『ものがたりの家』から

2023-12-07 13:48 | by 宮崎(主担) |

 建物の断面図や、家の間取り図ってワクワクしますよね。小学生の子どもたちにも、おうちの断面図や、間取り図、細かく書き込まれた部屋のイラストなどは、人気があります。『ものがたりの家』の人気から、もっとそういったイラストや、おはなしの本を読みたいと言われて、提供した本の事例を紹介します。


『ものがたりの家』(吉田誠治/著 パイインターナショナル 2020 9784-7562-5358-3)

副題に「美術設定集」とあるように、「几帳面な魔女の家」「忘れられた孤児の城」など、すぐにも物語が始まりそうな設定の家を、細部まで細かく描いたイラスト集。

この本は、はじめ中学校にしかなかったのですが、小学生にも人気になったため購入しました。この本を見ながら、「こういうのだいすき!」と盛り上がる4、5年生女の子たちがいて、じゃあこんなのもあるよ、と別の本を紹介するようになりました。

『どんないえにすみたい?』(ジョージ・メンドーサ/文 ドリス・スーザン・スミス/絵 好学社 2022 9784-7690-2273-2)

 建築家のねずみが作った様々な家を、きれいな細密イラストで見せる絵本。りすのツリーハウスや、いつでもどこでもねころがれるネコの家など、楽しい家がたくさん出てきます。どれがすき? と選びながら、わいわい見るのも楽しい。


『人形の家にすんでいたネズミ一家のおはなし』
(マイケル・ボンド 徳間書店 2016 9784-19-864902-9)


 とても立派な人形の家が、見開きいっぱいに美しいイラストで描かれます。このページだけでずっと眺めていられそうです。ネズミたちの衣装もとてもかわいらしく、女の子たちが喜んで眺めていました。



 もう少し長い本が読みたい人には、こちらを紹介しました。
『ねずみの家』(ルーマー・ゴッデン/作 たかおゆうこ/絵 徳間書店 2001 978-4-19-861420-1)
 こちらもかわいらしい人形の家のさし絵があり、やさしく読めるけれどもドキドキのストーリーで、満足度の高い作品です。作者のゴッデンは人形のおはなしをたくさん書いており、『人形の家』(ルーマー・ゴッデン 岩波書店 2000 4-00-114067-5)は、まさに人形の家をめぐる物語で大変読みごたえがあります。昔出ていたハードカバーの本には、見返し部分に人形の家の断面図が描かれていて、小学生時代の私が夢中になった本ですが、岩波少年文庫版にはそのイラストがなく、今の中学年の子には少しハードルが高い本になってしまいました。今の子たちがもう少し大きくなったらすすめてみたい本です。 



 
『ハートウッドホテル』全4巻(ケイリー・ジョージ 童心社 2018 9784-494-01741-6)
『ひみつの地下図書館』全4巻(アビー・ロングスタッフ ほるぷ出版 2022 9784-593-10271-6)
 これらのシリーズは、家の断面図までは出てこないものの、かわいらしいイラストで、部屋のなかの様子が描かれていて、やさしく読めるけれどもそれなりに読みごたえがあるので、喜ばれたようです。何人もの子がシリーズを読破して、友達にすすめていました。



 最後に、これまで紹介したかわいらしい女の子が好みそうなイラストのシリーズとは少し系統が違うのですが、今後紹介したいと考えているのがこちらです。
『ふしぎな木の実の料理法』
(岡田淳 理論社 1994 4-652-00611-X)

 この本から始まる「こそあどの森」シリーズは、主人公のスキッパーをはじめとして、個性的なキャラクターの住人たちが登場するファンタジーですが、住人たちの住んでいる家もそれぞれ個性的なのです。スキッパーの家は「ウニマル」という船の形ですし、「ゆわかしの家」「まき貝の家」など楽しい名前の付いた家がすべて断面図で紹介されています。ちょっと不思議な、こそあどの森の世界に没入する仕掛けの一つにもなっているようです。



 こういった細部が楽しい本は、たくさんありますが、検索ではなかなか探しにくいものです。司書自身も子どもたちと一緒に楽しむことで、本の情報の引き出しを増やしていきたいと思っています。
(東京学芸大学附属竹早小学校司書 宮﨑伊豆美)

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