グリム童話と森

2019-09-01 10:42 | by 岡田(主担) |

 1年生の女子生徒から「グリム童話はありますか」とのレファレンスを受けました。最初はドイツ文学の棚の前で相談を受けていましたが、話し合ううちに質問の内容が変化してきました。この事は生徒のレファレンスを受けていてよくある事ですので、常日頃から学校図書館では細心の注意を払う点です。生徒から慎重に話を聞くと「童話の中の森のイメージやヨーロッパと日本の森の違いについて調べてみたい」との事でした。必ずしも童話を読みたいのではなく「森」を通してそれの意味する文化的な違いを論文のテーマに選びたいと聞き取り調査で判明しましました。


『初版グリム童話』グリム 1998 白水社
 
 このような時には、具体的に資料の違いを示す事で生徒はテーマにより近づく事ができます。高校生の論文には先にテーマが必ずしもあるのではなく、身近にある学校図書館資料によってテーマを固めていくケースが往々にしてあります。生徒には、以下のように選書の視点を変える必要性がある事を指導しました。書籍以外にも「もののけ姫」のような自然をテーマにした映画作品も参考資料となります。


『グリム童話と森』森涼子 2016 築地書館



『日本人はどのように自然と関わってきたのか』コンラッド•タットマン 2018 築地書館




『黒い森のグリム』大野寿子 2010 郁文堂




『森が語るドイツの歴史』 カール•ハーゼル 1996 築地書館


『ヨーロッパの森から』谷口幸男 1981 NKHブックス

               
  (東京学芸大附属高等学校 司書 岡田和美)

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