今月の学校図書館

こんなことをやっています!

東京学芸大学附属高等学校図書館 実践報告 2025年度

2026-03-01 10:42 | by 岡田 |

 東京学芸大学附属高等学校図書館の2025年度の実践の振り返りを行います。今年度は本校にとって生成AI元年に当たると思っています。2023年度から「ChatGPTの授業活用」の使用許諾書は(1年生)保護者からとってはいましたが、昨年度は「利用していない」と言っていた生徒達が「利用したことがある」に大幅に増加したからです。

1.AI関連

          「日本教育新聞」生成AI 2026年2月16日

利用内容をみると「調べ物や情報収集」「レポートや小論文のアイディア」「英作文の添削・文法チェック」「数式の解法ステップの確認」「プログラミング」など多岐にわたっています。

            生成AI関連館内展示

不安な点を聞くと「間違った回答がある」「自分の能力が落ちる」「著作権の問題」などがあがっています。本校図書館ではそのような回答をもとに選書を心がけ、いち早く生徒に情報を届け不安の解消ができるように努めています。次年度に向けては、公民科の教員から「AIと哲学を結びつけた授業を考えているので司書からの資料の提供がありがたかった」との意見があり、そこを重点的に組み立てていこうと考えています。

2.著作権関連

 

     「辛夷祭パンフレット」   原作者からの寄贈図書と上演パンフレット館内展示

https://digital.asahi.com/articles/ASTCS1QFDTCSOXIE027M.html?ptoken=01KAXDMZGTABZTRYKB9ZTT0BRX

朝日新聞デジタル「辛夷祭」2025年11月25日

著作権については2025年12月の文科省報告会で報告いたしましたように、文化祭での演劇の上演許諾を生徒自身が苦労してとるような実体験が生きてきます。音楽や映像や商標権の許諾は複雑です。その都度図書館カウンターで直接生徒に伝えることで、著作権への意識が定着します。「来年は東野圭吾を脚本に選びます」「バルコニーを見せ場に、ロミオとジュリエットを上演することに決定しました」と2年生はすでに次年度の文化祭準備をはじめています。AI活用の著作権も社会の変化を見据えながら重要性が一層増すと考えています。

3.図書委員活動 イベント班新設

本年度は新たにイベント班を新設し、図書委員が積極的に広報活動を担いました。イベント班により生徒自身の情報発信をタイムリーに行いました。

 

図書委員会イベント班選書会議  本校生徒が選んだ「高校生に読んでほしい海外文学」展示

 

   文科省事業「10代がえらぶ海外文学」      「図書委員推薦図書」

 

エントリーの本で一番人気は『闇に願いを』でした。    POP『夢十夜』

4.第66回 全国国立大学附属学校連盟高等学校部会教育研究大会 図書館分科会参加 2025年10月10日(金)会場:神戸大学附属中等教育学校  

テーマ:『学校図書館における授業支援の取り組み』

<発表概要> 

地学・家庭科・古典・公民・芸術などにおける教科横断型授業の図書館支援と公開研発表 

○<家庭科×公民>「18歳成人における金融教育」第2学年 2学期 

○<古典×芸術> 

書道・音楽・美術・工芸それぞれの観点から『源氏物語』における美意識を学ぶ(芸術) 

○<古典×地学> 

「『方丈記』と東日本大震災」第1学年 3学期 『方丈記』の震災の場面を読み解く(古典) 

「東日本大震災」についてインタビュー(地学)

○電子図書館の取り組み 

今年度は選書・教員書籍推薦依頼に特に力を入れ利用が大幅に増加するという実績も発表しました。 

5.図書館授業支援の様子

 

プレゼン授業「安全・オレオレ詐欺・家庭内事故・依存症・ストレス・救急救命・SDGs」

 

美術「私の好きなもの 本と自分」仕上げにくりぬいた自分自身に本の背表紙を入れて完成

スマホやPCを個々が自由に館内で用います。本校生徒は内容を深く探究するために必要な文章や本も同時に活用する場所として学校図書館を利用しています。SNSだけでは学びきれない資料の精査を心がけています。

6.探究授業

https://digital.asahi.com/articles/photo/AS20251124001837.html?iref=pc_photo_gallery_prev_arrow

  朝日新聞デジタル「探究活動」 2025年11月26日

探究の授業に図書館が組み込まれた当初は、レファレンスに列ができ時間内で対応しきれない状態でした。入館の際にテーマや担当教官を記入してもらい授業後も生徒にブックリストや資料を手渡す工夫をしています。テーマの遍歴や必要な本の変化なども見て取れ役に立っています。テーマが多彩になりますので、自宅近くの公共図書館の利用や気軽にリクエストができることなども伝えるようにして多様な図書館活用をしてほしいと思っています。

7.高校大学図書館連携

本校の学校図書館活用を学芸大の学生に理解してもらうために、年間2〜3回ほど学芸大学図書館で展示を行っています。今年度は「金融教育」「防災新聞」「10代がえらぶ外国文学」の展示を行いました。

  

   「防災新聞」家庭科         大学生にも参加してもらいました

       「10代が選ぶ外国文学」大学図書館展示POP        クイズ形式にして展示   

8.卒業式 

今年も在校生がヘンデルの『ハレルヤ』で卒業生を送りました。以前音楽ブックトークで合唱を深めるために「ヘンデルとその時代」の授業を依頼された事もあり、生徒が一生懸命合唱の練習をしている姿も授業で間近に見ています。本番で上達した合唱を聞くことができて嬉しく思う反面、先週大学入試の小論文の相談を受けた国立受験の終わらない3年生を思いホッとできない時期でもあります。受験の形態が多様化していますので図書館でも対応に追われています。

授業の合間に教員から依頼された授業展示を行ったり、カウンターで聞き取り調査をしたり、図書委員とその友人達と哲学カフェをしたり、図書館授業の事例を学校図書館データベースに掲載したりと毎日バタバタしております。 次年度はもう少し落ち着いてレファレンスで足りない本の選書を行いたいと思っております。

                   (東京学芸大学附属高等学校 司書 岡田和美)

 


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