家康大解剖

2023-04-18 14:26 | by 長友(主担) |

大河ドラマ『どうする家康』が絶賛放映中ですね。放映開始から四か月目に差し掛かり、松本潤さん演じる主人公・徳川家康もどんどん頼もしくなってきました。序盤の少しの出来事でも慌てふためきおどおどしていた家康の成長ぶりは、10話と少しを超えただけなのにめざましく感じます。

徳川家康自身は非常に有名です。そのため今更語ることがあるのか?とお思いの方もいるかもしれませんね。

最初に紹介するのは『日本の合戦解剖図鑑』(本郷和人/監修,かみゆ歴史編集部/編集 エクスナレッジ 2022)。解剖図鑑シリーズのうちの一冊です。家康が参戦した戦いも多く書かれています。戦いの勝敗はもちろん、戦力構図や主な参戦武将、活躍の様子などが見開き1ページで詳しくわかります。名武将の名戦、作戦や戦のやり方にそれぞれの個性を感じることができます。

中でも家康生涯最大の敗北と言われる武田信玄軍との戦い、三方ヶ原の戦いや豊臣方、また日本一の兵と称される真田幸村の奮戦で知られる大坂冬の陣・夏の陣は見どころならぬ読みどころです。ちなみに武田信玄や真田幸村もかつて大河ドラマの主役になったことがあります。


 家康は一人だけの力でのし上がってきたわけではありません。家臣たちの力もそこにはありました。むしろ、家臣たちの力なくては成し遂げられない偉業もあったでしょう。

 信じてついてきた家臣たちがいなければ、家康もここまでの力を手に入れることはできなかったといっても過言ではありません。そんな家臣たちを紹介している一冊が『歴史人物名鑑 徳川家康と最強の家臣団』(三猿舎 東京ニュース通信社 2022)です。徳川四天王はもちろん、付き従った多くの家臣の軌跡が記されています。大河ドラマで見覚えのある名前もたくさんあります。生涯が書かれているので、若干のネタバレ要素があるのは少し注意です。


 

 さて、徳川家康と言えば、外して語れないのは関ヶ原の戦いでしょう。天下分け目の戦いと言われるこの戦いについて書かれているのが『徳川家康と関ヶ原の戦い』(本多隆成 吉川弘文館 2013)です。

 この本は、家康の生涯、関ヶ原の戦い、現代に遺る関ヶ原古戦場の案内の三部構成になっています。関ヶ原の戦いを詳細に書いていることはもちろんですが、最後の関ヶ原古戦場の歩き方が。古戦場の名の通り、ほとんどは陣跡ですがかつてどこに誰の陣があり、そこでどのようなことが起きたのかが解説されています。最寄り駅も記載があるので、実際にそれに従って訪れてみることもできます。


 

 ここで一つ、小説を紹介します。『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(眞邊明人 サンマーク出版 2021)、というビジネス小説です。

皆さんは、「あの偉人が今の世に生きていたら……」と思うことはありませんか?少し不穏なニュースを聞くと、そんなことがたまに脳裏をよぎります。かつての優秀な指導者たちがいてくれたら、そんな願いをひとつの形にしてみたのがこの本です。舞台は新型コロナ感染症で大混乱の現代日本、なんと総理がコロナに感染して亡くなってしまいます。混沌を極める中、日本政府が講じた策はAIとホログラムの最新技術で蘇った偉人たちによる現代日本で最強の内閣を発足することでした。彼らに託された使命は「コロナを収束させ、国民たちの信頼を取り戻す」こと。家康率いる最強内閣は果たして日本をどう導くのか……。

 これはただのビジネス小説ではありません。偉人たちからきっと、大切な未来への一歩を学ぶことができるでしょう。ちなみに、大臣たちも豪華な面子が勢ぞろい。生前の功績をもとにそれぞれの省にあてがわれていますが、誰が何の大臣なのか推理してから読んでみるのも面白いかもしれません。

 

 天下統一を目指した織田信長・豊臣秀吉の背中を見てきた徳川家康だからこそ築きあげることができた、現代日本にまで続く太平の世の礎。亡くなって400年以上経つ今もなお語り継がれる徳川家康の大河ドラマでの活躍や今後も楽しみにしつつ、周辺の歴史に興味が出てきた方はぜひ読んでみてくださいね。


(東京学芸大学附属小金井中学校 司書 長友春陽)

次の記事 前の記事 [ 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 ]