絵を読む絵本のよみきかせ

2015-11-01 11:37 | by 中山(主担) |

 ユリ・シュルビッツの『よあけ』(瀬田貞二訳 福音館書店 1977年)は、小学校高学年に読みます。中学生、高校生にもよいと思います。

 この絵本のよみきかせには、ウォーミングアップが必要です。
休み時間にボール遊びや鬼ごっこをしてきたような子どもたちに、落ち着いてもらうために、
まずは目を閉じて(薄目でもいい)深呼吸してもらいます。

 胸ではなく、お腹を意識して、まずは息を吐く。吐いて、吐いて、そして、一瞬止める。息を入れる。もう一回…と、3回行ってから、目を閉じたまま、音を聞いてもらいます。
 「何が聞こえますか~」と、2、3人に指名して聞いてみます。
今度は「今日の空気をほっぺたや手に感じてみてください。
今日は晴れてるからなんかあったかいよね、これが雨だったらまた違う空気だよね。」と言いつつ、
今は昼間だけど朝の空気はまた違うよねと、明け方の空気って独特だけど知ってるかなといざない、思い出してもらいます。
 
 「それでは この絵本の「よあけ」を一緒に体験しましょう。」と、はじめます。

 絵をたっぷりとみてもらい、めくるタイミングを図ります。見せすぎて物語の時間が途切れてもいけないし、早すぎて味わい損ねてもいけない。
 読み手と聞き手の一体感。
 空気と光の変化と、ときおり、音。
 余韻を楽しむ。

 「みおをひいて」のところは、絵本の真正面に、ほんとにボートの漕いだ跡(みお)が残っていく感じなんだよねと、教えてくださったのは、もう、数年前の担任の先生でした。(今は、某自治体で指導主事をされています。)

 ラストの画面いっぱいに広がる朝の光のあとには、拍手が起こることもありました。

 字のない絵本のよみきかせも、同様に
読み手と聞き手が一体となって、物語を楽しめます。

 ※〈字のない絵本 絵を読む絵本リスト〉は、ブックリストのページをごらください。
 ピーター・スピア『雨、あめ』の読み聞かせについては、こちら
          
(東京学芸大学附属小金井小学校司書 中山美由紀)





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