私の主張発表会
2019-11-11 16:37 | by 井谷(主担) |
最終的には各自800~1600字の文章を書きますが、10月にまずはスタート地点としての400字を書きました。そして、その内容を充実させるために、各クラス1時間ずつ図書館で資料を探す時間をとりました。ただ自分の考えを述べるだけの作文ではなく、また調べたことをまとめるだけのレポートでもなく、資料によって自分の考えを膨らませ、説得力のある文章を書こうというものです。
テーマとしては、「プラスチック海洋汚染」「食品廃棄」「アニマルライツ」「差別・人権」「香港のデモ」などの社会性のあるものから、「自分の未来」「先輩後輩」「幸せとは」「スマホとの付き合い方」などの身近な事柄や自分の内面と向き合うものなど、様々でした。自分でうまく資料を見つけられない生徒には、「どのような方向性の主張にするつもりなのか」を聞きながら、本を提供していきました。また、現在進行形のことに関しては館内に4紙ある新聞で確認したり、20台あるタブレットで具体的な数値の裏付けをとったりと、それぞれのテーマにあった資料を提供できるよう心がけました。
例えば、環境問題について主張したい生徒が
「グレタさんが国連でスピーチしたときの新聞を見たい」
と言ってきたときには、まずタブレットを渡してそれがいつだったかを自分で調べ、新聞4紙に当たるよう助言しました。さらに510の書架から環境に関する本を紹介したり、グレタさんのスピーチを読み解くために『ニュース年鑑』や『現代用語の基礎知識』などを手渡したり、様々な種類の資料を提供しています。
また、命の大切さを訴えたい生徒が、タブレットで自殺者数を調べようとしても、校内のものには何かブロックがかかってしまい調べられないと言ってきたときには、『日本国勢図会』の最新版で、死因別死者数のページを一緒に見たりもしました。
(10代から50代前半までの自殺の割合がこんなに多いとは私も驚きました!)
授業後の生徒の感想には
「資料と自分を照らし合わせて考えると、より考えが深まる気がした」
「本には自分の考えとは違う意見が載っていたので、合わせて考えたい」
「哲学の本を初めて読んだが、わかりやすかった」
「初めて知ったことがたくさんあった。自分の知識に肉付けしていきたい」
などと書かれており、資料を活用している様子がうかがえます。12月の本番までにどのように各々の考えを深めていくのか、私も楽しみにしています。
(東京学芸大学附属小金井中学校司書 井谷 由紀)