10歳

2019-03-13 08:44 | by 吉岡(主担) |

   10歳は学校によっては二分の一成人式をするところがあります。9歳から10歳になるとき、精神面、学習面の成長過程における壁、関門ともいわれています。心の発達過程で、反抗的になったり変化が感じられると思われます。
 すでに、10歳になった子どもがほとんどの3学期になってこの題材でブックトークを行ったことが、結果的に良かったと思いました。

 はじめに、富安陽子さんの話から始めました。富安陽子さんが10才の頃、学校の帰りにしょっちゅう空を見上げていたそうです。大好きだったメアリーポピンズが風の向きによって日本のこの自分が住んでいるところへ来るかもしれないと思ったからです。

『風にのってきたメアリー・ポピンズ』 P.L.トラヴァース 林容吉(訳) 岩波書店

ロンドンの桜町通りにあるバンクス家に東風に乗って、メアリーポピンズはやってきました。マイケルとジェーンと双子の赤ちゃんのお世話をするためです。
子ども達に様々な冒険に連れ出しました。












『10才のころ、ぼくは考えた』 月刊たくさんのふしぎ第399号
下西風澄 文、 浅井美紀 写真 福音館書店
哲学者下西風澄は子どもの時、石を集めていました。将来は地質学者になると思って。
石と遊んで、ながめて、味わっていました。石って生きていない。
命ってなんだろう。



『いのちのおはなし』 日野原重明 文、村上康成 絵  講談社   
2年前105才で亡くなられた日野原先生はお医者様でした。小学校をたずねて4年生に命のお話をなさいました。聴診器で子ども達に心臓の音を聞きあってもらったりしました。
先生が「命は、君たちの持っている時間だ」と話されました。







                                                                 

『十歳の気持ち』 堀田あけみ  かまたいくよ 絵
佼成出版社
リョーコは戸惑っていました。友だちはおしゃれの話や男の子の話ばかりして、背伸びした本を読んでいたりしていました。リョーコはおもしろくありません。
ある日、好きな子は誰?と聞かれて、思わず言ってしまったことから、友だちと気まずくなって、もう口をきかないと言われました。
リョーコは色々のことでいらいらしています。












『バイバイ、わたしの9さい』
ヴォレリー・ゼナッティ、 伏見節 訳  文研出版

あとひと月と6日で10才になるタマラは、10才ってどんな感じだろうかと思い、周りの人たちに聞いて回りました。
新聞で見た世界では4秒に一人が飢えで命を失っているという記事に驚き、なんとかしなくてはとおもいました。
この事態をほおっておけないと思って、フランスの大統領やアメリカの大統領に手紙をだしました。そして、世界的に有名で影響力があるサッカー選手にも手紙を書きました。









 このブックトークは十歳ということで、ほとんど十歳になった人たちに向けてしましたが、結果的には良かったと思いました。
 感想に、自分は十歳になったとき何も考えていなかったと書いていたり、『十歳の気持ち』のリョーコに共感するという感想がありました。
 本に関しても、多くの子ども達が読んでみたいという感想を書いていました。

 * このブックトークを東京学芸大学の学生のまえでも実践してみました。  

前東京学芸大学附属世田谷小学校司書 吉岡裕子

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