近未来小説 ロボットと暮らす世界

2021-07-09 15:28 | by 宮崎(主担) |

 みなさんは、工場で働くロボットのことは知っていますよね。最近は街なかでもペッパーくんのような、人型のロボットを見かけることが多くなってきました。みなさんの生活の中で普通にロボットと暮らすようになる未来はもうすぐそこまで来ているのでしょうか。


 さて、みなさんはこのクラスの中にひとり人間そっくりのロボット=アンドロイドが混じっていると言われたら、どうしますか?

この『つくられた心』(佐藤まどか ポプラ社 2019)は、いじめ防止のための見守り役として、クラスに一人「ガードロイド」というアンドロイドがいるという学校の物語です。いったいだれがアンドロイドなのか、探さないようにと言われてもやっぱり気になりますよね。さあ、アンドロイドは見つかるのでしょうか?

 次はもっと恐ろしい殺人ロボットが出てくるお話です。『ポーン・ロボット』(森川成美 偕成社 2019)(物語の冒頭部分、主人公があやしい黒い人を見るが、あとを追いかけるうち消えてしまった、というところまで読み聞かせる) この後、主人公の身の回りでは、クラスメートの一家が消えてしまったり、自分の家が消えてしまうなど不可解なことが次々起こります。ポーン・ロボットとは何なのか? なぞは解けるでしょうか。

怖いロボットの話を聞いてしまうと、ロボットなんていない方がいいと思ってしまうかもしれませんね。



 でもこの『野生のロボット』(ピーター・ブラウン  福音館書店 2018の主人公ロズはとっても心やさしい素敵なロボットです。こんなロボットなら一緒に暮らしたいと思います。ロズはまだ箱に入って運ばれる途中に船の事故で、無人島に流れ着いてしまいます。大自然の中で起動してしまったロズは、自然の中で生きていくために、野生化していくのです。はじめは野生動物たちに怪しまれていたロズですが、ひょんなことから鳥のひなのお母さんとなり、動物たちにも受け入れられて仲よくなっていきます。

 

 ところがそんな幸せな暮らしは長く続かず、また遠く人間社会に連れ去られてしまったロズが故郷の島を目指す、というのが2巻目の『帰れ野生のロボット』(ピーター・ブラウン  福音館書店 2021) です。これまたドキドキの冒険が待ち受けています。


 最後に紹介するのは星新一さんの『きまぐれロボット』(星新一 理論社 1999などのショートショートです。ロボットや怪しい発明をする博士などが出てくる面白い短編がたくさんあります。星新一さんはもう20年以上前に亡くなっていて、作品が書かれたのはずいぶん昔なのに、まだまだ未来のことのように読めるのはすごいなあと思います。遠い未来を見る目を持っていたのかもしれませんね。みなさんも近未来を描いた物語を読んで、少し先の未来を想像してみませんか。


 

夏休み前に元気のいい5年生のクラスで紹介しました。『ポーン・ロボット』『つくられた心』は取り合いのジャンケンになり、すべての本に借り手がついたので大成功のブックトークとなりました。ノンフィクションの働くロボットの本や、『人工知能と友だちになれる?』(新井紀子監修 誠文堂新光社 2018)なども入れるとより幅が広がったかなと思います。

 もう少し上の年齢の子どもなら、『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(デボラ・インストール 小学館 2016)シリーズや、今年翻訳大賞を受賞した『マーダーボット・ダイアリー』(マーサ・ウェルズ 東京創元社 2019)なども紹介したいところです。

 

(東京学芸大学附属竹早小学校司書 宮崎伊豆美)


次の記事 前の記事 [ 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 ]