今月の学校図書館
こんなことをやっています!
東京学芸大学附属国際中等教育学校
2013-05-12 07:55 | by 渡辺(主担) |
今月の学校図書館
新緑の美しい季節となりました。
今月は、東京学芸大学附属国際中等教育学校のメディアセンターのようすをご紹介します。
附属国際中等教育学校の総合メディアセンターの特色は、多目的に館内が使用されるという点です。授業での活用はもちろん、生徒や教員、部活、委員会などさまざまな取り組みを、メディアセンターの空間から発信しています。
今月は二つの授業のようすと、被災地を訪問したボランティア部の生徒の展示をお伝えします。
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新年度がスタートし、館内は入学したばかりの1年生をはじめ、さまざまな学年が授業で訪れています。教科によって、館内の授業スペースが多様に変化。 1クラスでも、1学年(130名)全員での授業でも可能であることが、年間300時間をこえる授業での活用につながっています。今月は「数学」と「音楽」の授業のようすです。
「数学」 (中等1年生) アナライザーを使って、ワークシートに書かれた「線」(直線や曲線)が、どのような人間の動作からできているのかを考える関数の授業です。 生徒たちは、ゆっくり歩きながら途中でジャンプしてみたり、徐々に歩く速度を変えてみたり、グループごとに大賑わい。 アナライザーは人間の動作を感知して、グラフを作ります。先生「横軸は何をあらわしていたかな?」 生徒「センサーからの距離!」 。体を使って関数の勉強をするという、司書の私が中学生だった頃にはおよそ経験したことのない授業でした。
「音楽」(中等4年生) メディアセンターの使用は珍しい音楽の授業。全員が輪になって、5つのパートに分かれて、英語で「愛しのエリー」を合唱。先生のちょっとしたアドバイスで、歌声が密になり、館内に響き渡ります。思わず仕事をする司書の手も止まりうっとり。

『見た・聞いた・話
した<石巻・女川>
~今、伝えたいこと』パネル&図書展示
今年の春休み期間、3月27日~29日にかけて、ボランティア部の16名の生徒と3名の教員が、宮城県の石巻、女川を訪問しました。
三日間の被災地訪問をへて、他の生徒にも現地のようすや自分たちの思いを伝えたい!と、メディアセンターでの写真パネルと図書展を企画。 朝、昼休み、放課後と準備をすすめ、5月13日から館内で展示会がはじまりました。
一日目・・・・女川向学館で同じ世代の高校生と交流。
生徒「東京の私たちよりも堂々としていて、未来をしっかり見つめてた。つらい過去
を受けとめて、未来へ踏み出そうとする彼らのことをけして忘れない」
二日目・・・・漁業体験とベルリン音楽祭 in 仙台で復興太鼓演奏会
かまぼこ工場を経営する男性の話を聞く。
生徒「先代からの財をすべて失ったというのに、この際すべてを新たにスタートすると、とても前向きだった」
三日目・・・・大川小学校にて献花
生徒「目にやきついて離れない。テレビや新聞で見た現実味のない光景が、今まさに目の前にある」
宮城県の地図には、仮設住宅の場所が無数表示されています。
展示を見ていた生徒が「こんなに仮設住宅が今もあるってことは、復興がすすんでないってことですね」とつぶやいていたのが印象的でした。
今回、館内では司書も協力して「石巻&女川」関係の図書を集めました。一冊ずつにつけたポップはボランティア部の生徒の作。「あらすじなんて書けないです!」と嘆いていたので、「一冊ずつから、印象に残る言葉を抜き出すだけでも十分」とアドバイスしました。
▲現地で入手したパンフレットも展示。 ▲会期中も展示パネルは増える予定です
「現地を訪れ、被災地の強い復興への思いを感じました。その勢いに私たちが食らいついていくくらいの姿勢をみせたいです!」
___そして、ボランティア部の生徒たちは今年の夏、再び石巻、女川を訪れるそうです。
この展示を、一人でも多くの生徒に見てもらおうと、図書委員会も全面的に協力して、今広報をおこなっています。
展示を見学した生徒たちは、何を感じるでしょうか。

この記事をアップデートした本日13日、お昼休みに中等6年生の図書委員長がメディアセンターにやってきました。
すると!突然大声で館内にいる人たちに、「みなさん聞いてください!今日は司書さんの誕生日です!皆さん一緒に歌をうたいましょう!」と、館内にいた生徒たちを誘ってハッピバースデーをうたってくれました。 突然のことにあっけにとられていると、「プレゼントです。お酒のおつまみにでもどうぞ」とスルメイカ一袋をくれました。
中高一貫校になり、楽しみの一つは生徒の成長を図書館から6年間見守れるようになったことです。歌声のプレゼントは5月の忘れられない贈り物となりました。
(東京学芸大学附属国際中等教育学校:渡辺 有理子)