今月の学校図書館

こんなことをやっています!

島根県隠岐郡海士町立福井小学校の巻

2016-11-06 17:47 | by 村上 |


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「今月の学校図書館」は、ライブラリーオブザイヤーつながりで、2015年に優秀賞を受賞した隠岐郡海士町立図書館の司書、磯谷奈緒子さんにお願いしました。学校や地区の公民館、福祉施設など島内12ケ所の図書スペースを効果的に繋いで利用を促す『島まるごと図書館構想』が立ち上がり9年目。かつて図書館が一館もなかったとは信じられないぐらい、今や、島にはいたるところに本があり人が集う。今回は、その中でも子どもたちの読書の拠点、福井小学校についてご紹介いただきました。
























 

写真は、海士町立中央図書館でのイベントの様子です。

1.海士町・島まるごと図書館構想

 海士町では平成19年度より全島を挙げた読書活動を推進しており、保育園~高校への司書配置もこの年から一斉に始まりました。小・中・高の図書担当者による図書部会を中心に、各校で環境整備や図書館活用教育の実践を積み重ねて9年が経過し、さまざまな成果が見られるようになりました。保育園から本に親しみ、小学校で読書習慣や図書館利用の基本を身に付け、中学・高校で定着させるという継続的な島まるごとの取り組みにより、海士の子どもたちは本と図書館のある学校生活が当たり前のものとなりつつあります。今後は「家読」を広げ、読む力をしっかりと身に付けさせていきたいと考えています。
 


2.学校概要

 

 












  



 










福井小学校は校舎から海が望める、豊かな自然環境に立地する全校児童49名の学校
です。平成27年の校舎建て替えに伴い、校舎奥にあった学校図書館を「学校のシンボル的存在に」との想いで昇降口を入ってすぐの場所に移動し、より身近でオープンな雰囲気の図書館となりました。

 また、地域に開かれた学校を目指し、月~金曜の午前中に図書館の地域開放も始めました。島内の学校図書館を島まるごと図書館の分館と位置付けている海士町では、中央図書館の資料が各校に配本されていますが、地域開放されている福井小学校では一般書のコーナーも設置され、子どもから大人まで利用できる学校図書館となっています。


3.利用のようす


  

























   新しくなった図書館は「ここに住みたい!」という声が児童から飛び出すほど、木のぬくもりを感じる居心地の良い図書空間となっています。学校の中心に立地するので、司書が児童や学校の動きを把握しやすいのも大きな利点だと感じています。通りがかりに立ち寄る児童も多く、休み時間にはソファ席や奥の畳スペースなどで思い思いに過ごす姿が見られ、みんなの居場所として親しまれています。
 

 





















 

 






 また、図書館活用教育を校内の研究テーマにしてきたこともあり、調べ学習や並行読書など授業での活用も積極的に行われています。これまで学習・情報センターとしての機能整備に努めてきましたが、新しくなった図書館はパソコンルームと一体になっているので7,500冊の資料とパソコンによる調べ学習が可能となり、より充実した学習活動ができるようになりました。

 今後も先生・児童と一緒に、本に親しみ楽しい学びが生まれる図書館づくりに取り組んでいきたいと思います。


 
文・海士町立中央図書館・福井小学校司書 磯谷奈緒子さん
 
  現在、海士町の図書スペースは、保育園、小学校2校、中学校、高校の5カ所に加え、地区公民館 4カ所、キンセン、ひまわり、三燈、学習センター診療所、歯医者、村上家資料館、あまマーレ、ホテルの計18カ所となったそうです。磯谷さんは、中央図書館と福井小図書館を兼務。福井小学校には週4回午前勤務。他のスタッフも、小・中学校を週4~5回半日勤務をしているそうです。
 次はぜひ、学校での授業実践を、このデータベースにもお寄せいただきたいと思っています。ありがとうございました。

  
 


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