子どもがつくるブックトーク 学年教員へ提案
2013-04-14 09:57 | by 中山(主担) |
東京都杉並区立済美教育センター 西條 明子
5年生「本はともだち」という国語単元が光村の教科書にあります。
「読書発表会をしよう!」ということになっていますが、
本の紹介カードを書いて終わりがちなので、
学年担任にブックトークという形で発表してはどうかと提案してみました。以下の資料をご覧ください。
まずは、子どもにお手本としてミニブックトーク「きつね」をしました。
「きつね」について、選書の視点のおもしろさはさておき、子どもの実態を考えて、
いろいろなジャンルの本があるということ、本に合った紹介の工夫を知ってもらうためのものになっています。
その本の特徴を生かして 主人公を紹介したり、一部朗読したり、絵をしっかり見せたりという紹介のいろいろな方法を伝えようと思いました。
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ブックトーク きつね
みなさんは、キツネというとどんなイメージがあるでしょう。
「ずるい?」「ばける?」
本物のキツネとつきあった人はいないと思うから、お話のイメージを持っている人が多いのではないかしら。
最初の本は、スイスのキツネのお話です。
1.『ちょっとまって、きつねさん!』
カトリーン・シェーラー作 関口裕昭訳 光村教育図書
くいしんぼうのキツネがウサギを食べようとするのですが
ウサギはかんたんに食べられません。
(キツネとウサギのやりとりを一部読み聞かせ。
絵がしっかりしているので、絵をよく見せる。)
さて、キツネはウサギをたべることができるでしょうか。
日本の昔話のでてくるキツネは「化ける」というイメージがありますよね。
2.『きつねのよめさま』 日本民話の会 松谷みよ子/吉沢和夫/監修 国土社
保名(やすな)という若者が、ある日山の峠でおおぜいに取り囲まれてボウでたたかれている白ギツネを助け、
「二度とつかまるでないぞ。」と、逃がしてやります。
次の夜、静かに戸をたたくものがありました。
戸を開けてみると美しい姉さんが立っていたのです。
やがて、姉さんはやすなのお嫁さんになって、子どもも生まれるのですが、
ある日、子どもにお母さんにしっぽがあるのを見つかってしまします。
お母さんは障子にこんな文を書いて、消えてしまいます。
「恋しくば
たずね来てみよ
和泉なる
しのだの森の
うらみ葛の葉」 (障子に書いた文を大きく書いて見せる。)
お母さんギツネは、は「信太(しのだ)をさがせ」と言って、いなくなってしまいました。
信太は地名なのですが、キツネのことを意味したりもします。
次のお話の「シノダ」3兄弟のお母さんも、実はキツネなのです。
3.『樹のことばと石の封印』 富安陽子作 偕成社
人間の男の子とキツネの女の子が恋に落ちて結婚し、3人の子どもが生まれました。
このシノダ3兄弟のユイ、タクミ、モエには、それぞれキツネ一族から受け継いだ不思議な力備わっていました。
(信田家の家系図を大きく書いて見せ、あらすじを途中まで話す。)
読むのが苦手と思っている人でも、次々起こる事件や現れる登場人物のくりなすお話の展開に引き込まれてしまう本です。
このシノダ三兄弟のお話は、シリーズになっていますので、他のお話も読んでみてくださいね。
さいごは、本当の野生のキツネを育てた森の獣医さんのお話です。
4.『こぎつねへレンがのこしたもの』 竹田津実 偕成社文庫
このお話は数年前に映画にもなりました。
竹田津さんは北海道の獣医さんです。
牧場の牛や馬など、人が買っている動物を診るのが仕事です。
ある時、友だちから弱っている子ギツネが持ち込まれました。
見るとかわいいキツネなのですが、実は野生では生きていけないキツネだったのです。
どういうことでしょうか。名前の「ヘレン」にヒントがあります。
(クイズのようにして、何人かに聞く。)
そのキツネはなんと耳、目、鼻がよく利かなかったのです。
竹田津さんは安楽死しかないかと迷いながら、
三重苦を乗り越えたヘレン・ケラーを思い出して「ヘレン」と名づけて面倒を見るのです。
本当にあった話だけに、胸に迫るものがあります。
キツネのテーマで4冊の本を紹介しました。
ちょっとキツネのイメージが変わったかな。
まだまだ、いろんなキツネに会えると思います。見つけたら、教えてくださいね。
ブックトークでは、絵をよく見せつ、読み聞かせをする、主人公や、図、文を見せるなど工夫しましょう。
ノンフィクションなどはクイズを使う方法もああります。
「読んでみたいな」とお友達が思ってくれたら、大成功です。
早速はじめてみましょう。
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(編集部より)
「単元計画は6時間扱い。
テーマを決めて、一人1冊を読み、紹介の仕方を考えて、グループ内でつなぎを考える。
一人1分半で語り、グループで練習する。
ビデオにグループブックトークを収録し、2班でペアを組んで見あい、振り返る。」
となっていました。 冒頭の資料をダウンロードしてご覧ください。
西條明子先生は、日本子どもの本研究会事務局長。小学校教員として学校図書館に永く関わっておいでです。退職後、東京都品川区の非常勤講師をされていたときの実践を頂戴しました。担任の先生がわかりやすいように、ワークシートを作成したとお聞きしました。
現在は東京都杉並区の済美教育センターで学校図書館の担当をなさっています。
(文責 東京学芸大学附属小金井小学校 中山美由紀)