君が知らない物語を
2019-12-10 11:03 | by 井谷(主担) |
図書館情報学演習(前田稔ゼミ)では、東京学芸大学附属小金井中学校の金曜日昼休みの時間に開館を担当し、グループ分けされた係ごとに自由に活動をしています。グループ(係)は、展示、新聞、朗読(読み聞かせ)、WEBと様々ありますが、今回はその中から私たち「朗読班」の活動について紹介させていただきます。
朗読班は現在3人で活動しており、3.4ヶ月ごとにテーマを決めてそれぞれの担当回にテーマに沿った内容の本の紹介・朗読実演を行なっています。
4月〜7月は「君が知らない物語」をテーマに「名前は有名でも内容はあまり知らない本」の朗読を行いました。
現在(10月〜12月)は「毎週朗読」をテーマに毎週1人必ず朗読会を行なっています。本の題材は様々ですが、11月末からは『クリスマス・キャロル』(チャールズ・ディケンズ/著)のリレー朗読も始めました。
1月〜3月のテーマは未定ですが、現在の「毎週朗読」を続けつつ、昨年度行われたブックトークの開催も検討しています。
次に、各班員の朗読した本の一例を紹介させていただきます。
『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』
著:神田桂一、菊池良 画:田中圭一 出版:宝島社
古今東西の作家・雑誌の書き方を模倣し、カップ焼きそばの作り方を書いてみた、という本です。その中からシェイクスピアの『ロミオとジュリエット 第五分幕』を読みました。
『シェイクスピア物語』
著:ラム 訳:矢川澄子 出版:岩波少年文庫
こちらは『リア王』の冒頭部分を読みました。『リア王』は老いた王と3人の娘たちを中心にしたシェイクスピア四大悲劇の一つです。老いた王が信じた娘たちに追い落とされ、数々の受難に遭う物語になっています。
図書館の机の周りに椅子を並べ、机の上にリア王の他、シェイクスピアの作品集を並べながら朗読を行いました。初めのカップ焼きそばでは笑いを誘うことができました。また、後半のリア王は時間の関係でリア王が3人の娘と問答をするシーンしか読めませんでしたが、興味を持って聴いてもらえていたように思います。 (東京学芸大学 朗読班 須藤)
『チョコレート工場の秘密』(原文:Charlie and the chocolate factory)
ロアルド・ダール(ROALD DAHL)/著 柳瀬尚紀/訳 評論社
ウィリー・ウォンカのチョコレート工場への招待チケットを引き当てたチャーリーら5人の「幸運な」子供達。工場見学の日、五人の少年少女と保護者の前でチョコレート工場の門が開くと、そこに広がっていたのは、ウォンカが作り上げた奇想天外な世界だった。
「気軽に英語に親しんでもらう」をテーマに朗読しました。英語の発音による韻を楽しんでもらいたかったため、ダールの作品から附属小金井中図書館に所蔵されているものを選びました。
10分間という制約があったため、本編からダール特有の創作歌(韻の踏み方が一番明確なため)を選び、英語で朗読後、同じ部分を日本語訳版で読みました。
朗読を行なった当時、校内でも多読の授業が行われていたこともあり、興味津々に聞いている印象が強かったです。ただ、作品内に登場するキャラクター名が一部原文と訳文で違うところがあり、英語での内容把握を試みた生徒が少し困惑してしまう、という難点もありました。全体を通しては、英語での朗読という珍しさもあってか概ね好評であったと思います。
(東京学芸大学 朗読班 西村)
『きげんのいいリス』
(トーン・テレヘン 長山さき訳 新潮社)
リスは、なにげない話が好きだった。どうでもいいような、大事な話が。
いろんな動物が出てくる短編集から、リスとアリのお話を一編読みました。
通常の朗読の他に母音方朗読も行い、興味を持ってくれる生徒が何人かいました。
(東京学芸大学 朗読班 上野)
普段生徒が行う読書ではなく、耳から物語を楽しむ「朗読」はまた違った本との親しみ方があると思います。趣味で読んでいるとどうしても偏りがちになってしまう読書ですが、これからも「耳からの読書」という交流の仕方を通じて中学生の生徒たちの読書の興味の幅を広げられたら、と考えています。
(東京学芸大学教育学部教育支援課程生涯学習コース 西村京香)