今、何時?ー時計のはなし
2016-12-28 11:20 | by 中山(主担) |
今日のブックトークはなんでしょう。まずは聞いてください。
この歌はみんなよく知っているよね。
(注意、音がでます) Tou Tube「大きな古時計」
「真夜中にベルが鳴った」っていうけど、ベルで何を知らせてくれるの?
「時」ですよね。 今日は「今、何時?」ということで、時計にまつわるブックトークをします。
昔に人々はいろいろな工夫をして、「時」を計ってきました。
『こども世界百科第12巻』(全16巻)下中邦彦編集 平凡社 新装改訂版1985年
これは絵解き百科事典。古い百科事典ですが、とても分かりやすですね。「時計」と引くと「日時計」、「砂時計」、「ろうそく時計」なんていうのもあります。
14世紀から機械時計になりました。ロンドンのビックベンが有名ですね。
街や広場に大きな時計塔があって、鐘が鳴ることで、市民に時を告げるのです。
12時の鐘が鳴ると急いで帰るのは「シンデレラ姫」ですが
これは17世紀ぐらいが舞台のようです。12時の鐘が鳴っていたら、すぐにその場で、姿が元の姿に戻ってしまいそうですが、そうはなりませんね。
ドレスのまま、王子様から逃げて、靴を残していくわけです。
おかしいと思ったことはないですか?
実はこれは11時45分の鐘だったのではないかと説明してくれるのがこの本です。
角山 榮『シンデレラの時計』(平凡社ライブラリー457 offシリーズ)平凡社 2003年
昔、1時間ごとではなくて、15分ごとに時を知らせる時計があったのだそうです。
朝、太陽とともに起きだして日没までを仕事していた時代は、「不定時法」といって昼の時間は日の出から日没まで、夜の時間は日没から日の出までとしてその間を13等分もたは12等分していました。江戸時代の時の計りかたがそうですね。
ところが機械時計ができると、季節や緯度に関係なく1時間は1時間。これを「定時法」といって、そういう時間が基準になり、人々の暮らし方が大きく変わっていったというのです。
時は金なりというのは、1時間いくらという働き方なんですね。農業から工業へと産業のスタイルが変わっていくのにあわせて、人々の時間との付き合い方・価値観がかわっていくのです。
魔法使いとの約束である門限に遅れたシンデレラは、罰せられるというお話なのではないかと言っています。早いことばかりがいいわけじゃなくて、スローペースもいいよと言ってくれているのですが、中学校の国語の教科書にも載ったことのある本なので気になる人は読んでみてください。
超能力を持つ特別なネズミが出てくるおはなしにも、15分刻みの機械時計が出てきます。からくり時計をつくる時計職人とそのネズミたちとの友情が時計の科学的な仕組み・からくりとともに描かれています。。
ピーター・ディッキンソン 木村桂子訳『時計ネズミの謎』評論社 1998年
からくり人形が動くかどうか、時計職人リンゲルマンに弟子入りした見習いカールが納める時計をめぐって、作家のフリッツが酒場で冬の夜の恐ろしい話を語ります。「悪魔!」と声をかけると剣を振り上げるゼンマイ仕掛けの騎士の話を聞いている人々の前に、まさに作中の人物が現れて…
フィリップ・ブルマン 西田紀子訳『時計はとまらない』(偕成社ミステリークラブ)1998年
時計職人といえば、大きな時計をポケットに入る懐中時計にすることができた職人がいます。イギリスのジョン・ハリソンです。
ルイーズ・ボーデン,エリック・ブレックバッド絵、片岡しのぶ訳『海時計職人 ジョン・ハリソンー船旅を変えたひとりの男の物語』あすなろ書房 2005年
船では狂ってしまう振り子時計ではなく、船上でも正確に時を刻む時計を発明したものには2万ポンドの賞金がかけられます。港を出た後の時刻が船上で正確にわかれば、船の正確な位置が計算できるからなのです。
(地球儀を使って、緯度経度の話ができるとなおいいです。)
ジョン・ハリソンは生涯をかけて、この時計をつくります。それはイギリスのグリニッジ天文台との闘いでもありました。
先の百科事典にも出ていますが、彼が作った時計 「H4」は、姿かたちも美しく、この世の最高傑作といわれています。H1からH4までは、今はグリニッジ天文台に、H5はギルドホールにある時計職同業組合博物館に収められているとこの本には書いてあるので、イギリス旅行に行ったら、本物をぜひ見てきてください。
最後はその懐中時計を持つ人が少なかったころ、それを持って商売をしていた人のお話を読みましょう。
アンドレア・ユーレン 千葉茂樹訳 『メアリー・スミス』光村教育図書 2004年
街中の人を起こして回るという、「ノッカー・アップ」目覚まし屋という仕事です。
さて、今何時? あれ、そんな時間?
