AIvs.教科書が読めない子どもたち

2018-06-13 23:14 | by 井谷(主担) |

人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」通称「東ロボくん」のディレクタを務める数学者の、話題の本を紹介します。

『AIvs.教科書が読めない子どもたち』   新井 紀子  東洋経済新報社(2018.2)

前半は、AI(人工知能)のできること、できないことを明快に説明。
コンピューターはあくまで計算機であり、何かを理解しているわけではない。
だから、人間の能力を超えることもないし、今の調子では東大入学は難しいとのこと。
将棋ソフトが名人に勝ったというニュ―スや、「OK グーグル」のCMに、すでに人工知能が完成しているかのような印象を受けますが、
あくまで限られた枠の中での統計と確率から導き出された反応だったようです。



AIには、文章を正確に理解する力はない。
この先、AIに取って代わられる仕事もあるが、人間はAIにはできないことをすればいいはず。
そこから後半は、中高生に行った読解力テストの詳細な結果に移ります。
その驚きの結果については、ぜひ先生方にも、中高生たちにも読んでいただきたいと思います。
読解力の有無と、読書好き、家庭学習習慣、スマホの使用などとの相関関係はみられず、ただ一つ、貧困だけが、マイナスの相関関係があったという事実が心に残りました。
こうすれば読解力がつくという安易な処方箋は提示されませんが、この事実を受け止めて、対策のための体制をつくれば光明は見えてくると結ばれています。

(東京学芸大学附属小金井中学校  井谷 由紀)

次の記事 前の記事 [ 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 ]