「み」がない?(『ミッケ!』だけではない「絵探し遊び」の本)

2020-07-10 17:44 | by 富澤(主担) |

先日、1年生の来館時に「『み』がない!」という声がしたので、何事かと驚きつつ、話を聞いてみると、絵本の棚は、本が「あいうえお」順に並んでいることはわかったけれど、「み」の棚が見つからない、ということでした。この場合、本校ではただ「み」の棚を教えるだけだと、子どもが探している本が見つからない確率が高いので注意が必要です。子どもは「『み』からはじまる題名の絵本を探している」のに、絵本は「画家の苗字の五十音順で並べてある」ため、ミスマッチがおきやすいからです(子どもたちが、字よりも絵のほうを良く覚えているので、同じ画家の本が隣り合わせに並んでいるほうが本を選びやすく、また勧めやすいため、絵本については「画家順」を採用しています)。
そこで、「『み』からはじまる本をさがしているの?『ミッケ!(ウォルター・ウィック作、小学館)』かな?」と聞いたところ、案の定でした。『ミッケ!』は、知っている子も多く、特に低学年には人気で、何冊か所蔵してはいるものの、全部貸出になって、棚にない場合も多いのです。こういうときは、ただ「ない」と言うのではなく、いくつか、『ミッケ!』のように「絵探し遊び」ができる本を紹介することにしています。   
例えば、『とこちゃんはどこ』(松岡 享子∥さく/加古 里子∥え、福音館書店)
は、ちょっと目を離すと、すぐ「とことこ」どこかへ行ってしまう元気な男の子を、細かく描きこまれた大勢の人の中から探す本です。
他にも・・・

『もりのえほん』(安野 光雅∥絵、福音館書店)は、一見、鬱蒼とした森の風景だけが、どこまでも広がっているように見える、字のない絵本ですが、実は動物などが130余りも描きこまれています。

日本を含む、アジア・太平洋地域の子どもたちが、自分の国の祭りや行事を案内してくれ、雑踏の中からガイド役の子を探す『どこにいるかわかる?』(ユネスコ・アジア文化センター∥編、こぐま社)も、各国出身の画家が、それぞれの国の場面を描いているのが個性的でおもしろい本ですし、

次々と色々な動物に変身しては、「どれがぼくかわかる?」とたずねる、幼い男の子とお母さんのやり取りで進む『どれがぼくかわかる?』(カーラ=カスキン∥ぶん・え、偕成社)も、主人公が変身した姿を群れのなかから当てるゲーム要素があります。



今回は、『とこちゃんはどこ』と『もりのえほん』を喜んで借りていきました。

昨年、飽きず『ミッケ!』をしている4年生の子に、「こんなのもあるよ」と『くろグミ団は名探偵』(ユリアン・プレス∥作・絵、岩波書店)シリーズを紹介したところ、クラスでミニブームとなった例もあります。



その子が読みたがっている本「そのもの」を提供することができずとも、「その本に求めているもの」がつかめれば、別の満足できる本に繋げられることもあると実感しました。



(東京学芸大学附属大泉小学校 司書 富澤佳恵子)

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