ブックトークを終わりにします。
ドレスのまま、王子様から逃げて、靴を残していくわけです。
おかしいと思ったことはないですか?
実はこれは11時45分の鐘だったのではないかと説明してくれるのがこの本です。
角山 榮『シンデレラの時計』(平凡社ライブラリー457 offシリーズ)平凡社 2003年
昔、1時間ごとではなくて、15分ごとに時を知らせる時計があったのだそうです。
朝、太陽とともに起きだして日没までを仕事していた時代は、「不定時法」といって昼の時間は日の出から日没まで、夜の時間は日没から日の出までとしてその間を13等分もたは12等分していました。江戸時代の時の計りかたがそうですね。
ところが機械時計ができると、季節や緯度に関係なく1時間は1時間。これを「定時法」といって、そういう時間が基準になり、人々の暮らし方が大きく変わっていったというのです。
時は金なりというのは、1時間いくらという働き方なんですね。農業から工業へと産業のスタイルが変わっていくのにあわせて、人々の時間との付き合い方・価値観がかわっていくのです。
魔法使いとの約束である門限に遅れたシンデレラは、罰せられるというお話なのではないかと言っています。早いことばかりがいいわけじゃなくて、スローペースもいいよと言ってくれているのですが、中学校の国語の教科書にも載ったことのある本なので気になる人は読んでみてください。
超能力を持つ特別なネズミが出てくるおはなしにも、15分刻みの機械時計が出てきます。からくり時計をつくる時計職人とそのネズミたちとの友情が時計の科学的な仕組み・からくりとともに描かれています。。
ピーター・ディッキンソン 木村桂子訳『時計ネズミの謎』評論社 1998年
からくり人形が動くかどうか、時計職人リンゲルマンに弟子入りした見習いカールが納める時計をめぐって、作家のフリッツが酒場で冬の夜の恐ろしい話を語ります。「悪魔!」と声をかけると剣を振り上げるゼンマイ仕掛けの騎士の話を聞いている人々の前に、まさに作中の人物が現れて…
フィリップ・ブルマン 西田紀子訳『時計はとまらない』(偕成社ミステリークラブ)1998年
時計職人といえば、大きな時計をポケットに入る懐中時計にすることができた職人がいます。イギリスのジョン・ハリソンです。
ルイーズ・ボーデン,エリック・ブレックバッド絵、片岡しのぶ訳『海時計職人 ジョン・ハリソンー船旅を変えたひとりの男の物語』あすなろ書房 2005年
船では狂ってしまう振り子時計ではなく、船上でも正確に時を刻む時計を発明したものには2万ポンドの賞金がかけられます。港を出た後の時刻が船上で正確にわかれば、船の正確な位置が計算できるからなのです。
(地球儀を使って、緯度経度の話ができるとなおいいです。)
ジョン・ハリソンは生涯をかけて、この時計をつくります。それはイギリスのグリニッジ天文台との闘いでもありました。
先の百科事典にも出ていますが、彼が作った時計 「H4」は、姿かたちも美しく、この世の最高傑作といわれています。H1からH4までは、今はグリニッジ天文台に、H5はギルドホールにある時計職同業組合博物館に収められているとこの本には書いてあるので、イギリス旅行に行ったら、本物をぜひ見てきてください。
最後はその懐中時計を持つ人が少なかったころ、それを持って商売をしていた人のお話を読みましょう。
アンドレア・ユーレン 千葉茂樹訳 『メアリー・スミス』光村教育図書 2004年
街中の人を起こして回るという、「ノッカー・アップ」目覚まし屋という仕事です。
さて、今何時? あれ、そんな時間?
ブックトークを終わりにします。
(東京学芸大学附属小金井小学校司書 中山美由紀 2007年)