今月の学校図書館
こんなことをやっています!
東京学芸大学附属国際中等教育学校
2019-01-08 22:13 | by 渡辺(主担) |
新年あけましておめでとうございます
今年最初は、東京学芸大学附属国際中等教育学校の総合メディアセンターからお届けいたします。
SDGsは2015年に国連で採択され、2030年までに貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、持続可能な開発のための17の目標が示されています。
↩中1廊下に掲示されているSDGsの17の目標
SDGsに関連した授業で図書館に要望があったのは、例えば中等6年生の社会の授業で「ODAとSDGs」関連の書籍を集めてほしいというものや、中等5年生の英語の授業では、「危機言語・少数言語」についてSDGsの視点から考えて課題に取り組ませたいので、関連資料の準備に加え、2月21日の「国際母語デー」の頃に、グループ発表の成果物をメディアセンター内で展示したいという依頼でした。この他にも中等1年生は冬休みの課題として、SDGsのいずれかの目標に関連した書籍を読み、3学期にビブリオバトルをおこなうことになっています。
このように、さまざまな授業や学年でSDGsを意識した展開がみられるようになったことから、館内でも国連の広報センターのサイトから和文と英文のロゴマークを印刷し、館内前方のホワイトボードに掲示することにしました。
1から17のそれぞれのゴール目標をめくると、より詳しい内容を読むことができるよう、フックにかけて掲示しています。
また昨年の秋には図書委員会とボランティア部が合同で、SDGsの関連書籍のテーマ展示「書籍でDIVE!SDGs」を館内でおこないました。
これは、SDGsの17の目標1つにつき、図書委員とボランティア部の生徒がそれぞれ本を選び、ポップで紹介する、というものです。
例えば、SDGsの目標14は「海の豊かさを守ろう」です。図書委員の生徒は『さかなクンの一魚一会』(さかなクン、講談社)を紹介したのに対し、同じ目標14でもボランティア部の生徒は『魚のいない世界』(マーク・ランスキー・飛鳥新社)で本のポップを作りました。
また目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」では、図書委員は絵本『おおきなかぶ』(A.トルストイ著、佐藤忠良絵、福音館書店)を紹介し、ボランティア部は『チームふたり』(吉野万理子、学研)を紹介しています。
SDGsの目標1から17まで、それぞれの目標にあわせて生徒が選んだ本はなかなか示唆に富み、同じ本が重なるということはまったくありませんでした。
今回は図書委員だけではなく、ボランティア部との合同だったということもあり、お互いにポップ作りにも熱がはいり、絵本あり、マンガあり、雑誌もありのなかなか工夫をこらした展示となりました。
見学に来られた社会科の先生は、「SDGsの目標は2030年までだから、毎年継続してやったら面白いんじゃないですか?ボランティア部とだけでなく、図書委員と美化委員とか陸上部とか、いろんな生徒たちも巻き込んでみたらどうでしょう?」というアイデアもいただきました!
これからも、SDGsはさまざまな取り組み方で、益々広げられそうです。
ところで・・・
実は、総合メディアセンターではSDGsを意識する以前から、図書委員とはリサイクルでのディスプレイを心がけてきました。
そのおかげで、事務の方や用務員さんたちは、校内で不要になった物のうち、“もしかしたら、またメディアセンターで使うかな?”と、色んな資材を持ち込んでくれるようになりました。そのやりとりはいつもとても楽しいのです!
以前事務室からは「パソコンのバッテリーを買ったら、箱の中に分厚いスポンジが入っていたんですけど、いりますか?」と長方形の黒いスポンジをいただきました。
それが、こちら。11月の国連「国際テレビ・デー」の展示に合わせてつくった、地デジ画面。黒スポンジを2枚くっつけただけですが、4センチの厚みがあり、図書委員にも「テレビに見える!見える!」と好評でした。
そして用務さんは、「印刷室に長い筒がありますけど、また何か作ります?」と高さ180センチもある大きな筒をもってきてくれました。これは大型印刷に使われた紙の芯の部分です。「ありがとうございます!手に入れようと思ってもなかなか手に入らない筒ですね、これも何かのときに使ってみたいです!」と受け取りました。
そしてこの筒が、ついに館内で日の目を見る日がきたのです。。
12月から館内で展示している「哲学と演劇の森へ」という展示コーナーに、メインの巨木として使うことにしました。展示は安全が第一。筒が倒れないように、家庭科のトルソーに筒を差し入れました。
あとは緑の模造紙で、図書委員がもみの木風に切り展示のタイトルを貼り付けました。小さい木は、いずれもブッカーの芯で作っています。A4サイズ、B5サイズとブッカーのサイズによって筒の高さが違うことが、かえって木の高さが均一にはならなくて、森らしくみえます。
このように、頂いた廃物を利用して館内ディスプレイをしたときは、持ってきてくださった事務や用務の方にも見ていただきます。
「あのただの筒がこれに?!」と驚かれる反応を見るのも楽しいのですが、何よりもこうした関係から「じゃあ、また何かリサイクルできそうな物がでてきたら、メディアセンターに届けますね!」と言ってもらえるのです。
日常的にディスプレイにはあまり時間は割けませんが、学校図書館は教育現場の中にある図書館なので、お金と時間をあまりかけず、廃物を活用した工夫は、これからも生徒と共に続けていこうと思います。
(東京学芸大学附属国際中等教育学校:渡邊有理子)