今月の学校図書館

こんなことをやっています!

鹿児島県霧島市立国分西小学校

2026-10-09 13:57 | by 宮崎 |

 今月は、鹿児島県から、霧島市立国分西小学校の学校図書館をご紹介します。学校司書 久保田智子さんが、司書教諭とがっちりバディを組んで授業に取り組み、地域とも連携しながら、すばらしい学校図書館の教育活動を展開している様子を報告してくださいました。(編集部)


1 美しい景色・美味しいものいっぱいの霧島市

 私たちの霧島市立国分西小学校は、鹿児島県の中央に位置する霧島市にあります。霧島市は西に桜島、東に雄大な霧島連山を仰ぎ、自然と火山が織りなす風光明媚な自治体です。地域には、国宝・霧島神宮や霧島温泉郷などの観光地もあります。また、鹿児島黒牛・かごしま黒豚・黒さつま鶏、黒酢、霧島茶やサツマイモなどの農作物、梨・ぶどうも特産品として有名です。毎日の給食には、地域の食材をふんだんに使用した温かく美味しい料理が並びます。 

2 本校について 
 そんな霧島市立国分西小学校は令和8年度、児童数646名、学級数30学級(うち特別支援学級9学級)でスタートしています。本校は、休み時間になれば校庭で元気良く活動する児童・担任の多い学校です。その中でも、読書が習慣化している児童は、帽子を被ったまま、図書館にやってきて、本を借りてから校庭に飛び出していきます。 

 本校の学校図書館は、現在、図書委員会の担当職員が3名と図書委員会児童が22名で運営しています。主に学校図書館に在中しているのは学校司書です。学校司書の勤務は、午前 8 時30 分から午後4時45分(休憩45分)の7時間半です。朝の開館準備、新聞の各学年の張り出し場所に設置するのは、図書委員会がしてくれています。その他、2時間目休み時間、昼休みの貸出・返却等も委員会児童が担ってくれています。司書教諭は担任をもっているので、なかなか学校図書館に来ることはできませんが、委員会児童が読み聞かせやイベントなどで活動する時や、 運営上での困りごとがあれば、学校司書が司書教諭に相談をすることもあります。今年度の図書委員会児童の決めた目標は・・・

~みんながルールを守っていやされる図書館にしよう!~ です。 

3 本校の司書教諭と学校司書について 
 本校5年目の学校司書と、本校3年目の司書教諭は、バディを組むのは初めてではなく、2回目なのです。学校司書は前任校、司書教諭は前前任校である霧島市立青葉小学校で初めてバディを組み、研修や先輩方から多くのことを学び、授業にも多くの読書活動を取り入れていきました。平成29年度から2年間、鹿児島県指定の読書指導の研究協力校として、全校職員・児童で、失敗や成功を積み重ねながら読書指導に取組みました。  
 大変でもありましたが、学校全体で読書指導について悩み、手立てを考え、取組み、作り上げた活動は大きな財産となりました。 
 学校司書が異動して3年目の国分西小学校に、司書教諭が異動してくることが分かりました。「あの楽しい読書活動がまたできる」と嬉しかった学校司書でしたが、司書教諭に最初から負担をかけないようにと思い、「まずは、学校や人に慣れることから始めてくださいね。読書活動はぼちぼちやっていきましょう。」と、のんびり構えていました。しかし、再度バディを組むことになった私たちには、司書教諭異動1年目から、多くの実践発表依頼をいただくことになり、おのずと、トライアンドエラーの日々がやってきたのです。

 

4 国分西小学校図書館の特色 

○ 図書の時間の有効活用 
 本校の司書教諭は、継続的に読書活動に取り組むにはどのようにしたらベストなのかを考え、導き出したのが、図書の時間に図書館を有効的に活用しながら授業をすることでした。 


 それは、「本来、図書の時間はない。時数も限られている。特に高学年は時間に追われている。でも子どもたちには本に触れ合ってほしい。」 この矛盾から始まりました。これを解決するには週に1回学級に割り振られている図書の時間を有効に活用することでした。そうして、週に1回の 
図書の時間は、国語・社会・総合などで授業を行います。司書教諭と同じ学年部の担任には、「この単元で、学校司書がこんな読書活動(ブックトークやアニマシオンなど)をできますよ」と学年部会で伝えると、「じゃあ、うちのクラスもお願いします」と、少しだけ学校図書館で授業をすることが広がってきました。しかし、「まだまだ活用できるはず」、とさらに検討しました。そこで、もともと教育課程に入っていた「読書指導年間計画」をさらに見やすくできないか、例えばメニュー表のように、という司書教諭の提案から、学校司書が研修等で得た情報から、Canvaで、「学校図書館メニュー表~学校図書館ができること~」を作成しました。司書教諭から「すごく見やすい」という言葉をもらい、年度当初のオリエンテーション時に全担任に渡したところ、メニュー表から依頼が来ることが増えたのです。 

 国語「季節の言葉」は学校図書館で行います。これは司書教諭がよく行う学校図書館利用授業です。方法は まず一人で、季節に関する言葉を思考ツールのウェビングで書き出します。次に、グループになり、図書資料を活用して、さらに季節の言葉を集めます。この時の図書資料は、子供たちが自由に集めるので、学校司書が思いつかないような図書資料もあります。 
 例えば、「植物の本」「昆虫の本」「料理の本」などです。もちろん、歳時記や行事の本も使います。この授業は、春・夏・秋・冬と繰り返し行うので、子どもたちはどの分類のどの資料に目的の言葉がある、と思考を巡らせるのが早くなります。さらにウェビングやXYチャートなど、様々な思考ツールも自分の思考に合わせて自在に活用していき、季節の言葉の分類もサクサクできるようになります。そして、終末の自己表現に合った言葉を選び出し、仕上げます。4回あるので、短いスパンで繰り返し行うことで情報活用能力が身に付くのでは、と期待できる活動です。 

