血液型の不思議な世界

2022-04-06 14:38 | by 渡辺(主担) |

 私たちの誰もが体の中に血が流れています。でも普段「血」のことで話題になるといえば、「マイペースすぎる、やっぱりあの人B型だよね」「きちんとしてる、さすがA型!」など、「血液型」のことではないでしょうか。血液型別性格診断本はたくさん出版されています。
とりわけ『O型自分の説明書』(Jamais Jamais 文芸社 2008年)のように、血液型別で出版されたシリーズは、当時大きな話題となりました。
 私も自分の血液型を楽しく読み、「これは合っているな」というものもありましたが、血液型でタイプに分けられることにはちょっと抵抗があります。なぜかというと、私は家族5人全員同じ血液型ですが、性格はバラバラだからです。

 こうした血液型による性格診断や相性占いなどにたいする日本人の興味は驚くべきものだそうです。スペインではほとんどの人が血液型には興味がなく、アメリカでも関心がない人が大多数とのこと。なぜ日本人は血液型への関心度が高いのでしょうね。
 ちなみに血液型性格診断についての本は、「心理学」の1類の書架に並んでいます。では、血液を科学的な視点からとらえた書籍はどこにあるでしょうか・・・
 
 
 血液型と性格って本当に関係があるの?そもそも血液型の違いはどうしてうまれるの?という血液型のしくみについて説明している本は、4類の医学の分野にあります。こちらのABO血液型がわかる科学』(山本文一郎 岩波ジュニア新書 2015年)はその中の1冊。
 血液型別性格診断の真偽についてや、なぜ日本人が血液について興味をもつようになったのか、ということを過去の論文から紐といています。でも最終的に生物学者である著者としての見解はいかなるものだったのでしょうか?それはぜひ自分で読んで確認してみてください。

 ところで血が流れているのは私たち人間だけではありません。犬や猫をはじめ、さまざまな動物たちも血が流れています。では、動物にも血液型はあるのでしょうか?そうした疑問に答えてくれるのが、『人とどうぶつの血液型』(近江俊徳 緑書房 2018年)
この本を書いた近江先生は、犬や猫の血液型をはじめ、動物の体質や気質に関わる遺伝子研究を専門としています。馬、牛、アヒル、クジラなどさまざまな動物には血液型があり、300種もの複雑な血液型がある動物もいるようです。
 また、血の色も赤ではなく青や緑の血をもつ動物もいるそうですよ!さて、一体その動物とは何でしょうか・・・

 では動物ではなく、植物はどうでしょう。植物に血液型があるかどうかなんて私は考えたこともありませんでしたが、『面白くて眠れなくなる植物学』(稲垣栄洋 PHPエディターズ・グループ  年)には植物の血液型についてふれています。
マメ科の植物を例にあげ、検査をすると人間の血液と同じような反応をする、というのです。さらに検査をするとO型やA型が多いとか。
 こうしたことを読むと、赤い血が流れなくとも、植物を切ることを一瞬躊躇してしまいそうですが、血液の世界だけでもさまざまな知らない世界が開けてきて、面白いですね!
(東京学芸大学附属国際中等教育学校:司書 渡邊 有理子)

 

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