「戦争と平和」

2022-12-11 06:38 | by 村上 |

  今月は、小学校3年生に向けて、「ちいちゃんのかげおくり」の単元時に行ったブックトークを執筆いただきました。



みなさん こんにちは これから私はブックトークをします。ブックトークというのはひとつのテーマに従って本を紹介していくことです。

 みんなはどんな夏休みを過ごしましたか?旅行に行ったり、図書館行ったり楽しみましたか?みんなは長い夏休みを過ごしましたね。今から77年前の昭和20年の夏、日本は戦争中でした。そして戦争が終わった8月でもありました。大人も子供も大変に苦しい時でした。みなさんが今から国語で習う「ちいちゃんのかげおくり」はその年の夏のお話です。今日のブックトークのテーマは「戦争と平和」というテーマで本を紹介したいと思います。

 日本では戦争がそれから起きていないけど、今も世界のどこかで戦争が起きています。

①現在の世界の戦争

読売KODOMO新聞2022年3月3日紹介

 これは今年の3月の新聞です。ロシアが2月24日にお隣の国のウクライナに攻め入ったことが書いてあります。ロシアとウクライナはお隣同志でもともと関係が深い国でした。

地図でロシアとウクライナの場所を確認。(『マップス新世界地図絵』 徳間書店)


皆さんがよく知っているこの本はどこの国のお話か知っていますか?

(『おおきなかぶ』 A・トルストイ 再話  内田 莉莎子 訳  佐藤 忠良 画 福音館書店 1966 と『てぶくろ ウクライナ民話』エウゲーニー・M・ラチョフ 絵  うちだ りさこ 訳 福音館書店 1965 を見せる。)


②続いている戦争

『せかいいちうつくしいぼくの村』 小林豊 ポプラ社 1995


 こうやって今現在も世界のどこかで戦争があります。アジアのど真ん中の国、アフガニスタンでも今も戦争が続いています。地図でアフガニスタンの場所を確認。(マップス新世界地図絵 徳間書店)

 アフガニスタンはもう何十年も前から内戦といって国の中で戦争が起きている国です。この国が舞台になっている『せかいいちうつくしい村』を紹介します。


 パグマンの村では夏に、あんずや、すもも、さくらんぼを収穫します。小さい男の子のヤモは兄さんのハルーンと一緒に競争で収穫します。しかし今年の夏、兄さんは戦争に行ってしまっていません。なのでヤモは兄さんの代わりに、父さんと一緒に街へ果物を売りに行くことになりました。初めての街にヤモは興奮します。ヤモはお父さんと別々にさくらんぼを売ることになりました。馬のポンパーと一緒にです。さくらんぼを買ってくれた人の中には、戦争で足を失った人もいました。全部売り終わってお父さんの元に帰ると、一緒にお昼ご飯を食べました。そして売れたお金でこひつじを買って帰ります。さて物語はこれで終わりません。この後ヤモはどうなるのでしょう?戦争はどうなるの?


 この物語には続編があります。『ぼくの村にサーカスがやってきた』(ポプラ社 1996)『せかいいちうつくしい村へかえる』(ポプラ社 2003)です。

 この本を書いた小林豊さんはなんと大田区にお住まいだそうです。小林豊さんは画家でもあり、この本の文章と絵のどちらも書いています。アフガニスタンで戦争が始まった10年目の夏にアフガニスタンを旅行したそうです。パグマンの村はそのとき旅行で訪れた村がモデルになっているようです。


③あまんきみこさんの戦争

『あるひあるとき』 あまんきみこ のら書店 2020


 同じように戦争を経験したあまんきみこさんの本を紹介します。あまんさんは「ちいちゃんのかげおくり」の作家でもあります。

この本を書いたあまんさんは昭和 6年生まれの91歳で、いま京都にお住まいです。生まれたのは中国の大連というところです。あまんさんが14歳のときに戦争が終わり、満州から引き揚げています。『あるひあるとき』はあまんさんの子供のころのお話です。


 第二次世界大戦中、中国の大連に住んでいたわたしには大切な友達がいました。こけしのハッコちゃんです。ハッコちゃんはわたしのおとうさんが出張で日本に帰ったときのお土産でした。ハッコちゃんは片目の墨がながれかけたような泣き顔でとても汚れていました。ハッコちゃんとわたしはいつも一緒。暑い夏、戦争が終わりました。そのころの大連には20万人以上の日本人が暮らしていました。大連から日本に引き揚げることになったある日のこと、お母さんが私にそっと「ハッコちゃんは連れていけないのよ」と言いました。どうしてなんでしょう?小さな子どもだったあまんさんとこけし人形のハッコちゃんはその後どうなるのでしょう?


