特別支援学校での「水」のブックトーク
2013-10-20 15:19 | by 渡辺(主担) |
9月17日、中学部の先生の「水」についての総合学習の授業のあとに、ブックトークを行いました。中学生らしく「水の科学館」のあるお台場に反応する姿がほほえましく、それぞれの生徒の興味を引き出していくテーマ設定に、先生の工夫を感じました。交通機関や食事場所の調べへの導入もあって、さまざまな視点への目配りを感じながら、ブックトークを始めました。
(ブックトーク:附属特別支援学校 司書:田沼恵美子)
__今、先生から「水の科学館」に行くための総合学習のお話がありましたが、ではこれは何かな?
『水は、』 山下大明 写真・文(福音館書店)
の表紙を見せました。
青リンゴのようにも見える、水玉のおおきな写真です。すぐに男子生徒から「水!」と声が上がりました。
ピンポン!正解です。水玉って、こんなに丸いのですね。
では、その水が…と本を開き、文章が少なく、写真の美しい絵本をゆっくり読みました。
_丸い水玉は雨になって、川になって、姿をかえたね。
_水って、いろいろと姿がかわるよ、
と水の変化のわかる写真を選んで見せました。
『ひとしずくの水』ウォルター・ウィック作 (あすなろ書房)
丸い水玉、やかんの湯気、シャボン玉、氷がとける・・・と、ゆっくり順々に見て、蜘蛛の巣の露の写真を見せると、 「くものす」と、女子生徒から小さく声があがりました。
__わぁ、よくわかったねぇ、きれいだねぇ。
答えた生徒は、嬉しそうにうなずきました。
雪の結晶のページでは、
__これは何かな?
と聞くと、女子生徒から「ゆき」と返事が。
__あたり!すごい!よくわかったね。白い雪はこういう姿をしているんだね。雪も水も姿を変えた水なんだよ。
次の
『みずのたび』 今森光彦作 かがくのとも521号 (福音館書店)
では、雨となって、森の奥から川となり、魚や昆虫と出会い、やがて人の住む場所へと流れ、湖へと流れる、水の旅をもう一度。
文字は少な目にして、写真を中心にゆっくり見てもらいました。
とても静かに聞いてくれます。
そして、用意してきた
『しずくのぼうけん』マリア・テルリコフスカ作ボグタン・ブテンコ絵 (福音館書店)
の一部を拡大した紙芝居で、水の「しずくくん」が、雨となって、山にふり、川となって、流れ、お魚に出合ったところまで紹介して、
次に
『みずはどこから? みずはどこへ?』サンチャイルド・ビッグサイエンス(チャイルド本社)へ。
ダムのページや浄水場の仕組みを拡大して、紙芝居にした図を見せ、水がきれいになることを説明しました。そして私たちの歩く道路の下の水道管、その水道管から各家庭にとりこまれるページを見せて、また先ほどの『しずくのぼうけん』の紙芝居にもどり、
__「しずくくん」が水道管にとりこまれ、水道の蛇口からでてきたね。
ふたたび、こちらの本にもどり、使われた水が下水道管に流れて、汚れた水を再生する水再生センターからまた川にもどり、やがて海へ。
__飛行場もそばにあるねぇ。羽田飛行場かなぁ?
それからまた雲になって雨になる絵を見て、1冊目に紹介した『水は、』の1ページ目の写真へ。最後に
__よく聞いてくれました。少し体を動かしましょう。
と、身体全体を使った手遊びをし、ブックトークを終わりました。
<ブックトークをおこなってみて>
スムーズに授業にはいることができ、生徒からの反応にとても手ごたえを感じたブックトークでした。「ダム」や「浄水場」の仕組みに関心を持つ生徒もいて、声があがり、学習を共有できました。 ブックトークのあとに先生から学校近くの黒目川について、ビデオの授業があり、生徒たちは身近な川の様子を喜んでいました。
9月30日の総合学習では、生徒がそれぞれのテーマを選んで、グループに分かれて調べ学習をおこないました。「ダム」や「浄水場」を調べるグループもあり、附属の小中学校から貸し出された図書・資料を並べたところで待っている私に、生徒が本を借りにきたり、調べたいことが載っている本を探した女子生徒が、「ひとしずくの水」の氷がとけるページに興味をもったと、担当の先生から教えていただきました。「水あそび」についての資料も求められました。簡単な水の実験の資料を見つけて手渡せました。
この授業のあと、実際に「水の科学館」に行った生徒たちのまとめの発表が楽しみです。中1の生徒は、小学部のときに出会っているので、「たぬま」という名前を覚えている人もいて、これもうれしいことでした。(司書:田沼恵美子)