同じ作者の本なのに!?

2019-07-16 11:51 | by 富澤(主担) |

 「ブックトーク」と言えるかどうかわかりませんが、図書館での分類・配架について学ぶ活動の導入として、作者が同じで、異なる分類に配架されている本を何冊か紹介してみたところ、子どもたちが興味をもってくれました。

 2年生が、1学期に国語の「図書館で本をさがそう」という単元を図書の時間で行ったときのことです。マルチメディア室(学校図書館の本校での呼び名)の白地図に、ラベルに合わせた色(本校では、NDC3ケタの数字と、ラベルの色を変えることで分類を表示しています)をぬる活動をしました。

 「導入として読み聞かせもしてほしい」という担当の先生のご希望でしたが、読み聞かせにとれる時間があまりありません。そこで、詩の本を紹介することにしました。棚をめぐっていると、様々な分類に谷川俊太郎作の本が入っていることに気付きましたので、子どもたちにラベルに注目してもらう素材として、異なる分類から4冊を選んで紹介しました。

 まず、著者を意識してもらうため「今日は、谷川俊太郎さん、という人の書いた、おもしろい詩の本を紹介します」と言って、「絵本」に分類されている『わたし』を全部読みました。

 

 

 

 

 

『わたし』

谷川 俊太郎 ぶん/長 新太 え 福音館書店

 


 次に、「1類」に分類されている『ともだち』を紹介して、本の最後のページに載っている詩を全部読み、









『ともだち』
谷川 俊太郎 文/和田 誠 絵 玉川大学出版部


5類」に分類されている『こっぷ』を全部読んで






『こっぷ』
谷川 俊太郎 文/今村 昌昭 写真 福音館書店

 

最後に「9類」の「詩」に分類されている『いちねんせい』から「ひみつ」という詩を読みました。



                              

 『いちねんせい』
              谷川 俊太郎 詩/和田 誠 絵 小学館

 
 そして、「学校というところは、この世界の色んなひみつを知ることができる場所ではないでしょうか。今日は、みなさんに、このマルチメディア室のひみつをさぐってもらいます。ところで」と、読んだ4冊を、背が重なり、ラベルがならぶように持ち替えると、すぐに「あれ、同じ人の本なのに、シールがちがう!」と、気づいてくれました。そこで「不思議ですね。同じ作者の本なのに、どうしてシールが違うのでしょう。このシールに注目しながらマルチメディア室の探検をして、地図をつくってみましょう」と、地図作りの活動につなげました。

 この日は地図の色塗りで終わってしまったので、次の図書の授業ときに「図書館の本は、著者よりも、内容によって分類されている」ことを簡単に説明しました。

 紹介した4冊は、すべて「絵本」に分類されていてもおかしくありませんが、あえて丁寧に分類をわけてあったことで、この授業の流れができました。マルチメディア室を現在の形に整備してくれた、前任の小野寺さんの「この部屋自体が一つの教材」という言葉を思い出すとともに、間接サービスの重要性を再認識しました。 
                      
 (東京学芸大学附属大泉小学校司書 富澤佳恵子)

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