今月の学校図書館

こんなことをやっています!

東京学芸大学附属国際中等教育学校

2017-07-03 21:44 | by 渡辺(主担) |

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 今月は開校10周年を迎えた、東京学芸大学附属国際中等教育学校の総合メディアセンターのようすをお伝えします。

10周年へのメッセージ
 
今年の5月2日、附属国際中等教育学校(ISS)の10周年記念式典がおこなわれました。
現在の中高一貫校となる前身の、附属大泉中学と附属高校大泉校舎は、60年をこえる歴史を積み重ねた後、現在の中高一貫校に編成替えしました。式典当日はかつての中学と高校の関係者も含め、多くの来賓の方がお見えになり、全校生徒とともに歴史を振り返りました。

 メディアセンターではこの時期、恒例となった美術部による絵画展「春の陣」が開催され、部員の一人が不思議な形の白いオブジェを搬入してきました。「このオブジェには、在校生のみなさんに、10周年へのメッセージを自由に書いてほしいのです!」とのこと。

 休み時間の館内では、「わ~い!何を書こうかな!」と中1から高3年までさまざまな生徒たちがやってきて、メッセージを寄せていきました。
たちまち白いオブジェはカラフルなメッセージで埋め尽くされ、オブジェを支える棒にまで細かな文字が書かれています。
「ISS大好き」「ISSよ永遠に」「自由ですごく楽しい!」「ISS is the BEST」、中には「課題多すぎです」というメッセージも。生徒参加型の作品は、今回の美術展でも一番人気でした。
 展示をした生徒も撤収の際に「こんなにたくさんメッセージが書かれて嬉しいです!」と大喜び。
「ところで司書さん、このオブジェは何の形かわかってましたか?」と尋ねられたので「人体ですよね?」と答えると、「学校の校章がモチーフです!!」と。「えっ!?大きすぎて、校章とはまったく気づきませんでした・・・」と生徒にお詫び。芸術作品の解釈は難しいものですね。

「自閉症の人たちへの理解をWarm Blue」展

 本校では、生徒が研究をしているテーマや、対外的なボランティア活動などをいつでも自由に発表することができます。自由といっても、企画書を書き、職員会議で了承されなければなりませんが、企画書を書くほどの熱意がある活動の多くは発表を認められています。
こうした企画の受け皿の一つになっているのがメディアセンターです。
 今回は高3の有志が「自閉症の人たちへの理解をWarm Blue 」という展示を行いました。

 毎年4月2日は「世界自閉症啓発デー」。この日は自閉症の人たちの温かな心をWarm Blueととらえ、世界のあちらこちらで青いものを身に着けて自閉症を知るためのさまざまな取り組みがおこなわれます。しかしまだまだ日本ではこのような日があることは知られていません。
 自閉症についての啓発デーがあることを知らせると同時に、生徒の一人は東田直樹さんの『飛び跳ねる思考ー会話のできない自閉症の僕が考えていること-』(イースト・プレス)を読み、もっと多くの人たちに自閉症について知ってもらおうと、この企画に参加したそうです。
 館内での関連資料の展示はもちろん、自閉症の人のなかには見える視野が限られている人たちがいる、ということから、生徒たちはペットボトルを用いて、限られた視野で物を見る体験コーナーも作りました。「うわ~、こんなに見ずらい思いをしているんだね・・・」と、休み時間には多くの生徒が体験していました。

 今回はメディアセンターだけではなく、教室や校庭も青い服を着た生徒たちだらけに。トイレの中まで青い飾りがつけられ、「今日は青い服で授業をしてくれた先生たちもいたよ!」と、この企画をした生徒たちは多くの生徒や先生が活動に参加してくれたことをとても喜んでいました。
 もちろん 当日は司書も青い服で貸出やレファレンス!展示していた自閉症関連の資料も多くの生徒が手にとる機会となりました。
 
 本校メディアセンターのコンセプトの一つは「多様性を認め合う空間」。文化祭などの学校行事や課題のためだけではなく、生徒自身や教員が発信したいときに情報を発信し、学年をこえて相互に交流しあう活動を、メディアセンターではいつも支援しています。

 こうした高校生の企画に刺激を受け、中学生も自主的に取り組みをはじめるようになりました。次はどのような企画が持ち込まれるのか、楽しみでなりません。
(東京学芸大学附属国際中等教育学校:渡辺 有理子)

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