手と手をつなぐあたたかさを感じて

2023-07-07 15:51 | by 宮崎(主担) |

 東京学芸大学附属特別支援学校小学部では、毎年6月ごろ「絵本集会」という集会が行われています。ほしぐみ(1・2年生)そらぐみ(3・4年生)うみぐみ(5・6年生)がそれぞれ出し物を考え、準備をして本番にのぞみます。なかなか各クラスともに趣向を凝らしているので、そのあとでトリを務める司書の出番は、何を読もうか選書の難しさを感じていました。 
  迷ったすえ、今年選んだのは、『てとてとてとて』(浜田桂子 福音館書店 2008)。以前から特別支援学校でこそ読んでみたいと思っていた本でしたが、みんなで声を出したり、手をつないだりすることはでコロナ禍ではできず、あきらめていました。ようやくさまざまな制限がなくなり、やっと出番が来たと思ったのです。 

 


 集会は、ほしぐみさんから始まります。『だるまさんが』(かがくいひろし ブロンズ新社 2008)を大きな画面に映し、前に出てきた子どもたちは、先生の読む声に合わせて、体をゆらしたり、どてっとこけてみたり。かわいらしいだるまさんがいっぱいでした。
 


 そらぐみさんは、『へんなおばけ』(大森裕子著 白泉社 2012)。おかしな形のおばけが次々出てきますが、その正体は…? じゃーん!とシーツをめくると、くまさんなどかわいい動物たち。子どもたちは、おばけこわーい!と言いながらくっつき合い、正体を見てホッとして、先生と一緒に「おばけなんてなーいさ♪」と歌って楽しんでいました。


  うみぐみさんは、子どもたちがそれぞれ自分の好きな本を紹介します。高学年として、緊張しながらも一人ずつ前に出て、人前での発表をほこらしげに頑張っていました。さいごに、お休みの子のおすすめの本だった『しろくまのパンツ』 (tupera tupera∥作 ブロンズ新社 2012)を先生から読み聞かせてもらい満足そうに終わりました。 

 
 そして、最後が司書の読み聞かせです。『てとてとてとて』を大きなモニター画面に映しながら、「今日は手が主役の本を読みますよ。手遊びから始めましょう。できる人は真似してみてね」と言って「始まるよったら始まるよ」という手遊びから始めました。知っている子も知らない子も、なんとなく手をたたくところはついて来てくれました。 

 
 絵本の中にも手をたたいてリズムを取ったり、手まねきして「おーい」と呼んだり、様々な手の使い方が出てきます。全部やってみる時間はないので、できそうなところをゆっくりやるようにしました。

なかでもわらべうた「ずいずいずっころばし」は子どもたちには手を出してもらうだけでいいので、歌いながら全員のところを回りました。手を筒にして前に出すだけでもなかなか難しい子も多いのですが、少し触れあうだけでも、くすぐったそうにして楽しんでくれているようでした。握手のページもできるだけ全員と握手して、最後は全員で手をつないで大きな円を作って、終わりました。みんなで笑ってつながることができて、とても楽しい時間を過ごすことができました。 

 









 コロナ禍では、手と手が触れることも避けて暮らしていましたが、改めて触れ合うことで気持ちがつながる温かさを実感しました。 
(東京学芸大学附属特別支援学校司書 宮崎伊豆美)

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