関東大震災

2023-09-07 15:58 | by 宮崎(主担) |

 9月1日は防災の日です。1923年9月1日11時58分、マグニチュード7を超える巨大地震が関東地方を襲いました。関東大震災です。今年はそれからちょうど100年ということで、学校図書館でも防災関連本の展示を行い、4年生以上には、関東大震災をテーマに、ブックトークを行いました。
 今回は、書籍だけでなく、デジタルアーカイブなどWEB情報にいいものがたくさんあったので、紹介したいと考え、3つのWEBサイトを集め、リンクとQRコードを付けた掲示物を用意し、地震関係の本とともに掲示して特集コーナーをつくりました。

 ブックトークはまず、デジタルの情報から紹介しました。デジタルアーカイブのプリントは、「竹早ライブラリー」という学校図書館が作成しているWEBサイトにも載せたので、そこから開いて見せます。最初に東京都教育委員会が作成している「防災教育ポータルサイト (tokyo.lg.jp)」から、「関東大震災復興100年教材」小学生版を開き、2ページ目まで読み聞かせ、基本情報を押さえます。

 次に「関東大震災100年復興デジタルアーカイブ (arcgis.com)」と「関東大震災映像デジタルアーカイブ / Films of the Great Kanto Earthquake of 1923 (filmarchives.jp)」から、今この学校のある小石川あたりの写真や映像資料を見せていきます。地域名や地図からデータが探せるので、自分の家のあたりを探してみることも勧めました。子どもたちは、身近な地名を聞いてより真剣に見てくれたようでした。



 次に、電子書籍からも防災関係の本を紹介しました。本校で取り入れている電子書籍読み放題サービス「Yomokka!」(ポプラ社)から、地震や防災、災害救助犬などに関する知識の本や、関東大震災で小石川が舞台となる漫画のノベライズ版『はいからさんが通る』(大和和紀原作 時海結以文 講談社 2017)にも少し触れます。

 そして最後に図書の紹介です。東京の歴史の本で基本情報が載っていることを確認したあと、『大研究! 日本の歴史人物図鑑⑤』(歴史教育者協議会編 岩崎書店 2017)を見せます。この本には、「関東大震災で殺された人びと」というページがあって、デマで殺された朝鮮や中国の人たちについての記述があります。子どもたちはニュースで見た、などとつぶやきながらしっかり聞いていました。

 さらに、人物の伝記から、関東大震災で被災した人を集め、エピソードを紹介します。4年生には、村岡花子の伝記『「赤毛のアン」と花子』(村岡恵理 学研教育出版 2014)から、花子が地震に合うシーンを、5年生には『牧野富太郎』(横山允男 くもん出版 2022)から富太郎が地震を面白がって観察するシーンを、6年生には『伝記を読もう 津田梅子』(山口理 あかね書房 2021)から、梅子が建てた学校を地震で失っても「立派な校舎があればいい教育ができるわけではない。大切なのは熱意と向上心」とあきらめなかったエピソードを読み聞かせ、紹介しました。

 また竹早小に縁のある『金栗四三』(佐野慎輔 小峰書店 2018)は全部の学年で紹介し、この竹早の地も地震で大変だったという話をすると興味深そうに聞いていました。







 最後にフィクションで今日の一押しとして、『はなの街オペラ』(森川成美 くもん出版 2021)を紹介しました。浅草のオペラ劇場から上野に逃げていくシーンを紹介し、最初にデジタルアーカイブで紹介した西郷さんの像が伝言板になった場面も出てくるよと紹介しました。

 おまけとして、今は借りられているけど、と前置きして、子どもたちの大すきなYOASOBIの楽曲の原作本『大正浪漫』(NATSUMI著 双葉社 2021)の本もあるよね、と言うと、嬉しそうにうんうんとうなづく子が何人もいました。現代と大正時代とがつながるタイムファンタジーで、子どもたちに人気の作品です。

 最近は9月1日の防災の日よりも、3月11日近辺で防災の本の紹介をすることが多くなっていますが、今年は100年の節目ということで、関東大震災に注目してみました。子どもたちが少しでも、自分たちにも身近なこととしてとらえてくれることを願っています。
(東京学芸大学附属竹早小学校司書 宮﨑伊豆美)



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