お話から広げるブックトーク
2013-05-18 01:11 | by 小野寺(主担) |
図書の時間に、昔話などのお話をよく語ります。
お話を聞く子どもたちには、まずお話の世界をそのままにたっぷり味わってもらいたい。
ですから、語った後にあれこれ説明を加えたり、子どもたちに感想を求めたりすることは
あまりしていません。
でも、お話をきっかけに子どもたちの読書の幅が広がったらいいなと思います。
そこで、
あちらこちらで緑を感じられる若葉の季節に、語ることの多いこのお話から
ブックトークを組み立ててみました。 (対象:高学年)
↓
「小石投げの名人タオ・カム」(ラオスの昔話)
タオ・カムは、親指と小指で小石をはさんで、飛ばして遊んでいる
うちに、狙い定めた木の葉に動物の形をくりぬく技を身につけた。
その技を見た王さまは、困り果てていた大臣のおしゃべりをやめ
させようと一計を案じる。
『子どもに語るアジアの昔話2』 より
(アジア地域共同出版計画会議企画 松岡享子訳 こぐま社 1997年)
●「小石投げの名人タオ・カム」をすべて語る
タオ・カムは、すばらしい技のできる指を持っていましたね。
でも、すばらしい指の持ち主・・・それは、タオ・カムだけではありません。
実は、私たち人間つまりヒトはみんな、特別の指を持っているようです。
『ヒトの親指はエライ! ―ふしぎ・おもしろ科学入門』
(山本省三文 喜多村武絵 講談社 2011年)
みんなで指相撲をしてみましょう。
親指を左右に移動したり、ぐるぐる回転させたりして、相手を上手に避けて、
最後は前に倒して、相手の指を押さえつけられた人が勝ちです。
ところで、この指相撲は親指以外の指でも同じようにできるでしょうか?
できないですね。
ほかの指にはできない動きや力を持ったこの親指こそ、ヒトに備わった特別な指なのだそうです。
私たち人間が、ほかの種類の生き物と違って、物をつかんだり、握ったり、道具を使ったりできるのも、親指のおかげ。
でも、ヒトははじめからこのすばらしい親指を持っていたのではない。とすると、どうやって手に入れたのでしょうか?
そこには、魚や鳥などいろいろな生き物の進化が大きく関わっているようです。
フランスのミルポワルというまちには、親指を使って、町中に花を咲かせることができる男の子がいました。
『みどりのゆび』 (岩波少年文庫)
(モーリス・ドリュオン作 安東次男訳 岩波書店 2002年)
この物語の主人公チトが、植木鉢に土を入れて、その真ん中に親指を差し込んで穴をあけると・・・
まだ、種もまいていないはずなのに、芽が出て、りっぱなベコニアの花が咲いたのです。
どうして花は咲いたのでしょうか?
チトは、ふしぎな「みどりのゆび」の持ち主だったのです。
そのことに気がついたチトは、みどりのゆびで町中に花を咲かせていきます。
(東京学芸大学附属大泉小学校 司書 小野寺愛美)
(対象:高学年)