今月の学校図書館
こんなことをやっています!
東京学芸大学附属竹早中学校
2025-08-10 10:07 | by 中村 |
東京学芸大学附属竹早中学校は、附属竹早小学校と図書館を共用しています。竹早地区での幼小中連携教育研究のもと、学びの中で小学生や附属園舎の園児たちと触れ合う貴重な機会があります。一方で、小学生が図書の授業をおこなう午前中には中学生がほとんど図書館を使えないというデメリットもありました。
今夏、その問題を解消するために、図書館を一部改装することになりました。
奥の広いエリア(図の右側)をなるべく残しつつ、空間を分断していた背の高い書架(図の青い部分)を1列分だけ中央寄りに移設して、2クラス同時に授業ができるスペースを確保できるようになりました。広げたスペースはやや手狭ではあるものの、35人の生徒がなんとか着席することができます(下の写真。このあと35人分の座席を用意する予定です)。これまで主に教室でおこなっていた授業支援ですが、ようやく生徒自身が図書館内でブラウジングしながら図書資料に触れられるようになるのは、生徒にとって大きな前進です。
併せて古く汚れていたカーペットの全面張替も実施し、空間が明るく清潔な印象に生まれ変わりました。
書架の移設に伴い一旦搬出した図書を戻したり、全ての本を隣りの書架へ1列ずつずらしていく作業が夏休み中ずっと続きそうですが、2学期に生徒たちが見せてくれるであろう反応が今から楽しみです。
▲書架1列分広げたスペース。幅140㎝ほどの拡張ですが、ずいぶん広くなったように感じます。
【ビブリオバトル 発展編】
昨年度の文科省報告会で本校は、国語科の実践としてビブリオバトルなどの報告をおこないました。今年度はその時の生徒たちが、一歩進んだ相手意識を念頭に置くビブリオバトルを1学期に実施しました。
ビブリオバトルでのディスカッションを充実させるために、まずは《質問展開ゲーム》でウォームアップ。
質問を受けたときのイメージとしては、テニスの様にすぐに相手に質問し返すのではなく、バレーボールのように一旦受け止めた質問を少し弾ませてから、展開した質問を返す・・・という感じです。好きなフルーツの話題から始まり、最終的に人間の本質にまで言及していった強者コンビもいて、風が吹けば桶屋が儲かる的な中間部分も全部聞いてみたいと思いました。
この後いよいよビブリオバトルが始まるのですが、今回はバトラーと聴き手双方に《ミッションカード》なるものを用意しました。開始前に一人1枚カードを引き、書かれた内容に沿ってバトルに臨みます。
なるべく発表者の負担にならないようにと、はじめは教員側で簡単に用意した《ミッションカード》ですが、生徒たちから「こんなミッション作りました」と自作のミッションが出てきたので、それら《スペシャルミッション》も含めた8枚のバトラー用カード、そして聴き手のためのミッションも4種類用意し、バトルがスタート。《ミッションカード》があることで、5分間の発表とその後のディスカッションタイムにメリハリが生まれ、以前よりもさらに能動的で内容の濃い時間になったと感じています。
あくまでもビブリオバトルの基本ルールに則りながら、授業の中でどのようなことを重視しながら採り入れていくか、今後もいろいろと試していきたいと思います。
【メディア夏祭り】
今年度、本校図書委員会は広報委員会と統合され、「メディア委員会」として生まれ変わりました。図書班と広報班に分かれ、それぞれが試行錯誤しながら活動を始めています。図書班では7月に、《メディアセンター夏祭り》(メディアセンター=本校学校図書館)を実施しました。
これまでにもおこなってきた「リレー小説」や「本の処方箋」に加えて、「サマージャンボメディアくじ」や先生による紙芝居なども大好評でした。図書館が小学校側の校舎にあるので、普段あまり来館しない生徒も結構いるのですが、イベントを機に「久しぶりに来ました」という生徒が楽しそうな様子を見せてくれたりして、メディア委員会として嬉しい滑り出しです。
▲しおりの裏がくじになっていて、1回の貸出で1枚プレゼント。豪華景品(?)が当たる抽選会を最終日に実施。
【小学生も一緒に・・・】
このデータベースでもたびたび話題に上がっている《10代がえらぶ海外文学大賞》。1学期に館内で海外文学の特集を組み、せっかくなので中学生だけでなく、小学生(5・6年生)へも「読みたくなった表紙・タイトルへの投票」を呼びかけ、参加してもらいました。中学生にも小学生にも人気の本がある一方で、中学生が全く選ばなかった作品が小学生には大人気だったりと、10代の関心の幅広さを改めて実感したり、海外文学の魅力を再確認したりしました。
巨大パズルをみんなで完成させたり、中学生の作ったPOPに小学生が投票したりと、機会があれば小中学生が一緒に楽しめるイベントを今後もいろいろ企画していきたいと思います。
ところで皆さん、図書館で観葉植物を育てていらっしゃいますか?せっかく改装したので、これを機に植物をいろいろ置きたいなぁと素敵な図書館の写真をウェブ上でチェックしているのですが、本校は場所的にも構造的にも、夏は灼熱・冬は極寒で、植物には優しくない環境・・・。皆さんの図書館の観葉植物事情、ぜひ教えてください♪
(東京学芸大学附属竹早中学校 司書 中村誠子)