どんな山でも本なら登れる

2020-12-10 13:53 | by 松岡(主担) |

 今年は新型コロナウイルスの影響で様々な学校行事ができなくなりました。広い自然の中なら大丈夫、と思われる登山遠足も集団での行動や移動手段などで密になりやすいため中止になった学校も少なくないのではないでしょうか。

 ですが本の世界なら大丈夫。準備は何もいりません。本を開けばどんな山でも、いつでも、どこへでも行くことができますよ。
 さあ、あなたならどんな山に登りたいですか?

 最初に紹介するのは世界一高い山エベレストにのぼる男の子のお話です。












『シェルパのポルパ エベレストにのぼる』

石川直樹/文 梨木羊/絵
岩波書店 2020

 ヒマラヤで生まれ育ったシェルパの少年ポルパのゆめは「ヒマラヤのやまやまにのぼること」。
荷物運びの仕事をしながらその日にそなえるポルパにある日テンジンおじさんがやまのぼりを教えてくれます。
厳しい大自然に立ち向かうポルパの姿が丁寧に描かれている絵本です。

 (10月に『シェルパのポルパ 冬虫夏草とおおきなヤク』も出版されました。広大なヒマラヤの草原で出会うおおきなヤクとポルパのお話もぜひお楽しみください。)

 世界一の山はエベレストでしたが、では日本一の山といえば?












『富士山にのぼる』

石川直樹
教育画劇 2009

 遠くから眺めているだけではわからない、冬の富士山に登る様子が描かれた写真絵本です。作中には夏の富士山や周辺の自然にも触れられていて、一緒に富士登山をしているような気持ちになれる一冊です。
(2020年に増補版が出版されています。)

 壮大な山々に登ってしまいましたが、どんな山に登る時も大切なのは「ポレポレ」です。












『ポレポレやまのぼり』

たしろちさと/ぶん・え
大日本図書 2011

 山の頂上でキャンプをするため、動物たちがやまのぼりをします。はりきって駆けだそうとするはりねずみくんにさるおじさんが「おう、ぼうずたち、さきはながいぜ ポレポレやまのぼりだぜ」と話しかけます。
 「ポレポレ」はスワヒリ語で「ゆっくり」という意味。おおにもつのやぎくんも、ちからもちでたよりになるぞうくんも、みんなで「ポレポレ」のぼります。
 頂上で食べるごちそうはどんなごはんよりおいしく,疲れもふきとんで、楽しいキャンプの夜は更けていきます。

 今回3冊の本をブックトーク風に紹介しました。どれも読み聞かせに向いている絵本なので、山をテーマにしたブックトークの導入や、読み聞かせ絵本として使うのにもおすすめです。
 また、『シェルパのポルパ』『富士山にのぼる』はどちらも写真家の石川直樹さんの作品です。高学年や中高生へは石川直樹さんの他の作品につなげて紹介しても良いかもしれません。


補足:実際にブックトークで紹介する場合は身近な日本一の山、富士山~世界一の山、エベレストの順で紹介する方が子どもたちは受け止めやすいです。ここでは新しい本の紹介も兼ねて『シェルパのポルパ』を先に紹介しました。

(東京学芸大学附属小金井小学校 司書 松岡みどり)
 

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