国語の授業で移民問題

2022-02-04 13:24 | by 岡田(主担) |

 移民の授業で生徒に本を紹介してほしいとの依頼を受けました。
教科は国語です。社会科での依頼を受けた経験から本は揃えてありますが、教科が変われば紹介する本の内容も変えなければなりません。社会科ですと制度や法律がメインとなりますが、今回の授業での選書ポイントは「他者への理解」です。


『サトコとナダ』ユペチカ 2017 講談社 726.1ユ ISBN:978-4-06-369572-4
アメリカの留学先でルームシェアしたのはニカブを着たイスラム女子でした。
ハラール認定されたお醤油をシェアしあったり、ラマダーンの断食では反動で太ってしまうことを嘆いたり、高校生にも異文化交流が身近に理解できる漫画です。
4コマで話が完結していますので、ブックトークの際はクイズ形式にすると導入に使えます。



『新移民時代』西日本新聞社 2017 明石書房 334.41シ ISBN 978-4-7503-45864
第17回石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞受賞図書です。共に暮らす隣人としての現場から、「就労」「教育」「人口問題」と様々な視点から移民問題を検討します。


『池袋チャイナタウン』山下清海 2010 洋泉社 334.41ヤ ISBN:978-4-86248-585-4
日本のチャイナタウンといったら横浜にある中華街だと思っていました。
都内最大の新華僑街は池袋だそうです。特別なエリートでもなく、恐ろしい犯罪者でもない、一般の中国人街の暮らしぶりを、観光地としての横浜中華街と比較して検証しています。


『おじいさんの旅』アレン・セイ 2002 ほるぷ出版 ISBN:4-593-50416-3
コルデコット賞受賞の絵本です。アメリカへ渡ったおじいさん。若者だったおじいさんが日本とアメリカの二つの祖国を行き来します。その時代の移住者としての郷愁は、今の私たちにも理解できる普遍的な感情として胸に迫ります。高校の授業だからこそ、司書からは良質の絵本を紹介し生徒に情報の多様性を示したいと考えています。絵本が表現する静かな故郷への思いをどうぞ味わってください。

             (東京学芸大学附属高等学校 司書 岡田和美)

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