読書・情報リテラシー

新書を知ろう!

2024-03-30 00:00 | by 村上 |

新書を知ろう!―新書回転寿司は知識の本で小学生から大学生まで

                  立教大学兼任講師 中山美由紀

 

 日本の子どもたちもノンフィクションを楽しんでほしい、物語を楽しむのと同時に、知的文化的世界を広げて社会と自分の関係を探ってほしいと、思ってきました。

 近年、「新書って、なに?」と聞くと新しく出た本と答える大学生も珍しくなくなってきました。かつては大学生で知らぬものはなく、高校でも読書会をするような学問の入り口、社会課題のいまを紐解く、幅105ミリ縦173ミリという文庫本に比べて縦長のサイズの手頃な価格のペーパーバック。日本独特の出版物です。最近は実用書もふえてきましたが、学校図書館にとってはティーンズ向け、さらに入門のシリーズが出てきたことに注目しました。

 探究(的な)学習の展開には学校図書館コレクションとして欠かせなくなっています。それらを学生に伝えるべくA4サイズ1枚に新書を中心としたコレクションの系譜やリンクを添付のようにまとめてみました。なにかお役立つようであれば、ご利用いただけたら幸いです。

 

      YA向け新書・新シリーズ2024改訂版

     (注 書影は各出版社に許可を得ています。)

 

 

 

 

 知識の世界を紐解くはじめは、小学校コレクションでは「月刊かがくのとも」(福音館書店)や「キンダーブック しぜん」(フレーベル館)から始まるのですがここでは3年生以上を対象として、自然科学のみならず、社会科学、芸術、言語など幅広い分野を扱う「月刊たくさんのふしぎ」(福音館書店)からはじめてみました。

 次に岩波ジュニアスタートやちくまQブックス、次にティーンズ向け 岩波ジュニア新書やちくまプリマ―新書ほか。

 そして、一般新書 御三家は 岩波新書、中公新書、講談社現代新書ですが、今はたくさんの新書シリーズがでています。講談社現代新書は「ハンドレッド」という、思い切ったコンパクト化を始めました。反響はどうなのでしょう。

 科学新書の方はとらえきれていませんが、「かがくのとも」や「しぜん」の次は、ニュートン社の試みが気になっています。学校図書館としては講談社ブルーバックスへむかうルートになるでしょうか。

 NHK出版の「100分de名著」や「学びのきほん」シリーズも入門にいいと思いました。

 岩波ジュニア新書 40周年記念のガイドブック『ホンキのキホン』に紹介されている探究のテーマ決めのために新書を読む清教学園の中学生の営み元祖「新書回転寿司」は、少し改良して大学生にも行っています。自分の好き!をみつけることほかの人の好き!にふれること自分一人では出合えなかった本との出合いの新鮮さ。中高でやったらおもしろそうだったといいます。

 ぜひ、学校図書館でも知識の系譜の「手軽な」はずの本を手にする機会を設けていただければと思います。

 読書は繰り返し、慣れなのだと思うのですよね。活字が小さくなっても、詰まっていても読めるようになっていくのではないかなと思います。スポーツ部活と変わらない日々の訓練と練習です。

                            2024年3月30日

 

(編集部注:新書を読む取組は、清教学園の片岡紀夫先生の実践の他、当サイトにも、新潟県立高校の押木和子先生の実践事例があります。また、木下通子さんが書かれた岩波ジュニア新書『知りたい気持ちに火をつけろ!』の中でも、点検読書が紹介されています。)

  

 

 


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