「戦争について考える 〜ヒロシマ〜」

2022-08-02 15:21 | by 金澤(主担) |

 社会科の先生の依頼を受けて6年生に「戦争について考える」ブックトークを行いました。6年生は、3クラスあります。ブックトークを行った後に本を借りる機会を作りたかったので、3パターンを考えました。今回は、そのうちの1つのテーマで取り上げた本をお知らせします。

『ヒロシマ消えたかぞく』
    
指田和(作)鈴木六郎(写真)ポプラ社

 鈴木さんのセピア色の家族写真で作られた写真絵本です。鈴木さんの家族の幸せな日常が写っています。その日常が、広島に投下された原子爆弾によって失われてしまいます。最後のページの「すべてをうばいさった、あの原爆。でも、このかぞくが生きたあかしを消すことまでは、けっしてできません。」の言葉が、心に響きます。
 あとがきも是非読んで欲しいと思います。

 







『ヒロシマをのこす』
 平和記念資料館をつくった人・長岡省吾 

                 佐藤真澄(著)汐文社

 多くの人に知られている「広島平和記念資料館(原爆資料館)」を作ったのは長岡省吾さんです。原爆投下後、惨状に驚愕した地質学者の長岡さんは、被爆瓦や石を集め始めます。この悲劇を後世に伝えるため、様々な遺品も集め続けました。実物でこの惨禍を伝えたいとの思いを結実させるために、どんな苦労や思いがあったのかを是非知って欲しいです。








『バウムクーヘンとヒロシマ』ドイツ人捕虜ユーハイムの物語
        巣山ひろみ(著) 銀杏早苗(絵) くもん出版

 スイーツが大好な颯太は、夏休みにバウムクーヘン作りのキャンプに参加しました。美味しいお菓子を作ることだけを考えていた颯太でしたが、スタッフの話にバウムクーヘンが日本に伝えられた経緯を知り、戦争について考え始めます。

 ユーハイムで販売されているバウムクーヘンをご存じの方も多いと思います。実は、ユーハイムさんは、第一次世界大戦の時、日本の捕虜だったのです。日本に残ったユーハイムさんが、初めてバウムクーヘンを販売したのが、広島の物産陳列館、のちの原爆ドームです。バウムクーヘンという美味しいお菓子を伝えたユーハイムさんの人生を通し、第一次世界大戦と第二次世界大戦について考えることのできる本です。


 『ある晴れた夏の朝』小手鞠るい(作)偕成社

 コミュニティセンター主催のカルチャーイベントで公開討論会を開くことになりました。テーマは「戦争と平和を考える」広島と長崎への原子爆弾投下の是非を問うものでした。討論するのは、アメリカに住んでいる、日系アメリカ人、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系とルーツは様々な8人です。その8人が肯定派と否定派に分かれ4対4で討論します。聞いている人たちは、どちらの考えに納得できたかを投票します。いわゆるディベートです。
 この8人とともに原爆投下について考えて欲しいと思います。






『聞かせて、おじいちゃん』
原爆の語り部・森政忠雄さんの決意

        横田明子(著)山田朗(監修)国土社

 この一冊は、おまけとしてどのクラスでも最後に紹介しました。
 森政さんは、自分の原爆の体験を誰にも話していませんでした。森政さんの孫が、自由研究のため、「おじいちゃん、原爆の話を聞かせて」と声を掛けます。それをきっかけにし、森政さんは、原爆の語り部となっていきました。その体験が書かれている本です。
 監修者の山田さんの巻末に収められている「過去を知ることは未来を創ること」を読んで、このブックトークを終えました。

 (東京学芸大学附属世田谷小学校 司書 金澤磨樹子)

次の記事 前の記事 [ 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 ]