3
問いをデザインすることによって、課題解決のプロセスを明確にし、相互の関係性を発展させる方法を学びます。
「もう演劇に関わるのをやめようかな」と話す生徒に、今までの生徒も悩んで乗り越えて来た様子や辛夷祭が卒業後の生徒の人生の大きな力になっている事を伝えて、この本を生徒に手渡しました。答えのない演劇だからこそ、悩みながら行う学校行事を通して一回り大きくなる生徒に寄り添った学校図書館を目指しています。
(東京学芸大学附属高等学校 司書 岡田和美)