芋づる式読書スピーチ

2013-06-20 10:50 | by 村上 |

 ブックトークとは、「一つのテーマに沿って本を紹介するもの」であり、本の内容を伝えるのではなく、聞き手に本の面白さを伝え、聞き手が読んで見たい!と思ってもらえることが目的。とすれば、今回中学1年生が行った芋づる式読書スピーチも、広い意味ではブックトークと言えるのでは、とここに紹介することに。
 
 新入生を迎えた4月のオリエンテーション時にいつも、「読みたい!」と思った1冊を借りて帰ってもらっている。今年はオリエンテーションを国語の授業の一コマに位置づけたので、その1冊から何らかの繋がりのある本を全部で3冊、運動会が終わる6月初めまでに読むという課題を国語の先生と一緒に設定した。司書から、具体的にどんなふうにつなげたらいいかを、具体例を見せながら説明した。
 
 新入生が、いったいどんな本を3冊見つけだすのか、楽しみでもあった。この課題、やってみてとても良かったことが続出。
 
1.図書館で検索機を使い、棚を探す生徒が続出・・・検索のしかたや棚の本の並び方がわかるようになった。
2.司書に本ついての質問をよくするようになった・・・司書の存在を認知してもらえ、こちらも生徒の顔を覚える機会が増えた。
3.図書館で本を借りることが習慣化された生徒が増えた・・・1年生はどこのクラスも貸出冊数が5月末には150冊を超え、1学年全体で808冊に達した。
 
 
 
 6月初めまでに、読んだ本の書誌情報を、今年から使っている読書記録用のカードに書き込み、司書に提出してもらった。6月最初の国語の時間に、彼らが読んだ本の表紙をシール状の紙に印刷したものを手渡し、先生からもらったはがき大のカードに、芋づる式読書ミニポスターを作成。
 
 
 翌週の国語の時間には、そのミニポスターを見せながら、ひとり2分間のスピーチをグループごとに行った。

 選んだ3冊も実にバラエティに富み、ミニポスターの出来映えも工夫を凝らし、2分間スピーチも、緊張しつつ、みんなに本の面白さをしっかり伝えてくれた。グループごとに、先生から示された観点に沿ってもっとも良かった人を選び、全員の前でスピーチをしてもらった。尚、この授業は時間が空いている担任の先生にも見にきていただいた。
 
  
 
 160名が読んだ160×3冊の本、もちろん、重複する本も何冊かあったけれど、そのどれもが、中学生の視点で語られ、大人が「読んだら」と紹介するよりも絶大な効果のある取組だった。司書としては、読んで欲しいと思って選書したけれど、なかなか読み手がいなかった地味な本が、しかり選ばれて紹介してくれているのを見るのはとても嬉しいことだった。
 
 
  
 書いてもらったミニポスターは、クラス別にPDFファイルにして、担任の先生にさしあげた。ミニポスターそのものは、こちらもクラス別に手製本にして、図書館に置いて選書の参考にしてもらおうと企画中。
 
 国語の先生と、この課題は、図書館に馴染んでもらい、読むことが習慣化し、友だちと本について話す雰囲気が生まれ・・・と想像以上の効果があったと実感。皆さんの学校でもいかがですか?
(東京学芸大学附属世田谷中学校 村上恭子)


次の記事 前の記事 [ 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 ]