犬になって、考えてみる。

2018-01-10 13:26 | by 松岡(主担) |

 今年の干支は戌年です。干支にちなんで犬の本を紹介します。


 







りっぱな犬になる方法+1(プラスワン)」

きたやまようこ
童心社

 1992年に出版された作品に加え続編でもある「イスとイヌの見分け方」が合本になり新装版として出版されました。

 きたやまようこさんの作品はかわいらしいイラストと他とは違った視点で描かれていているものが多く
楽しい、かわいいだけでなくふとじっくり考えたりできるところが魅力のひとつです。
「りっぱな犬になる方法」ももしも犬になってしまったときのために「犬がおしえてくれたちゃんとした犬になる方法の本」という切り口から始まり、犬の生活を犬の目線で教えてくれるというものです。
「イスとイヌの見分け方」も「じぶんはぜったいだいじょうぶとおもっていてもある日とつぜんイスとイヌがわからなくなるなんてことはよくあることです」と始まります。
 当たり前と思っていることがもしかしたら…と本の世界にすっと入り込んでいきます。
 そして、ていねいに描かれた犬の特徴にふむふむと見入ってしまうのです。なにせ「犬がおしえてくれる」のですから、犬のことがよくわかります。よくわかると犬と仲良くなれるような気がしてきます。
 
 こちらは小学3年生のAさんの愛読書です。








「犬と私の10の約束」
サイトウアカリ/著 霜田あゆみ/イラスト
角川つばさ文庫

 この作品の中の「10の約束」も犬の視点から犬とともに生活をする人へ約束してほしいことが描かれています。
 彼女はこの作品が大好きなようで何度も利用しているのを見かけます。

犬が登場するノンフィクションなども好きで読んでいましたがある日
「他にも犬の本、ないかなー?」
と聞かれました。
彼女にとっては表紙や挿絵も本を選ぶ時の大事な要素なので、
彼女のアンテナがぴんとくるような作品を探しに一緒に書架をまわりながら本を見ていきましたがその時は残念ながらお気に入りとは出会えませんでした。

はじめに紹介した「りっぱな犬になる方法」も
「この本、私好きなんだ」と勧めてみましたが、彼女には少し物足りない様子でした。

きたやまようこさんの作品は低学年はもちろん高学年でも発見のある幅広い年齢層で楽しめるものが多いと思いますが見た目には少し幼い印象があるようです。
新装版になってボリュームアップした「りっぱな犬になる方法+1」は
中~高学年の子どもたちが新たな気持ちで手に取れる一冊になればいいな、と思っています。
(東京学芸大学附属小金井小学校 司書 松岡みどり)

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