大そうじ、きっちり?いいかげん?

2019-01-07 11:36 | by 松岡(主担) |

 2学期末、図書館ではクリスマスだけではなく日本の冬の風習にまつわる読み聞かせもしたいと考えて、
冬至や大そうじなどをキーワードにした本の紹介を行いました。
 そのうち「掃除」に関連付けた本を探してみると、きれい好きもしくは掃除や片づけはきらい!という登場人物は絵本や物語に意外に多くいること、そしてそれぞれを対比させるとなかなか面白いことに気づきました。一部ですがそのユニークな登場人物とお話を紹介いたします。

 1冊目は新しく入った本より








『きっちり・しとーるさん』

おのりえん/作・絵 こぐま社


 家でも仕事場でもきっちりしている、しとーるさん。仕事場はきっちり本がそろったしずかな図書館。頭の中もきっちりしているのできっちりしていないことがあると時々いらっとしてしまいます。そんなしとーるさんに起こる雪の日の「とくべつなこと」とは…。
 きれい好きゆえに四角四面に考えがちな主人公の角をとってくれる周囲のやわらかな発想や事件が笑いをさそう楽しい物語です。

 また、おそうじぎらいで有名な主人公の物語として紹介したのは
 






『おそうじをおぼえたがらないリスのゲルランゲ』
J・ロッシュ=マゾン/作 山口智子/訳 堀内誠一/画
福音館書店

 子リスのゲルランゲはおそうじがきらい。たとえごはんが食べられなくても、野宿をしても、オオカミに食べられてしまうとしても!
 意地をはって家から追い出されてしまったゲルランゲはオオカミに食べられそうになるのですが、おそうじぎらいが意外なところで役に立ってしまう、という愉快なお話です。
 一方、掃除が好きなことで命びろいする小さな生き物のお話としてヒキガエルのウォートンとモートンが登場する
『火よう日のごちそうはひきがえる』(ラッセル・E・エリクソン/作 ローレンス・D・フィオリ/画 佐藤凉子/訳 評論社)を紹介しました。
 きれい好きなひきがえるのウォートンが難を逃れる展開はなんとなくうなずけるようですが、おそうじぎらいが難を逃れる、というリスのゲルランゲの展開には「え!そうなの⁉」と意外そうな声があり、子どもたちの反応も面白かったです。

 季節が少しはずれてしまうのですが、導入として読み聞かせをしたのは





『ぐりとぐらのおおそうじ』
なかがわりえこ やまわきゆりこ
福音館書店

 あたたかな春の訪れとともにまどを開け、光と風を入れて冬の間にたまったほこりを大そうじ。でもほうきもはたきもぞうきんもぼろぼろ。そこでぐりとぐらは自分たちが掃除道具になって大そうじを始めます。こんなに楽しそうなそうじならやってみたい!と思ってしまう絵本です。

 日本の風習ではお正月に年神さまをお迎えするのに年末に大そうじをしますが、
最近ではぐりとぐらのように冬は寒いので暖かくなってからそうじをする、という話も時折耳にします。
 
 「掃除」をキーワードにしたお話の紹介は年末に限らなくても機会がありそうです。また、紹介する人のキャラクター(きれい好きな人、おそうじぎらいの人等)によっても選ぶ本やブックトークの世界が広がりそうなテーマです。

(東京学芸大学附属小金井小学校 司書 松岡みどり)

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