移動教室(箱根)にからめて

2019-04-08 17:54 | by 富澤(主担) |

 当校では、毎年1学期、5年生は箱根に23日の移動教室に出かけます。初日には自分で編んだわらじで旧街道を歩き、2日目は実践を含む調べ学習、最終日には金時山を登る、という盛りだくさんな内容です。


 昨年度、5年生の国語担当の先生から、「何か箱根移動教室に関連した本を紹介したい。金時山に登るから、”金太郎”と、わらじの材料である藁の出てくる”わらしべ長者”はどうだろう」とご提案があったところから考えているうちに、ブックトークのようなものができあがりました。5年生の全クラスで聞いてもらえましたので、簡単にご紹介します。

まずは、”金時山”の出てくる『きんたろう』の絵本を通して読み聞かせしました。

 『きんたろう』
 監修・関敬吾 文・堀尾青史 絵・太田大八 フレーベル館


つぎに、「わらしべ長者」を一部朗読し、このお話が『今昔物語集』に入っていることにつなげて、『今昔物語集』を有名にした芥川龍之介と、マルチメディア室にある芥川龍之介の短編集を紹介しました。

 『わらしべ長者-日本の民話二十二編-』
 木下順二作 赤羽末吉画 岩波書店










 『羅生門 杜子春(岩波少年文庫)』
 芥川龍之介作 岸弘子カット 岩波書店

 










最後に、マルチメディア室にある『今昔ものがたり』のなかに、金太郎の後の姿、坂田金時が登場する話(「牛車に負けた三豪傑」)があることを紹介しました。

 

 『遠いむかしのふしぎな話 今昔ものがたり
 (岩波少年文庫)』
 杉浦明平 太田大八さし絵 岩波書店

 









この話では、絵本の「英雄」としての金太郎の姿とはうってかわって、京の都で祭り見物をしようと、慣れない牛車に乗ってひどい目にあう、情けない坂田金時の姿が描かれています。

 

 低中学年向けの絵本を入口に、中学生レベルの本にまで言及する内容となりましたが、『今昔ものがたり』に予約が複数入り、芥川龍之介の短編集にも借り手がつきました。カウンターに「芥川を読んだことがある」と話しに来てくれる子もいて、着任して日の浅い時期に、子供たちとの距離を縮める貴重な機会となりました。

 

(東京学芸大学附属大泉小学校 司書 富澤佳恵子)

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