 読書単元の時には、同学年は同じように全学級でブックトークかアニマシオンを行います。まず作者の背景などを紹介してから、本の紹介をします。作者の生い立ち、作品の生まれた土地の風景、同一作家関連本に出合うことで、作品に込められた、作者の思いを知ることができるようです。子どもたちが新しく得た情報は、物語を読み深めていくヒントとなるようです。図書の時間に学習のタイミングが合わない時には、教室でブックトークを行う場合もあります。そして、全学級でブックトークが終わったら、各学年教室近くに設置した学年文庫に関連本を置き、いつでも児童が関連本を手に取れるようにしています。 

 さらに、今年度は4年生の一学級の担任が、メニュー表と教育課程を持って学校図書館にやってきて、「総合で環境について調べ学習をして、まとめの自己表現は、国語の新聞つくりでまとめて、ポスターセッション形式の新聞発表をすると、時数確保しながら、深く学ぶことはできないですかね…」と、相談に来ました。昨年度の4年生には、外部講師を招聘して、「調べ学習のワークショップ」を開いたことを事前に知らせていたので、同じような活動ができないかと考えていたようでした。 
 そこで、担任の考えた通りに、総合と国語を関連付けた学習ができるように、必要になりそうな図書資料の確認をして、準備をしました。実際の授業では、目的の図書資料が探し出せない児童や、図書資料のどこを見れば目的のことが書いてあるのか困っている児童には、目次や索引から見つけてみよう、と声をかけたりして、授業支援に入りました。この学年の児童は、グループでの調べ学習の経験が浅く、どのように動けばいいのか、困っている児童が多くいたので、可能な範囲で、教室へも学習支援に入りました。試行錯誤でしたが、発表グループ、聞くグループで交代で全グループの発表・聞くの活動を終えた時には、最初の「どうしていいのやら…」と放心状態だった子どもたちが、頬を赤らめ、満足げな表情で達成感いっぱいに授業を終えていました。 

○ 地域の方々との読書活動 
 「学校図書館応援団」。学校司書はひそかにそう呼んでいます。学校司書と司書教諭が共に学んでいる学校図書館の研修会「かごしま学校図書館研究会~空いろのはっぱ~」で本の世界を形にしてくださる方と出会いました。この方は、本業ではないので、と造形物を無料でレンタルしてくださいます。また、本校の親子読書会から発足して36年間お話会を続けてくださっている方々。その他、読書感想文の書き方ワークショップをしてくださる方、ボードゲームワークショップをしてくださる方もいらっしゃいます。また、鹿児島市の動物園には教育普及係があり、教育支援をしてくださいます。鹿児島市内は直接係の方が来校して、それ以外の市町村には、リモートで、動物園に関わるお話をしてくださいます。2年生の国語には「どうぶつ園のじゅうい」という教材が出てきます。そこで、昨年度は動物園の飼育員さんが、今年度は獣医師さんがリモートで教科書に沿ったお話をしてくださいました。 

 学校図書館の環境面、学習面をサポートしていただいて、「学校図書館のできること」に広がりを見せてくれています。 

○ 通いたくなる学校図書館 
 子どもたちにもらう手紙の内容で一番多いのが、「カーリルが使えるようにしてくださってありがとうございます。これまでぼくは本を読むのがきらいでしたが、予約もカーリルでできるので、本を読むのが楽しくなりました」です。学校司書異動後にすぐに着手したのが、「カーリル学校図書館支援プログラム」導入でした。今では、子どもたちの方が様々な場面で使いこなしており、調べ学習の時にもカーリルを活用して、目的の図書資料を詳細情報から見つけ出すことが上手くなっているようです。カーリルのためのパソコンは、使用しなくなったパソコンを利用しています。学校図書館内に4台設置しています。また児童のタブレットのホーム画面にもアイコンが貼り付けてあるので、教室でも使用することができます。 

○ わたしたちの思い 
 また、本へのいざないの取組をあれこれをして、利用者が多くなると、混雑する問題が出てきました。これを解決するために、貸出・返却用のパソコンを増やせないか、管理職に相談しましたが、学校予算では難しいということだったので助成金を検討し、「ちゅうでん教育振興財団」に応募して、採択を得て、セルフ貸出機を設置することが叶いました。このセルフ貸出機を導入してから、高学年児童も気軽に足を運ぶようになっています。 

 そんなあれやこれやの取組みは、「子どもたちが自分の言葉で自分の気持ちを伝えられるように。自分で選べる未来への道、思い描く道を選べるように。いつか人生の道に迷ったときに子ども時代に撒かれた言葉の種が、心の中で芽吹き、行き先を灯してくれるように。未来につながる子どもたちの『今』が豊かな言葉で彩を増すように。」という、司書教諭と学校司書の思いが同じだからです。

―そして熾火のような矜持を胸に、わたしたちのトライアンドエラーは続くのです―

(霧島市立学校司書 国分西小学校司書 久保田 智子) 


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