ロングセラーの科学絵本『星座を見つけよう』
2018-07-11 22:47 | by 村上 |

星座の本は、もちろんありますが、最近めっきり利用者が減り、補充もしていませんでした。そこで良い機会と、公共図書館からもたくさん借りて、さらに最新の星座の本を何冊か購入しました。最新のものは、写真がとても美しい。並べると、古い本が少しくすんで見えてしまいます。そんななか、ちょっと別格なのが『星座をみつけよう』(H.A.レイ著 草下英明訳 福音館)。奥付を見ると、出版年は1969年、手元にあるのは90刷で、2018年2月に重版。ほぼ半世紀を過ぎても、褪せることなく読み継がれているロングセラーの科学絵本です。

『おさるのジョージ』シリーズでよく知られるレイさんですが、この絵本は初めて星空に興味を持った子どもたちに、語りかけるように書かれています。どの星とどの星をつなぐと、どんな星座が現れるのか、地球と星との距離を表す光年や、黄道の星座などの天文学的な知識もちりばめられ、星空入門にはぴったりの本です。しっかり勉強している中学生には物足りないのかもしれませんが、すっかり知識が抜け落ちてしまった大人には、あらためて星空をながめたくなる一冊です。
北極星について書かれたページには、北極星の探し方や、北極星がなぜ動かないのかが、平易な言葉で書かれています。カウンターにやってきた中学3年生の何人かに、「夜空を眺めて北極星をすぐに見つけられる?」と尋ねたら、皆自信なさげ。北極星をたよりに道を歩くことなど、したこともないのが、今の都会の暮らしです。
課題のレポートとはいえ、あらためて夏の夜空を眺めてくれる3年生が今年は多いかもしれません。何億光年もへだたった場所から光を放つ夜空の星々を、私たちの祖先はもっと大切に日々眺めていたのでしょうね。
附属世田谷中学校司書 村上恭子