『おはじきの木 あまんきみこ』 あかね書房 1999

 あまんきみこさんは『おはじきの木』という戦争の絵本も書いておられます。


 十一年前、げんさんが戦争から帰ってきた時、奥さんも二人の子供も空襲によってすでに死んでいました。ところが最近になって、ある戦争の新聞記事を読みました。それはかなこと呼ばれる小さな女の子が、木の下でおはじきをしながら母親と弟を待って死んだ、というものでした。

 げんさんは娘のかなこの話だと思って、次の日会社を休んで、かなこがいたはずのにれの木の下に行きました。げんさんは木の中から声が聞こえてくるような気がして、木に耳を押し当てました。するとかなこと同じくらいの女の子がやってきてげんさんを不思議そうに見ました。げんさんは女の子に「木の中で娘がおはじき遊びをしていると思ったのだよ。」と言いました。すると女の子は「おはじきは一人だとつまんないよ。」と言って帰っていきました。

その日の夜、げんさんは不思議な光景を見ます。ちょうどそのころ女の子は家の寝床で不思議な夢を見ていました。さて、どんな夢だったのかな?続きは本で読んでみてくださいね。


④動物にも戦争があった

『かわいそうなぞう』 つちやゆきお 金の星社 1970


 今まで戦争のお話を紹介しましたが、戦争の犠牲になるのは人間だけではありません。『かわいそうなぞう』は、東京の台東区にある上野動物園で第二次世界大戦中に実際にあった出来事をもとに書かれた絵本です。


 上野動物園は、桜を見に来たたくさんの人たちで賑わっています。広場では二頭のぞうが芸当をしています。しかし過去には悲しい出来事がありました。それは日本とアメリカが戦争をしていたときのこと。東京には毎日たくさんの爆弾が降り注いでいました、動物園にはジョン、トンキー ワンリーという三頭のぞうがいました。もし、爆弾で檻が壊されて、動物たちが街で暴れてしまったら大変だと、たくさんの動物が次々に殺されました。やがて三頭のぞうの番がきました。まず暴れん坊のジョンがえさをもらえずに死んでしまいました。次にトンキーとワンリーもえさがもらえませんでした。しかし、二頭は一生懸命生きようとしました。ぞうが大好きだった人たちは、こっそりえさをあげて戦争が終わるのを待っていました。このあとトンキーとワンリーはどうなったのでしょう?続きは本を読んでみてくださいね。


『目で見る戦争とくらし百科4』 早乙女勝元 日本図書センター 2001

 戦争中の上野動物園の実際の写真がありました。見てみましょう。


『ぞうれっしゃがやってきた』 小出隆司 岩崎書店 1983

 そしてこちらの本『ぞうれっしゃがやってきた』は名古屋の動物園の象のお話です。これも戦争中のお話です。こちらも併せて読んでみてくださいね。


⑤へいわってすてきだね

『へいわってすてきだね』 安里有生 ブロンズ新社  2014


 最後に『へいわってすてきだね』を紹介します。この詩を書いた安里有生くんは当時、皆さんと同じ小学生でした。しかも2つ下の小学一年生でした。2013年6月23日に沖縄全戦没者追悼式でこの詩を朗読しました。では読みます。

 読み聞かせをする。


 ここで安里くんの実際の映像があるので見てみましょう。YOU TUBE動画を見る。

 今日は「戦争と平和」をテーマにブックトークをしました。さて、みなさんの平和って何かな?

 (大田区立雪谷小学校司書 常間地 嘉子)



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